3月3日は「ひなまつり」ですね。
あらためてお祝いなどはしないものの、女子学生のみなさんは3月3日が近づくと、なんとなく“ワクワク”したり、気持ちが明るくなったりしませんか?
「ひなまつり」は女の子のための行事。日本には平安時代を起源とする「五節句」という行事があり、季節の節目に身の穢れを祓い、健康長寿や厄除けを願う風習があったことから、3月3日(桃の節句)に女児の健やかな成長と幸せを願うお祝いをします。
ところで「ひなまつり」と言えば「ちらし寿司」ですよね(←花より団子なもので 笑)!!
おめでたい日は健康を願って、身体にいいものを食べようという習慣から「ひなまつり」に食べられるようになりました。重箱などにキレイに飾りつけたり、最近ではケーキに見立てたり、食べるのがもったいないくらいカワイイものもありますよね。
日本人にとって“お寿司”は、言わずと知れた日本の国民食。世界に誇る日本の伝統的料理です。ちらし寿司をはじめ、なじみの握りや手巻きに押し寿司、地方によっては様々なお寿司があります。
みなさんも、祝いごとや法事などのハレの日にお寿司を食べることがあると思います。なぜなら、「ひなまつり」も健康を願ってちらし寿司を食べるように、日本人は昔から行事があるとお寿司を食べる習慣があるからです。
では「お寿司を食べよう」となった時、みなさんはどういう手段で食べますか?
■お寿司屋さん(カウンター)に行く
■回転寿司に行く
■デリバリーする
■お店やスーパーで買ってくる
一緒に行くメンバーや、その時々のシチュエーションによって異なると思います。家族とお祝い事で……となればお寿司屋さんに行ったり、寿司桶いっぱいのお寿司をデリバリーしたりするでしょう。また、友だちや恋人と気軽に……となれば回転寿司に行ったり、お店で買ってきて家で食べたりするのではないでしょうか。
このように「お寿司を食べる」手段も色々あって、私たちの口に運ばれるには色々な業態・業種が関わっているのです。
今までは、消費者の立場でお寿司を“食べ物”としてしか見ていませんでしたが、この機に“ビジネス”として見てみると面白いかもしれません。
「ひなまつり」からかなり話は飛躍しましたが、今回は寿司業界についてお話しますね。
手頃な価格とスタイルで人気を博している回転寿司。休日になるとファミリーをはじめ、幅広い客層でにぎわっています。
回転寿司の歴史は、大阪の立ち喰い寿司店経営者の白石義明氏が、ビール製造のベルトコンベアをヒントに思いつき、「コンベヤ旋廻食事台」を考案したところから始まり、1962年に同氏が実用新案として登録しました。1978年に権利が切れると、現在の大手となる産業などが次々に新規参入し、競争が激化していったのです。
それでは、現在の回転寿司業界における大手4チェーンの特徴を比較していきましょう。
■「かっぱ寿司(カッパ・クリエイト株式会社)」
言わずと知れた回転寿司のリーディングカンパニーです。
売上高……876億円
営業利益……4.6億円
店舗数……339店
(2015年3月期)
日本で初めて100円寿司やタッチパネル式の注文方式を採用した「カッパ・クリエイト株式会社」。100円均一の『かっぱ寿司』が柱であり、2014年12月に、居酒屋や焼肉店を運営する「コロワイド」の傘下へ。新任役員も選任され、新体制のもと早期のV字回復に向けて躍進中です。
現在は、店舗イメージを一新させるために100席以上の大型店の出店を積極的に展開。新規出店でシェアの拡大を図っています。また、可能な限り、品切れや仕入れロスをなくすための供給体制も見直し、安定した店舗運営を目指しているとのこと。回転寿司日本一奪還に向けて、今後の展開に注目は高まります。
■「吟味・スシロー(株式会社あきんどスシロー)」
現在の回転寿司業界最大手企業です。
売上高……1259億円
営業利益……44億円
店舗数……399店
(2015年3月期)
大阪府吹田市を拠点に、近畿・中部・関東に店舗展開している「株式会社あきんどスシロー」。2010年度の売上が初の首位を達成し、回転寿司業界の新王者となった。近年では沖縄地方に初出店し、さらなる認知度拡大に努めています。特徴としては、現在の回転寿司の定番と言われる“海老アボカド”は「スシロー」が発祥。また、お皿にICチップを取り付けた世界初の商品単品管理システムを導入(一定以上の時間を回っている寿司を自動で廃棄)するなど、独自のIT技術で寿司の鮮度管理も行っています。食品ロスを減らすことで、コスト削減に繋げたり、ICチップで集めたデータと顧客の食べたいネタを正しく予測したり、ビッグデータを活用した仕組みづくりが、業界トップに立つことができた要因と考えられます。
