学生が就職活動をするにあたり、ルールでもなく、誰から言われたわけでもないのに、何故かお決まりになっている「就活スーツ」。黒、グレー、紺といった色のスーツに白いシャツ、そして黒くて四角いカバン……。学生にとってみれば、スーツを着る機会でさえ少ないのに、何故この型のスーツなのか疑問に思うのは当たり前。そんな学生の疑問に対する答えになるかどうか、採用担当者の意見は?
JOBRASS編集部では、全国の採用担当者260名に、“「就活=スーツ」という風潮を、正直なところどう思いますか?”という質問をぶつけてみました。その結果、「いいと思う」と答えた人は約4割。「つまらない、意味が無い」と考える担当者が約6割にものぼる結果になりました。それぞれの意見を見てみましょう。
いいと思う理由1:「清楚・真面目を装える」
・真面目を装うには道具として必要では(男性・57歳)
・清潔感のある服装で落ち着きのある物(男性・61歳)
・きちんとしていていいと思う(女性・56歳)
いいと思う理由2:「無難」
・まあ、スーツが無難と思いますが(男性・63歳)
・おかしいと思っても、外れると世間的に通用しない(男性・53歳)
いいと思う理由3:「制服みたいなもの」
・学生の正装としては必要と思う(男性・57歳)
・制服みたいなものだし、よいのでは(男性・49歳)
・就活スーツは会社訪問の際の制服みたいなもの(男性・64歳)
いいと思う理由4:「むしろそんなところで個性を出すな」
・就活スーツが社会適応性の尺度に利用できる(男性・71歳)
・就活スーツでいい。そんなところで違いを出すようなのは幼稚(男性・45歳)
・学生に学生服があるように、就活に向いているスーツがあっていいと思う。社会はルールによって成り立っているので、あまり個性を前面に出している人より、初めは長い物に巻かれていて、能力次第で徐々に頭角を現すという流れが望ましいです(女性・55歳)
・他の学生と服装が違うと服のセンスではなく、育ちが悪い、チャラい、変わり者などの評価を受けやすい(男性・49歳)
いいと思う理由5:「見る方が面倒くさい」
・面倒くさいのでこれで暫く良いと思います。(男性・69歳)
・あまり気にしないが、自由すぎるのもどうかと思うので、今のままでいいのではないかと思う(男性・55歳)
・社会的には滑稽なイメージがあるが、面接時の印象が分かりやすいのかな(男性・67歳)
いいと思う理由6:「どうせ何を着てもいいと言っても変えないでしょ?」
・この風潮を変えるのは困難、入社後に社風を教育(男性・75歳)
・会社が就活スーツでなくてもOKとしても、学生はそうしないでしょうね。年数がかかると思う(男性・63歳)
・学生も洋服に困るので、このまま(男性・43歳)
「このままでいい」という採用担当者のなかには、個性の強い学生だらけになると、それはそれで面倒だし、何よりスーツでしか表現できない個性なんて……という意見も少なくありませんでした。では、「変えてもいいのでは」という人たちの声をみてみましょう。
「カジュアルでなければ良い」(女性・32歳)、「スーツでなくてもよい」(男性・67歳)など、“THE・就活スーツ”でなくても良いのでは、という人たちの意見。基本的には「それ自身は合否に関係ない」(男性・51歳)という考えがベースにあり、服装で個性が死んでしまううえ、“何をどう着てくるか”も判断材料になるという見方です。
変えてもいい理由1:「個性」
・みんなが、同じ様な服装なので、個性がない。就活スーツに拘らず、自由で良いのではないかと思います(女性・41歳)
・何を着て来るかも判断材料の一つ(男性・62歳)
・正装をしてくるのは、そうあるべきだとは思うが、出来れば普段の姿も見てみたい(男性・43歳)
変えてもいい理由2:「社風に合わせるべき」
・その会社の考え方次第で良い(男性・53歳)
・会社の業種によって、スーツか私服かえらべるといいと思う(女性・31歳)
・企業には各々その会社の社風というものがあるのでそれに合わせる柔軟性が必要(男性・51歳)
・企業風土により異なる(男性・66歳)
・個性ある服を着た方が判断しやすい(男性・46歳)
社風に合わせて、格好を選んでも良いという意見は数多くありました。どういう格好をするかもふくめて、社会人マナーということでしょうか。ある採用担当者(男性・52歳)は、
「確かにスーツの色や柄、かばんの色などはどうでもいいこと。きちんとシャツの裾を入れているかなど、“着方”のほうが大切です。ただ実際、説明会のときに、就活スーツ以外でもいいよと通知したのに、結果として就活スーツの学生が大半でした。
学生側も、なんだかんだいって“服装が原因で落ちた”と思いたくないのでしょう。何故落とされたかわからないなかで、服装が人と違うと、それが原因だと思ってしまうでしょうからね。なので、就活スーツは、会社員がネクタイをするように、もはやただの“風習”なのは事実。まあ、この議論は終わらないでしょうね……。女性のスーツは、昔はスカート一辺倒でしたが、だいぶパンツスタイルが増えたなという印象はありますが。まあ、自信がある人なら就活スーツ以外でも大丈夫かと思います」
と話してくれました。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年3月10日~2016年3月15日
対象:企業の採用担当者 計260名