モデルルームの見学に行ったとき、ハウスメーカーの仕事は楽しそうだなと思った経験はありませんか。夢のお家を建てる、提供するお手伝いをする仕事にあこがれる人も多いのではないでしょうか。家を作るとき、売るときに誰が関わっているのか、ハウスメーカーで働くことを考えるなら、知っておく必要があります。
「家を建てる」「家を買う」という過程をまず考えてみましょう。2つのパターンが考えられます。
1. 土地があって(もしくは土地を購入して)、家を建てる。いわゆる注文住宅を建てる
2. 建ててある(モデルルームを見て)家を買う。建売住宅やマンションを購入する
ハウスメーカーによって、注文住宅のみを扱っているところもありますし、デベロッパーとして大規模開発を行う企業もあります。それぞれの場合に、どういった業者が関係してくるのか、プロセスに沿ってみてみましょう。
●注文住宅を建てるとしたら
まず、土地を手配します。すでに土地があるといった場合は別として、土地を購入するなら、不動産業者が関わってきます。その土地に家を建てるには、建築業者、設計士が必要に。どういった家を建てるかによって、建材をどうするか、内装をどうするか、電気関係の配線や、キッチン、浴室といった設備も必要になってくるので、それぞれを決めて購入する必要が出てくるのです。そうすると、それぞれの資材を提供するメーカーや販売店が関わってきます。
●建売住宅またはマンションを購入するとしたら
モデルルームを見に行って購入するというのが一般的な購入者のパターンだと思われます。
ハウスメーカー側からみると、どうでしょうか。まずは、デベロッパーがマンションや住宅予定地となる土地の手配。多くの場合、デベロッパーは不動産業者となります。その土地を住宅用地として開発する必要があります。インフラ設備、基礎工事を行ってから、建築施工を行います。施工の前に、設計を行う必要もあります。
2005年に判明した姉歯設計士の耐震偽装問題は、設計段階での偽装。2015年の耐震データ偽装は施工段階での偽装でした。杭打ち工事を行った旭化成建材、基礎工事を行った日立ハイテクノロジーズ、施工主であった三井住友建設、デベロッパーだった三井不動産と、補償問題も含めて日本を代表するいくつもの大企業のコンプライアンスが問われる大問題になりました。大規模開発の住宅建設には、それだけ多くの企業が関わっているということですね。
外側の建物ができると、次は内装が必要。注文住宅同様、電気関係の配線や、キッチン、浴室といった設備を購入し、施工を行います。それぞれのメーカーや施工業者が関わってきます。
不動産業者、設計業者(建物の設計と開発地の設計)、建築業者(基礎、建物、造園)、内装設備のメーカー、販売、施工業者といった業者が関わっているのです。
●建築後の建物は?
建物が建てられた後、注文住宅の場合は、大抵は注文主が住むことになりますよね。マイホームを自分の希望通りに作ってもらうというのは、多くの人の夢ではないでしょうか。
分譲マンションや、建売住宅も、多くの人は住むために購入するでしょう。購入者は、たいていの場合、デベロッパーである不動産業者から購入することになります。分譲だけではなく、賃貸物件もあるなら、賃貸業者も関わってくるかもしれません。
近年の住宅のトレンドは、高付加価値です。耐震・耐火、省エネハウス、スマートハウスといった機能で差がつく住宅が人気になっています。
鬼怒川の大洪水の際に、次々と流されていく家々の一方で、最後まで残っていた白い家は評判になりました。あの建材はヘーベルで、耐久性に優れているようです。建材メーカーは、耐震性や耐火性、耐久性に優れた建材を常に開発しているのですね。
スマートハウスは、ITを使ってセキュリティや家電といった住宅機器を制御できる機能を持った住宅です。家の換気や住宅で使われるエネルギー制御も可能です。スマートハウスの開発には、IT関係、セキュリティ関係、家電メーカー、太陽光発電や蓄電関連と、多くの企業が関わっています。
住宅建設に関わる業種別に、どういった企業があるか見てみましょう。売り上げ額については、2014年度の決算時の公表額です。
●デベロッパー(不動産業者)
大規模な宅地造成の場合には、土地開発や基盤整備を行うデベロッパーが必要になります。住宅開発の場合は、メジャーセブンと呼ばれる大手7社があります。住友不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱レジデンス、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京の7社です。2013年に供給された新築分譲マンションの約30%は、この7社によって供給されています。大型開発も多く、管理サービスも行っているので、開発から販売後のサービスまで一括で行っています。中規模開発は、施工も行っている建築会社、ハウスメーカーがデベロッパーとなることが多くなります。
デベロッパーともなる大手不動産企業の概算の売り上げ額は以下のようになっています。不動産業界の業界規模は、およそ11兆円、主要企業128社の雇用人数は5万人弱です。
•三井不動産レジデンシャル 1.5兆円
•三菱レジデンス 1兆円
•住友不動産 7,802億円
•東急不動産ホールディングス 7,140億円
•大東建託 6,776億円
•野村不動産ホールディングス 5,320億円
•大京 3,338億円
•東京建物 2,200億円
●施工業者
施工業者である建築会社には、デベロッパーとして土地開発から建設、販売までを行っている大手企業もありますし、地域に根付いた住宅建設を行っている街の工務店もあります。特に注文住宅は地元の工務店や大工さんを選ぶ場合も多く、業界最大手のシェアも2%に及びません。
ハウスメーカーは、日本国内全域または地方一帯といった広範囲の領域で展開する住宅建設会社の呼称です。フランチャイズ展開を行っているグループもあります。
大手ハウスメーカー10社の売り上げは以下のようになっています。
•大和ハウス工業 2兆7,000億円
•積水ハウス 1兆8,051億円
•住友林業 9,729億円
•飯田グループホールディングス 7,537億円
•旭化成ホームズ 5,343億円
•積水化学工業(セキスイハイム) 4,966億円
•ミサワホーム 4,260億円
•パナホーム 3,244億円
•三井ホーム 2,472億円
•タマホーム 1,695億円
●建築設計事務所(住宅部門)
建築物の設計施工を行っている業者です。設計業務のみを受託して行う事務所と施工会社の一部門として設計業務を行う場合があります。住宅建築に関わっている大手の建築設計事務所には以下のような企業があります。
•武田設計 17億7,400万円
•日建ハウジングシステム 17億4,900万円
•三菱地所設計 16億7,100万円
•日本設計 12億9,800万円
•アール・アイ・エー 10億9,700万円
●住宅設備メーカー
住宅設備には、トイレやバス、キッチンといった水回りの設備、機材、電気関係の設備、機材といったものが含まれます。業界規模は、およそ10兆円、就業人口は12万人を超えています。主な企業は以下のようになっています。
•パナソニック(エコソリューションズ事業部) 1兆8,466億円
•LIXILグループ 1兆6,286億円
•TOTO 5,534億円
•YKK 4,029億円
•JKホールディングス 3,520億円
•三和ホールディングス 3,119億円
•三共立山 2,952億円
•リンナイ 2,869億円
•積水化学工業(環境ライフライン事業部) 2,269億円
•ノーリツ 2,003億円
参照元サイト
https://www.ullet.com/search/group/3.html#market/1_4/group/3/page/2
https://gyokai-search.com/3-house.htm