日本人の活字離れが叫ばれて久しいですが、書籍の読書数になると年間平均は12.3冊。なかでも大学生の50%が本を1冊も読まないことが分かっています。小説を1冊も読まなくても、漫画は読むという人も周りにもいるので、なるほどと思える結果です。出版業界は人気業界ですが、今後も活字離れが進むとしたらどうなっていくのでしょうか。動向について考えてみましょう。
(※こちらの記事は、2016年3月3日に公開したものを更新しています。)
人気の出版業界ですが、志望動機を書くポイントはどういったことでしょうか。出版業界の現状と今後の動向も踏まえた業界研究をきちんと行ったうえで、志望動機を書きましょう。企業研究を行う際には、その企業の出しているコンテンツと特徴を必ずおさえてください。それぞれの企業は、理念も違い、目指す方向性も違います。書店に行って、どういったものを出版しているのかを確認するのも有効です。
出版業界を目指した最初の理由は、「本が好きだから」かもしれません。ただ、出版業界を志望する人のほとんどは「本が好きな」人です。ただ好きだから、では相手に通じるものがないかもしれません。どういった本が、なぜ好きなのか、人それぞれですが、それだけにオリジナルのものが出せます。
その企業で何がしたいのかという点も含めましょう。自分がしたいことができる企業なのかというのは、企業研究をする際におさえておきましょう。出版業界の今後の動向というのも、押さえておく必要があります。自分がしたいこと、それが志望先の企業、または出版業界にとってどんなメリットがあるのか、というのが伝わると良いです。そのために、自分にどんなスキルや特技があるのか、どういった経験をしてきているのか、といったことを絡めていくなら、説得力のある志望動機になるでしょう。
出版業界には3,400近い数の企業があります。活字離れによる書籍・雑誌の売り上げ減を受けても生き残っている企業ですから、それぞれに特徴のある企業だといえます。売り上げ上位の企業を見てみると、出版不況と言われる中で出版社が生き残っていく方向性をつかむことができます。
売上高トップ3は、「集英社」「講談社」「小学館」の出版3社です。3社とも書籍、文庫、雑誌、コミックとすべての出版分野をもち、目玉となるシリーズを持っています。集英社の「週刊少年ジャンプ」は世界的に人気のある数多くのコミックを輩出しています。講談社の「進撃の巨人」も、映画になっただけでなく、英語をはじめ数多くの言語に訳され世界中を魅了しています。小学館は、社会現象にもなった「妖怪ウォッチ」のある「コロコロコミック」を出版しています。売り上げ減のため、休刊になった書籍もありますが、人気のあるコンテンツが出ると、大きく売り上げに寄与し、状況が変わるという傾向がわかります。
第4位の角川グループは2014年10月に『ニコニコ動画』を運営する「ドワンゴ」と経営統合をしました。既存の出版事業から脱却し、クロスメディアコンテンツの強化を模索しています。
その他の主要な出版社を紹介していくと「日経BP」は、ビジネス書を幅広く刊行しています。また多彩な経済ジャンルを扱った雑誌も刊行しています。「日経ビジネス」「日経コンピュータ」「日経エンタテイメント」「日経トレンディ」などが挙げられます。専門分野のある出版社の強みがあります。
「宝島社」は、「宝島」やムックといった特徴的な刊行物を持っています。また、雑誌についている付録も人気が高く、特徴的な売り方と言えます。
「文藝春秋社」は、大きな影響力を持つ「文藝春秋」を出版しています
出版社は、コンテンツの内容によって大きく左右される業界です。特化した分野を持つか、文芸誌であれば、ベストセラー小説を含む、人気の出るコンテンツを創りあげることが重要になってきます。その点で、編集者を目指す就活生のやりがいが発揮される分野といえるかもしれません。インターネットの普及、読書タブレットの出現による紙媒体への需要の減少といったことが言われていますが、底を打ったという見方もあります。紙媒体の書籍や雑誌は13年連続で発行部数が減少している現状も踏まえると、これまで以上に優良なコンテンツを発掘・出版するという本来の役割に戻る形になっていくことが求められています。
今後の出版業界の動向を押さえて、志望動機に加えるのは有効です。現在の傾向から、今後の動向を考えてみましょう。
書籍と雑誌の売上数が落ちていると言われています。その中でも、インターネットで新しい情報を簡単に得られる状況を反映して、週刊誌や月刊誌の売り上げ減は顕著です。それでも、コンテンツの内容が良い、または、興味を引くものであれば、売り上げが上がり、多くの人に読んでもらえるというのも明らかになっています。今後は、従来の発行部数偏重の傾向はなくなり、企画力でターゲットに対する訴求力を高め、ブランド力向上を図る傾向がさらに強くなっていくと思われます。
書籍では、映画とタイアップをして新たなブームをつくったり、映画化を前提とした作品作りを進めるといった形の、映像や音楽を含めたメディアミックスの傾向が増えてきています。「進撃の巨人」「妖怪ウォッチ」「BLEACH」も映画化されており、コミックで最も売れている「ワンピース」はアニメだけでなく、映画版、スーパー歌舞伎にまでなっています。実写になったら、だれが出演するかというのは、インターネットで人気のテーマになるほどです。このように、コンテンツ内容によって、書籍だけではなく他媒体との融合も必要となります。
出版業界を志望するなら、AmazonやKindleなどの電子書籍にもぜひ注目しましょう。
読書タブレットの売上は15年連続で成長しており、年々普及が進んでいます。こちらも、コンテンツ次第で売上が大きく左右されるため、紙媒体同様、優良コンテンツを見つけることが重要になっています。ただ、紙と違って電子書籍を使うのはだれかという、エンドユーザーを考えたコンテンツの開発が求められています。電子書籍は、軽く、字も大きくできて、画面の明るさも変えられるという特徴を持っています。高齢者や幼児と相性のよい媒体です。多彩な読者層を考慮に入れた上で、それぞれに訴求した企画が求められる分野となります。
上位4社とアニメイトが共同出資し、「ジャパン・マンガ・アライアンス」が2015年の9月に設立されました。この会社は、日本が誇る漫画コンテンツを世界に売り出していくために、各社がタッグを組んだものです。このように、日本市場だけでなく世界市場を見つめた活動も今後さらに盛んになって行くと考えられます。