就職を考え始めていろいろな業種を調べ始めると、今まで気が付かなかった職種に気づくことがありますよね。MRというのも、普段の生活ではそれほど身近な仕事ではなかったかもしれません。ドラマ「コウノドリ」はリアルな描写で医療現場を描いている作品でしたが、近年の医療ドラマではMRの活躍もよく目にするようになりました。ドラマ「ドクターズ3」では、滝沢沙織さんが演じるエスアイ製薬のMR渋谷翔子が、相良先生に情報を提供して病院乗っ取りを防ぎました。ドラマ「フラジャイル」でもMRの火箱直美が面白い役どころですよね。では現実には、MRはどんな仕事をしているのでしょうか。
MRは、英語のMedical Representativeの頭文字です。日本語にすると、医薬情報担当者。医療従事者等を訪問して、医薬品に関する情報を提供する仕事。医薬品の品質や安全性、有効性といった情報を提供するとともに、使用した際の状況や副作用に関して、医療従事者から情報を収集することもあります。
●MRはスペシャリスト
MRは、飲み薬や塗り薬だけでなく、点滴や注射で使う液剤も含めてあらゆる医薬品を扱います。新薬の売り込みも行います。医薬品の使い方次第で人命や健康を損なってしまう可能性もありますから、充分な専門知識が必要。また、医薬品の開発は日進月歩ですから、専門知識を日々新たにしていかなくてはなりません。MR認定試験に合格して得られるMR認定証が5年ごとに更新が必要というのも、MRの仕事を考えると当然のことかもしれません。
●MRは現場とメーカーの架け橋
MRは薬品の効果的な使用方法や効能といった情報を伝えることで、医療現場に貢献しています。新薬で、患者さんの症状が緩和されたり、病気が治ることも。投薬の仕方や組み合わせで、経済的な負担を抑えることもできるかもしれません。
MRは、情報を提供するだけではなく、医療現場から情報を得て会社にフィードバックすることも業務の一つ。他の薬との関連、患者さんの持病との関連、それらに伴う副作用、使い勝手や効果、といった情報を、医師や薬剤師といった現場の医療従事者から直接集めて、メーカーにフィードバックすることもあります。研究開発過程では見つからない副作用が発見されることもあり、そういった状況で情報をいち早く把握し、素早く行動することが必要な責任ある職種です。
MRの採用条件は、ほとんどの会社が「全学部」となっています。実際に活躍しているMRの出身学部を見てみると、文系学部出身者が57.4%を占めていました。文系の学生でも医療に貢献することのできる仕事なのです。広い人材が応募できて、やりがいのある仕事という点から人気があるのかもしれません。そのほかにもいろいろあるMRの仕事のメリットをいくつか見てみましょう。
●高収入で福利厚生が良い
MRは医療関係職であるため、責任も大きく、常に知識をリニューアルしていく必要があります。仕事のハードさを考えると、当然かもしれませんが、それに見合った収入があるというのは、魅力ですね。医薬品メーカーは大手企業が多く、福利厚生の点でも厚く、雇用面でも安定しているという面もあるようです。
●働き方を変えられる
MRは業界の認定試験もあり、専門性が高い仕事。最近は、製薬会社で正社員として就職してMRとしての経験を積んだ後、結婚や出産を機にCSO企業に入り、派遣やパートタイムでMRとして働くといった形で雇用スタイルを変えられるケースも増えているようです。ライフスタイルの変化に合わせて、キャリアを生かしながら働き続けることができるというのも大きな魅力ですね。
全国で64,657名(2015年3月31日現在)のMRがいます。どういった会社で働いているのでしょうか、二つの視点から見てみましょう。
●外資系の製薬会社、日本の製薬会社
58%にあたる37,485人が145社の日本資本の製薬会社で働いています。外資系の製薬会社は、42社ですがMRの数は22,960人と、一社当たりのMRの数は外資系企業の方が多くなっています。MRの人数からみたトップ10企業を見ても、外資系と日本の内資の会社でちょうど半々。外資と内資の違いはというと、日本の会社の方が福利厚生が厚く、外資系の会社の方がインセンティブの割合が多いという傾向があるようです。
