就活において、業界研究はとても大切なこと。今まで生活してきた中で身近にあった業界以外にも、自分に向いている仕事があるかもしれません。知らなかった業界を知ることは、就活の門を広げることにつながります。どんな業界があるのか、調べてみましょう。
業界と一口に言いますが、産業別に大分類したものを業界ということもありますし、業種別に分類することもあります。どんな業界があるのか、大分類と中小分類に分けて業界を整理してみましょう。(ここで挙げた業界はごく一部です。気になった箇所があれば、調べてみましょう)
■製造業
・素材:化学、繊維、鉄鋼、非鉄金属、石油化学、セラミック、ガラス、土石製品、製紙・パルプ等、製造業でさらに加工される素材をつくる業界
・機械・機材:造船重機、輸送機器、プラント、建設機械、工作機械、住宅設備
・電気機器:家電、電子機器、電子部品、充電、医療機器、OA機器、半導体、精密機器等のメーカー
・自動車:自動車、自動車部品、自動車関連品のメーカー
・生活関連品:食品、飲料、楽器、医薬品、化粧品、サニタリー等のメーカー
・ソフトメーカー:音楽ソフト、ゲームソフト等
■金融業
・銀行業界:都市銀行、信託銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、ネット銀行、政府系金融機関
・証券業界
・保険
・クレジットカード・ローン・消費者金融
・リース
■情報・通信・メディア
・メディア:テレビ、新聞、出版、広告業界
・通信:電話、携帯電話、インターネット
・IT:ITサービス、ソフトウェア、ネットワークシステム
■流通業
・卸売業:生産者・製造業者から仕入れをし小売業者に卸す業種。専門商社、総合商社を含みます。
・小売業:百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、各種専門店、ディスカウントストア、アウトレットモール
■建設・不動産
・建設:住宅建設、商工業施設建設、道路建設等の土木、プラント建設、
・不動産:不動産仲介、不動産管理、不動産コンサルティング
■運輸
・鉄道・陸運:JR、私鉄、バス会社
・空輸、海運
■サービス業
・情報:コンサルティング、リサーチ
・教育:予備校・塾、教科書出版、学校、幼稚園、各種スクール
・人材:人材派遣
・医療・福祉
・旅行・ホテル
・レジャー、アミューズメント
・フードサービス:外食産業、ファーストフード等
■その他の業界
・アパレル
・クラウド系:クラウドファンディング、クラウドソーシング等
業界の構造はどんどん変化しています。新たにうまれる業界もあります。IT関連とサービス業の組み合わせによるITコンサルティングや、アウトソーシングとクラウドの組み合わせによるクラウドソーシング、金融とクラウドの組み合わせによるクラウドファンディングのように、新たな技術を使った業界がうまれています。
アパレル業界のように、いくつかの業界にまたがって展開し新たな業界を形成しているものも。例えば、ファーストリテイリングは自社商品を作っているという観点からはメーカーになりますが、販売しているという点では小売業になります。
巨大ゼネコンやメガバンク、総合商社のように、企業の経営多角化によって、1つの企業がいくつもの業界で活動していることもあります。
一社一業種ではなくなっているため、各業界はお互いに密な関連を持っています。大分類の業界の下にある業界は、どのような構造になっているのでしょうか。業界研究をする際には、まず業界の核となる業態、業種を確認しましょう。いくつかの業種を兼ねている業態もあるかもしれません、全く違う業界が参入していることもあるかもしれません。業界の構造を、金融業界を例に見てみましょう。
金融業の業界規模は約50兆円、基本的には文字通りお金を扱う業態から成り立っています。
■金融業の核となる業界と構造
金融業界には、銀行、証券、損害保険、ローン・クレジットカード、リースといった業界があります。この図は、各業界の関係を図形化したものです。
・銀行業界の核となる三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクは、信託銀行や地方銀行といった業態の違う銀行、証券、リース、損害保険、クレジットカード会社といった業務内容の違う金融業社を子会社として傘下に持ち、金融業のすべての業界で活動しています。
・地方銀行は地元に密着した金融活動を行っている銀行ですが、県を越えた統合や合併が行われ、再編が進んでいます。福岡フィナンシャル・グループのように、証券やクレジットカードといった他業務の金融業を行う地方銀行も出てきています。
・信託銀行は信託業務(他人財産を自己名義で預かり運用する)を行う銀行ですが、メガバンク系、地方銀行系、外資系と各銀行系の投資銀行が大きなシェアを占めています。
・信用金庫・信用組合は、金融商品やサービスを提供している点では銀行と同じサービスを行っていますが、銀行と異なり、協同組織の非営利法人となっています。しんきんカードのようにクレジットカードサービスも金融サービスの一環として行っています。
・ネット銀行は、従来型の銀行と異なり、店舗や自前のATMが少なく、紙の預金通帳も発行しないため、コストが少なくて済む分点が金利や手数料に反映されている新たな形態の銀行です。
・政府系金融機関には日本銀行や住宅金融支援機構といった政府系の金融機関が含まれます。ゆうちょ銀行は、メガバンクに近い規模を誇っています。
・証券業界は、仲介・引き受けといった株式関係の業務を行いますが、業界トップの野村ホールディングスや大和証券グループ、岡三証券といった証券系の企業以外に、メガバンクや地方銀行系もシェアを持っています。
・保険業界は、損害保険と生命保険を扱います。経営統合が進み、東京海上グループ、MS&ADホールディングやNKSJホールディングといった巨大グループがうまれ、業界再編が進んでいます。
・クレジットカード・ローン・消費者金融も業界再編が進んでいます。クレジットカードは銀行の金融サービスの一端を担っています。
・リース業界最大手のオリックスは、証券業も含め各種金融業に参入しています。
■他業界と金融業界の関係
この図は、金融業界の関係図に、他業界を加えたものです。業界は日々変わっていますから、他にも金融業に参入している業界もあると思います。業界研究をする際には、業界成立の流れや、最近の傾向といったものも視点に加えてみると良いかもしれません。自分が考えていた業界以外にも、希望する業務を行っている企業があり、希望する職種に就ける可能性が広がります。
・メガバンクは、海外展開にも積極的で、M&Aによる多業界への参入も行っています。大型プロジェクトの投資信託という形で不動産業界との関連もあります。システム開発系の子会社も傘下にあり、IT業界にも進出しています。
・地方銀行も、福岡フィナンシャル・グループに見られるように、事務代行サービス業やITシステム開発といった他業界の業務を行う地方銀行も出てきています。
・ネット銀行は、IT企業が母体の楽天銀行のように他業種からの参入が盛んな業態です。
・クレジットカード業界も、金融以外の業界からの参入が盛んな業界です。例えば、クレディセゾンは運輸・流通業界のセゾングループを母体としています。
・リース業界は、設備機器導入の際に機器を購入し賃貸する金融業という設立目的から、銀行系以外の他業種も参入している業界です。