「美にかけるお金は削れない」といわれるように、化粧品は女性にとって生活必需品! 最近は、女性だけでなく男性にとっても必需品になりつつあるアイテムもあります。身近で馴染みがあり、そしておしゃれな業界であること+生活必需品を扱う化粧品業界は、景気に左右される割合も低く安定する傾向もあり、就活生に人気です。人気の化粧品業界の志望動機を書くために気を付けなくてはならないこととは? どんな対策をとればよいでしょうか。考えてみましょう。
(※こちらの記事は、2016年3月31日に公開したものを更新しています。)
志望動機を書く際に欠かせないのが業界研究です。業界の現状をおさえておけば、なぜその業界を志望しているのか、現実味のあるものを書くことができます。今後の展望を考慮に入れれば「就職後どういったことをしたいのか」など、ビジョンを書きやすくなり、志望する企業は「どのような立ち位置にあるのか」がわかっていれば、志望企業を選んだ理由が説得力のあるものになります。
・国内メーカーのシェア
日本国内には2,000を超える化粧品メーカーがあります。市場規模は2兆4,715億円(2016年度)、その5割をトップ3が占めています。
1. 資生堂(売り上げは10,051億円、営業利益は804億円 ※2017年度):エテュセ、イプサ、ディシラ、アユーラは子会社です。
2. 花王(化粧品関係の売り上げ6,016億円、営業利益は416億円 ※2016年度):消費財メーカーとしても大手ですが、化粧品でも2位のシェアを持っています。カネボウ化粧品は子会社です。
3. コーセー(売り上げは3,033億円、営業利益は484億円 ※2017年度):アルビオン、セブンイレブンと共同開発しており、雪肌精といったブランドをもっています。
・化粧品業界の扱う商品群分類
経済産業省によると、化粧品業界の扱う商品は大きく5つに分類されます。
1. 頭髪用品:シャンプー、トリートメント、ヘアトニックなど
2. 基礎化粧品:化粧水、クリームなど
3. 仕上げ用化粧品(メイクアップ用品):おしろい、ファンデーション、口紅など
4. 特殊用途化粧品:日焼け止め、浴用剤など
5. 香り用品:香水、オーデコロン
3大メーカーに加えて、ノエビア、メナード、ポーラ・オルビスホールディングス(業界4位)は、上記の分類のうちすべての商品群を扱っています。伸びているのは、基礎化粧品系のスキンケア用品のメーカーです。数も増えています。主な企業には、ファンケル(業界6位)、DHC、ドクターシーラボといったメーカーがあります。また、マンダム(業界5位)のように男性用化粧品を扱うメーカーも、成長企業になっています。
・外資系の化粧品会社
1. P&G(米国):SK-IIやパンテーンといったブランドを販売しています。
2. 日本ロレアル(フランス):ランコムやシュウウエムラといったブランドがあります。
3. ジョンソン&ジョンソン(米国):化粧品分類では、基礎化粧品系がメイン。
4. エスティローダー(米国):クリニーク、M・A・Cといったブランドを販売。
日本の化粧品輸入も伸びています。2015年には、前年比9.5%増の2,377億円、売り上げ規模で考えると、花王に次ぐ額となっています。
・異業種からの参入
富士フイルム、サントリーホールディングス、第一三共ヘルスケア、味の素、江崎グリコといった、化粧品業界と関係のない本業を持つメーカーの参入が盛んになっています。富士フイルムはフィルムの材料に含まれるコラーゲンや写真の色あせ防止に役立つ抗酸化技術を化粧品に応用、味の素はアミノ酸、サントリーは酵母、江崎グリコはグリコーゲンといった本業の研究開発から生まれた成分を応用して化粧品を開発しています。
・観光客という購買層
化粧品業界も長期にわたるデフレの影響を受け、伸びのない時代が続いていましたが、2014年以降、状況が変わってきています。2014年に化粧品が免税対象商品になりました。それ以来、訪日外国人による化粧品の購買額が大幅に伸びています。コーセーの雪肌精のように、観光客の間で口コミで広がり、お土産リストの上位に入っている商品群は、「爆買い」され、企業の売り上げ額にも好影響を与えています。
・インターネットによる販売の増加
インターネット販売を行う企業が増えただけでなく、化粧品の口コミサイトやまとめサイトも数多く立ち上がっています。SNSによる口コミや評判といった、従来なかったチャンネルがどんどん増えています。
・海外展開の積極化
国内需要は人口増がほとんどない状況を考えると、頭打ちにあると言わざるを得ません。そういった状況を受けて、各企業は海外への展開を積極化させています。資生堂は、中国、ベトナム、米国、韓国、トルコ、ギリシア、スイスといった国々に子会社を設立しています。コーセーもアラブ首長国連邦で販売を開始、中東諸国にも展開を始めています。
業界研究や企業研究をどのように志望動機に組み込んでいけばよいでしょうか。自分が化粧品業界を志望するきっかけになったエピソードや志望する理由をまず書いてみてください。志望動機に「なぜその業界を選んだのか」「なぜその企業を選んだのか」が伝わる自分の経験が含まれていると、自分だけの説得力のあるものになります。
例えば、「私は子供のころから鼻が低くて目も小さいのがコンプレックスでした。そんな私が、大学生になってメイクを始めたら、メイクを工夫することで目も大きく見せられて、顔の彫も深く見せられるようになり、自信がつきました。自分が変われた経験を、同じような悩みを持つ人たちのために活かしたい、手助けをしたいと思い志望しています。」というのは、化粧品業界を志望するエピソードにふさわしいものでしょう。
ここで、考えてみましょう。志望している企業は、どの分類の商品群を扱っていますか? 基礎化粧品に力を入れているとか、男性用化粧品のみのメーカーで、メイクアップ化粧品を扱っていないメーカーを志望するとしたら、この理由では弱くなってしまいます。自分の書いた志望動機と、研究した結果が矛盾していないかを、まず確認しましょう。さらに、自分がその企業でどういったことをしたいのか、就職後のビジョンに触れましょう。企業は利益を追求しますから、どのように貢献できるのかという点を、自分なりの理由とともに説明できると効果的です。
最後にコーセーに内定した先輩の志望動機例を挙げておきます。参考にしてみてください。
「御社のブランドラインナップは数多いですが、それぞれが、個性豊かで幅広い世代に人気が高く支持されている点に魅力を感じました。主流の化粧水を私も使用していますが、肌の状態が変わったのを実感しています。化粧も映えるようになり、肌質が変わったように感じます。良いものだと勧められる商品だとわかっているので、就職後どの部門に配属されたとしても、自信を持って仕事をすることができると思います。また、御社はJobローテーションが盛んだというお話を会社説明会でも伺いました。私は、将来結婚し、子供を産んだとしても仕事を続け、キャリアアップをしていきたいと思っています。就職してから、自分のキャリアを自由に描ける可能性があるという点にも惹かれました。OGの方々からも、活き活きとやりがいのある仕事をされているお話を伺い、私もここで働きたいと思いました。」