【1】 ファイザー株式会社(2560人):外資系(アメリカ合衆国)
【2】 アステラス製薬(2400人):日本の製薬会社
【3】 武田薬品工業(2300人):日本の製薬会社
【4】 第一三共製薬(2200人):日本の製薬会社
【5】 メルク・アンド・カンパニー(2200人):外資系(アメリカ合衆国)
【6】 ノバルティスファーマ(1900人):外資系(スイス)
【7】 日本イーライリリー(1880人):外資系(アメリカ合衆国)
【8】 田辺三菱製薬(1840人):日本の製薬会社
【9】 グラクソ・スミスクライン(1780人):外資系(イギリス)
【10】 中外製薬(1649人):日本の製薬会社
●会社規模
従業員数1,000名以上の会社が20社あり34,229人(52.9%)、従業員数500〜999人の企業で働く人が15,840人(24.4%)となっており、従業員数500人以上の会社で働くMRが全体の80%近くを占めています。
製薬会社の売り上げ順位で見てみましょう。(2014年現在)MRの人数と必ずしも連動していませんが、志望先を考える際には、売り上げ規模というのも参考になりますね。
【1】 武田薬品工業(5,613億円)
【2】 ファイザー株式会社(5,020億円)
【3】 アステラス製薬(4,987億円)
【4】 第一三共製薬(4,805億円)
【5】 メルク・アンド・カンパニー(3,759億円)
【6】 中外製薬(3,625億円)
【7】 大塚フォールディングス(3,616億円)
【8】 田辺三菱製薬(3,239億円)
【9】 サノフィ(2,934億円)
【10】 ノバルティスファーマ(2,915億円)
MRに限った話ではありませんが、MRの仕事内容を調べた後、企業による特徴を調べましょう。企業のほとんどは、採用専用のWEBサイトをもっており、サイトからのエントリーができるようになっています。
●採用のスケジュール
昨年の採用カレンダーでは、多くの会社がまずはWEBからエントリーシートの提出、その後会社によって説明会か適性検査を含むテスト、それから、一次面接(大抵はグループディスカッション)を経て、二次面接、最終面接となっているようです。
他業種と比べると、適性検査や学力テストを行う割合が高いこと、一次面接が集団面接や、グループディスカッションになっているケースが多いといった点が採用スケジュールでの特徴です。
エントリーシートはできれば締め切り間際に出すのではなく、受けつけが始まったらすぐに出すようにしましょう。早めに進めると、面接に進むのも早くなり、気持ちに余裕が持てますよ。
グループディスカッションは、必ずしもグループのリーダーにならなくてはならないというわけではありません、でも、発言しないとアピールはできません。チームワークを作れて、建設的な発言をするよう心がけましょう。
●志望動機
エントリーシートに必ず書かなくてはなりません。まずは、志望企業の経営哲学や理念といったことを抑えましょう。自分がその企業を志望する動機と、MRという仕事を希望する動機をきちんと分けて、整理しておきましょう。それぞれの動機は、受け身の理由ではなくて、なぜ選んだのかという質問に対する答えになるよう、自分の熱意が伝わるようなものを考えて下さい。エントリーシートには長々と書くのではなく、簡潔に要点が伝わるように書きましょう。面接の際には、自分の経験を志望動機に絡めて説明できると良いかもしれません。前もって志望動機を掘り下げて良く考えておくと、面接の際にも役に立ちます。
●例文
MR職を志望する理由は、医薬品を通じて、多くの人の未来を支えたいからです。学生時代に家族が病にかかり、非常に苦しそうな姿を見ました。そのときに、他に自分と同じ思いをする人がでてくるのが嫌だと考え、MRとなり、多く人に薬を届けたいと思いました。医者と病人の架け橋になって、その人の未来を支えたいです。
参照元サイト
公益財団法人MR認定センター(https://www.mre.or.jp/com_on/mr_examination_c3.html)
メディサーチ(https://www.medisearch.co.jp/doukou_kakukaihatuhi.html)