よく「理系は就職に強い」と言われますが、だからといって呑気に構えていると大変なことに。理系就活の特徴をはやめに捉えておくことで、就活をスムーズにすすめることができます。現在、就活中の2018年卒のみなさんも、これから就活ガイダンスなどがおこなわれる2019年卒のみなさんも、一度ぜひご覧ください。
現在、2018年度の就職活動は、大学3年生(大学院1年生)3月に企業の採用情報が解禁、大学4年生(大学院2年生)6月に選考活動が解禁となっています。現時点では今年も2019年度も同様の動きになりそうです。ただし、アイデム調査でも、【“選考活動”解禁前に 「面接選考等開始」予定の 企業は56.2%】という結果が出ているように、現在、企業によって進捗はバラバラで全ての企業が同じ、と言えないのが現状です。 現在所属ゼミが決定していれば、どの時期に研究・学会で忙しくなるかを把握し、逆算しておく必要があります。早めの動きをとっていくことが必要でしょう。(2017年5月8日時点)
理系学生も「企業を探し、選考を受け、入社する」という流れは文系と同じですが、理系ならではの特徴を押さえて就職活動をすることが大事です。理系就活のキーは「選択」です。
【1】理系学生ならではの選択肢
1)就職 or 進学
理系学生の場合そもそも「(学部卒で/院卒で)就職をするのか」というところからスタートします。もちろん文系の学生も大学院という選択肢はありますが、理系学生は進学の割合も高く、学校・学部によっては、ほぼ大学院に進学している場合があります。
「院卒の方が就職活動に有利ではないか」といわれることがあります。これは、文理共通して、言えることですが、就職活動において「絶対、100%」はありません。企業が持つ採用基準によって、みなさんの状況によって異なってきます。
大きな選択肢となりますが、迷っている場合は「自分の学校・学部」はどうなのか調べてみましょう。
就職活動のために、学業生活を送っているわけではありませんが、現在在学している学部・学科では「学部卒(院卒)でも就職ができるのか」、「大学院(修士課程)の知識レベルが無いと、就職活動において専攻知識が生かせないのか」といった観点で、ゼミの先生やキャリアセンターの方、先輩に実態を聞いてみるとよいでしょう。
◎結論:「就職か進学か」という選択を「自分の所属学校・学部」の現状を知って選択する
2)自由応募or 学校推薦
就職を決めた場合、次に待ち構える選択肢は「応募方法」にあります。文系学生の就職活動は、就職ナビサイトなどで自ら企業を検索し、エントリー>>選考を受けるという流れですが、理系学生には「学校推薦」という方法があります。
▼意味
「学校推薦」・・・企業に対して大学が学生を推薦する制度
「自由応募」・・・企業に対して学生自身が探し応募する制度
学校推薦のメリットは「自由応募に比較して、競争倍率も低く選考ステップが少ないことが多い」ことです。デメリットは「推薦を受けた企業から内定を貰った場合、入社しなければならない」ということです。場合によっては、辞退することも可能ですが、学校推薦の場合、「学校」が推薦した学生という意味合いが強く、「学校が推薦した学生が辞退した」となると、次の年からその枠が無くなってしまうことも考えられます。また推薦をもらえたからといって、必ず内定を得られるわけではありません。
自由応募のメリットは「たくさんの選択肢から企業をみて応募することができること」です。デメリットは、学校推薦のメリットの逆で「学校推薦と比較すると、競争倍率が高く、選考ステップが多い」ことです。名の通り、自由に就職活動をすることができるのです。
今では、学校推薦と自由応募を併願して行う学生も増えていますが、上記で説明したように「学校推薦」で受かった場合は、入社する必要があります。また、スケジュール管理もかなり大変になるので、「保険」という意味合いで、併願を簡単に選ぶのは避けておくとよいでしょう。
◎結論:メリット・デメリットをふまえ、本当に自分がやりたいことは何かを考えてみよう
3)専攻をいかす or 専攻外 or 文系職
では、次に就職先について考えてみましょう。学校推薦を選ぶ場合は、「専攻を生かした」就職先になることが多いのですが、自由応募の場合には主に以下の3つの選択肢が考えられます。
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a.専攻 …自分が専攻した学問を生かすことができる業種・職種
b.専攻外(理系職)…専攻外であるが、理系の知識を生かすことができる業種・職種
c.文系職…専攻(理系であること)とは関係がなく、マスコミ・広告・金融などへの就職
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メーカーなどの応募条件を見てみると、「●●専攻の学生」「理系」「文理不問」などが書かれている場合があります。「専攻」が限定されている場合は、専門知識を要する職種であり、専門知識を生かすことのできる職種と考えて良いでしょう。
また、「理系」と書かれている場合、「専門知識」というより、「理系学生の持つ知識」や「考え方」を求められていると考えておくべきでしょう。理系学生のみなさんは意識していないかもしれませんが、文系の学生の場合、「大学受験から、数学を全く行っていない」、「理科の科目をほぼ行っていない」ということが考えられるのです。また、理系学生に求められることが多いのは「論理的思考力」です。
論理的思考力とは、「物事を筋道立てて、論理的に考える能力」と言い換えることができます。
理系の学生が全員持っているとは限らないのですが、「仮定を立てて、証明する」ことを得意とする学生、日々同様のことを行っている学生が多いことから、理系の学生が論理的思考力が高いといわれています。この論理的思考力は、現在コンサルタントやシンクタンクで必要とされています。
◎結論:「専門性」を生かすか、「思考」を生かすかを考えてみよう
理系学生は、文系学生よりも就職率が高く、比較的簡単に就職が決まると思われがちです。
しかし、志望している企業に入るには、気を付けるべき点がいくつかあります。
1)スケジュール管理について…研究・学会との調整が必須!