■「無添くら寿司(株式会社くらコーポレーション)」
サイドメニューの先駆者として、特徴あるメニューの開発に定評があります。
売上高……969億円
営業利益……48億円
店舗数……344店
(2014年10月期)
「無添くら寿司」と言えば、やはり四大添加物を除去し、寿司を無添加で美味しく安心して食べられるのが特徴。“無添加を世界に――”というスローガンを掲げ、海外にも進出しています。また、ウイルスやホコリ・つば等から寿司を守るオリジナルの寿司キャップ「鮮度くん」を開発。この徹底した安心・安全へのこだわりが、多くの消費者の心を掴んでいるのでしょう。
さらに、来店客層を拡大させるために、サイドメニューの開発に尽力。ラーメンやカレーをはじめ、コーヒーやデザート類を増やしできたことで客単価を上げる効果が出ています。話題の「シャリカレー(酢飯+カレー)」は10年越しで商品化に漕ぎつけたというほど、商品開発に力を入れており、今後も期待の大型商品の動向に、業界全体が注目しています。
■「はま寿司(株式会社はま寿司)」
業界最後発ですが年間50店舗超を出店し、急拡大中です。
売上高……874億円
経営利益……49億円
店舗数……373店
(2015年3月期)
2002年10月に設立された「はま寿司」。牛丼屋やファミレスなどを運営する「ゼンショーグループ」に属しています。グループの豊富な資産を活かし、北関東を中心に全国展開している同社。“フード業世界一”を目指し、世界進出を視野に急拡大中です。
事業拡大のキーとなったのは、競合の少ないいわゆる空白地への出店。食材調達が難しかったり、物流コストが高くついたりする問題も、業界最大企業である「ゼンショー」の傘下にいるから可能なのです。また、オリジナルのWEB予約システムの導入により顧客回転数がアップ。業績は右肩上がりで成長しています。
ライバル社も次々と「はま寿司に続け!」と言わんばかりに、優位と思われた地域にも進出してきているので、今後は他社動向を見極めた出店と、新サービスの展開で差異化できるか、気になる企業です。
外食業界で比較的安定した成長を続けてきた回転寿司業界。
2010年には約4,400億円であった業界の市場規模は、2014年には約5,600億円に成長しました。子どもからお年寄りまで、幅広い層に愛される“寿司”という商品の魅力と、新しい技術・サービスの導入で、顧客ニーズの変化に応じてきたことも要因と言えるでしょう。
■「銀のさら(株式会社ライドオン・エクスプレス)」
“食事の宅配”が主力の企業では初の上場企業です。
売上高……172億円
営業利益……10億円
店舗数……589(うち「銀のさら」365)店
(2015年3月期)
宅配寿司のパイオニアである「株式会社ライドオン・エクスプレス」は2001年に設立したまだまだ若い会社ですが、市場シェア約半数の現在急成長中の企業です。主力事業である「銀のさら」に加えて、宅配釜飯「釜寅」や高齢者向けの宅配弁当「銀のお弁当」、さらにレストランのケータリングサービスなどの新規事業を追加。固定概念に囚われない事業展開が、同業からも注目を集めています。
また、企業が急成長したのは“人財”の育成にも注力しているから。社長の「怒らない経営」という教えが全スタッフに行き届いているのでしょう。
■「ちよだ鮨(株式会社ちよだ鮨)」
“すしの大衆化”を目指して、多彩なスタイルで事業を展開しています。
年商……160億円
従業員数……3018名
(2015年3月期)
事業の中心は、小売店形式やスーパー、百貨店店内で持ち帰り寿司店です。その他に、リーズナブルな回転寿司や少しハイクラスなグルメ回転寿司、職人が握る握りたてのお寿司が安価で食べられる立食い寿司事業も展開。近年では、寿司ビジネスのスペシャリストを育成する教育機関の経営も軌道に乗っています。
“すしの大衆化”をスローガンに、より多くの人に新鮮でおいしい本格江戸前寿司を食べて欲しい、という思いから今の業態となった「株式会社ちよだ鮨」。
日本の飲食業界をリードする「ビジョナリーカンパニー100」にも選ばれており、独創的で先進性あふれる事業展開が魅力です。今後も、新しいタイプの店づくりに業界でも注目を集めています。
いかがでしたか?
この記事を読んで「おいしい」といつも口にしていたお寿司を、今回は“ビジネス”の視点から「たのしい」と感じてもらいたいです。
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