人気の生命保険業界は、毎年数多くエントリーがある業界です。志望者にとってはオンリーワンのエントリーシートですが、採用担当者は志望者の数だけ読まなくてはなりません。採用担当者を引き付ける、最後まで読んでもらえる志望動機を書くコツは何でしょうか。
一緒に考えていきましょう。
(※こちらの記事は、2016年2月25日に公開したものを更新しています。)
文章を書く際は、起承転結をつけて盛り上がったところで一番重要なことを書く、と学校で習ってきました。ある程度の長さがあれば、確かに起承転結をつけた方が読みやすい文章になりますが、志望動機は限られた長さの中で要点を伝えなくてはいけないという制約があります。そのためまず最初に、結論を提示した方が、読み手に伝わりやすくなります。結論の提示で、話がどのように進むかという方向性をつかめます。方向性が定まると、読み手は論点を追いやすくなるのです。
志望動機の場合は、伝えたい要点は、「なぜその業界、企業を志望しているのか」という理由になります。それを「自分がその会社で何をやりたいか」を説明する形にすると、積極的な志望動機になります。例えば、「私は御社がグローバルに展開しておられる点に魅力を感じたからです。」と言うよりも、「私はグローバルに働きたいと思っています、そのために……」と言った方が、熱意が伝わりやすくなります。
志望動機を考えてみると、自分の中にいくつかの理由があることに気づくかもしれません。その場合は、最初に、その数を伝えましょう。「私が御社を志望する理由は3つあります」といった形です。志望動機を考える際に、内容別に整理して、まとめましょう。まず、その数をあげてください。それから、1つ目の理由、2つ目の理由と展開させていくと、文章にテンポも生まれ、読み手の興味を引くこともできます。
志望動機に必要な3つの要素があります。「なぜ、その業界を志望しているのか」「その根拠となる経験やエピソード」「なぜその会社なのか」です。それぞれについて、考えてみましょう。
■なぜ、生命保険業界を志望しているのか。
これは、生命保険業界でどんなことをしたいのか、という形をとることもできます。ただ、他の金融業界ではなく、生命保険業界でなくてはならない理由を示さなくてはなりません。そのために、業界研究をする必要があります。
生命保険業界の特徴は、業務内容が、保険業法という法律に基づいて国の規制と監督を受ける特殊な業種で、「国民生活の安定や国民経済の健全な発展に資する」という公共性を持っています。
2016年には改正保険業法が試行され、よりクリーンかつ顧客に対する真摯な姿勢が求められるようになりました。
専門知識の必要な公的資格が必要とされる職種も含まれているので、キャリアアップという点でも特殊性のある業界です。
■その業界を志望する根拠やエピソード
最初に挙げた、業界を志望している理由や、何がしたいかという思いを裏打ちする、エピソードや経験です。保険を使った経験、身近な人の保険に関する経験、自分の性格や人となり、といったことも含められます。
保険業界には、契約者の掛け金を運用し、何かがあった時に助ける、「安心」を提供して人の暮らしを支えるという面もあります。こういった部分への共感を打ち出すこともできるかもしれません。
■なぜその会社なのか
自分がどのような仕事がしたいか、を業界の志望理由とした場合、その仕事が志望先の企業でできると思う理由をあげましょう。同業他社ではなく、その会社が第一志望であることを訴えるためには、志望先企業の特徴を知っていなくてはなりません。そのために、企業研究も必ず行う必要があります。例えば、日本生命であれば、「営業拠点は国内最大で、国内トップの安定した経営基盤を持っている」、第一生命は、「早くからアジア進出を進めている、株式会社化し、金融機関向けの代理店も設立されている」といった、各企業の業務と関連のある特徴や強みをまとめておきましょう。具体的な内容を志望動機に絡めるなら、熱意が伝わる志望動機になるでしょう。
公的資格を目指している場合には、企業の教育研修制度に関しても調べておくと良いです。
以上の点を押さえて、保険業界への志望動機の例文を考えてみましょう。
例文1
「私はお客様とコミュニケーションを取りながら、信頼関係を築く仕事がしたいと考えています。特に保険業は、人生設計から関わることで、お客様のよりよい未来を創る手助けができる仕事だと思いました。父を5年間担当している御社の営業の方が、「もしも癌になってしまったら……」「万が一、交通事故にあってしまったら……」とあらゆるリスクを親身になって、一緒に考えてくれていました。この間会ったばかりの方と、生死や病気に関わる話を腹を割って話すのは難しいと思います。しかし、5年間培った信頼があるからこそ、そういう話も腹を割って話せるのだと思いました。そんな人生に関わる業界で働き、お客様に信頼される営業になりたいと考えています。」
例文2
「私は、人を支える仕事をしたいと思っています。なぜ保険業界かというと、3つの理由があります。まずは、ボランティア活動を大学に入ってから続けており、お互いに助け合うことの重要性を感じたからです。2つ目に、保険業界は、人ならだれでもが直面するリスクを軽減する業務を行っているからです。死という最悪の局面で、役に立てるという点に魅力を感じました。3つ目は、お客様のライフ設計に関わりながら、長いスパンで支えていくことができるからです。また、御社は女性が活躍できるフィールドが整備されており、目的意識の高い先輩たちにお話を伺うことができました。私も、成長志向をもって、共に切磋琢磨していきたいと思います。」
例文3
「私は、営業の仕事をしたいと思っています。保険業は、人のサポートをする仕事ですから、胸を張って営業できる分野です。また、生命保険は世帯加入率が90%を越えているので、幅広い世代の方と長期間にわたって接することができるというのも、魅力的だと思いました。ずっと、私は接客のアルバイトをしてきました。この間、人それぞれに求めているものが違い、個々のお客様に対応できるよう既存のサービスをアレンジしていくことで売り上げは伸ばせるのだと学びました。御社のスローガンである、「あなたの未来を強くする」べく、働きたいと思っています。」
例文4
「私は、人の役に立ち、やりがいのある仕事に着きたいと考えています。生命保険は相互援助ができる業界です。お客様が一番困っているときに手助けをすることができます。御社の社内研修システムに関して、セミナーの時に伺いました。社内表彰や福利厚生といった制度も充実しているので、モチベーションを保ちつつ、キャリアアップできる環境が整っていると感じました。」
例文5
「私は法人総合営業職を志望しています。お客様に課題解決を提案し、新たな挑戦を可能にすることができる職種は、私の挑戦したいと思っていた内容でした。学生時代のアルバイト経験から、人の支えになり信頼されることが、仕事の基礎であると知りました。御社は、アフターフォローに力を入れておられ、どの会社よりもお客様に寄り添いながら仕事ができると考え、志望いたしました。」