文系の場合、企業の選考と選考のスケジューリングの意味が強いですが、理系の場合、学業(研究)とのスケジューリングが必要となります。スケジュールが重なってしまった場合、学業か研究かどちらの優先順位が高いかを見極めて、教授もしくは担当者に伝えるべきことは伝えておきましょう。特に文系就職の場合、その重要度が企業に伝わりづらい場合もあります。
2)就職対策について…人気企業の難易度は理系でも高いので早目の対策を!
「学校推薦」の場合によくあるのですが、「特別対策をしない」という学生も一定数見受けられます。しかし、推薦をもらったからといって必ずしも内定が得られるわけではなりません。
そこにはしっかりとした「企業研究」と「志望動機」が必要です。
数値上で比較すると、自由応募より、学校推薦の方が倍率は低いのですが、学校推薦の注意点は「ライバルが自分と同じくらいのレベル」ということです。自由応募の場合、学生の「就職対策」や、「学校レベル」「学内外活動」などバラバラですが、学校推薦の場合「同じ学校にいる、同じ専攻の学生」であることが多く、「差がつけにくい」ともいえます。
自由応募よりも倍率は低いとはいえ、難易度が決して低いわけではない、ということを特に人気企業を受ける場合は念頭に置いておきましょう。
研究職であれば、人と話さなくても大丈夫なのか、というとそうでもありません。例えば文系出身の社員と商品の仕様を話す場合、専門用語だけで話をしていては話が通用しません。知識を持たない人に、ある事柄を伝えるには「コミュニケーション力」が必要なはずです。
これは面接でも同じことがいえます。例えば、自分のPRポイントとして「研究」の話をしたとします。専攻を生かした就職の場合、人事担当者も知識に精通している場合がありますが、専攻外・文系就職の場合、それが通用しない場合の方が多いのです。そうなると、みなさん自身がどれだけ研究の凄さを伝えたとしても、担当者には通じていない、というもったいないことが起こりえます。
話すときには、「●●」という物質名だけを伝えるのではなく「新たに発見されたアミノ酸である●●」といったように、簡単に説明を加えて説明するとよいでしょう。
「なんでこんなことも知らないんだ」と思うのではなく、「どうしたら相手に伝わるのだろう」と考えてみるとよいですよ。
また、専攻外、文系職を選ぶ場合、必ずと言っていいほど「なぜ専攻の道を極めなかったのか」ということを聞かれます。そのときに自己分析などをしておかなければ答えることができません。しっかりと準備をしておきましょう。
いかがでしたか。理系就活はスケジュールに気を付けて、情報収集をこまめに行っていくことがポイントです。とはいえ、理系就職は、人によって、学校によって、考え方も、行動もさまざま。ぜひOB・OGに直接話を聞いて参考にするとよいでしょう。キャリアセンターを上手く活用するのもポイントです。
JOBRASSでは、理系の先輩インタビューも掲載しています。
ぜひ時間があるときに読んでみてください。
▼先輩インタビュー
(ログインをして読むとスムーズです/先輩たちの時の就活スケジュールに気を付けて読んでくださいね。)
◯早稲田大学 先進理工学部 → 内定先:PR業界
https://agent.jobrass.com/magazine/interview/5663/
◯東邦大学 理学部 → 内定先:金融業界
https://agent.jobrass.com/magazine/interview/2020/
◯横浜国立大学 理工学部 → 内定先:プラントエンジニアリング業界
https://agent.jobrass.com/magazine/interview/5480/
◯上智大学 情報理工学部 → 内定先:ITサービス
https://agent.jobrass.com/magazine/interview/3920/
◯京都大学大学院 農学研究科 → 内定先:総合商社
https://agent.jobrass.com/magazine/interview/304/
◯東京大学大学院 新領域創成科学研究科 → 内定先:食品メーカー
https://agent.jobrass.com/magazine/interview/6368/