学生にとって、就活は人生における大きなイベントです。しかし企業側にとっても、同じように採用は重要なものと言えるでしょう。だからこそ、面接官もさまざまなことを考え、面接を行っています。面接官側の立場から考えてみると、何かのヒントが見つかるかもしれません。
就活を通じて、学生は悩みや不安、期待や落ち込みなど、さまざまな感情を抱えることでしょう。学生の中には、「企業の採用担当者は私たちを選んでいるだけ」などと思っている人が多いかもしれません。しかし実際には、企業の採用担当者もいろいろな悩みを抱えながら採用活動を行っています。中には「自分が行っている面接はベストなのだろうか」などと、不安に思いながら面接を進めている場合もあるのです。
面接時間は、長くても1回あたり1時間程度でしょう。その短い時間で、初めて会った就活生の能力や適性、あるいは将来性などを判断しなければなりません。では実際、初めて会った相手と1時間程度の会話を通じ、理解し合えるものでしょうか。恐らく、「それは難しい」と感じる方が多いはずです。そのため面接官はいかに自社に合った就活生を見極めるかを常に考え、試行錯誤しています。
企業の面接官は、面接前にエントリーシートや履歴書などを読み込み、あらかじめ学生の学歴や能力などを理解しています。自己PRなどからも、その学生が得意としていることが判断できるでしょう。課外活動などについて書かれていれば、その学生がどのような学生生活を送ってきたのかもわかってきます。
では面接官は、面接を通じて何を知りたいと思っているのでしょうか。それは、学習能力や協調性、誠実さなど、目には見えない資質です。例えば面接で、学歴も課外活動もよく似ている学生がいた場合。エントリーシートなど書面上から読み取れる情報では、ほとんど変わらないと感じるでしょう。しかし面接で話してみれば、それぞれに個性があり、異なる資質が見えてきます。それこそが、企業で活躍してもらうために重要なポイントなのです。
面接の目的は、学生の資質の違いを見極めること。そのために、面接官は次のようなポイントに気をつけています。
・学生がリラックスできるようにする
学生は良い評価をしてもらおうと、緊張した状態で面接に臨んでいます。「受かりたい」「良く見られたい」という気持ちが非常に強くなっていますので、自分自身にプレッシャーをかけてしまっている場合もあるでしょう。しかしそんな状態で、人は素の自分を出せなくなります。
そのため面接官は、そんな学生をまずリラックスさせなければなりません。例えば面接のスタート時に冗談を言ったり、世間話をしたりして、リラックスできる雰囲気を作ろうとします。
・熱意とともに積極的に口説く
特に中小企業やベンチャー企業などでは、面接官は自社の魅力を伝え、熱意とともに積極的に就活生を口説きます。面接官は、こちらから積極的に採用しようという姿勢で臨んできているのです。どうしても欲しいと感じた学生に対しては、「どうすれば自社を選んでくれるか」を考えアプローチしています。
・未来の話ではなく過去の話を聞き出す
面接では「就職してからどうするか」という未来の話より、過去の話を聞き出していきます。つまり「これから何をやりたいのか」ではなく、「なぜそれをやりたいと思ったのか」を知りたいのです。そうした情報からは、就活生の人間性をうかがい知ることができるでしょう。
それでは最後に、実際に面接官がよく就活生へ問いかけている質問を見てみましょう。ここでは、2つの質問法を取り上げます。
・「なぜ?」と繰り返し聞き出してくる
本質的な思いや考えを聞き出すため、面接官は就活生からの回答に対して、繰り返し「なぜ?」と問いかけてきます。これは、回答の根拠となる具体的な内容を聞き出したいと考えているためです。「なぜ?」を繰り返すことで回答が深掘りされ、根底にある理由・根拠が明確化されていきます。そして突っ込んだ質問からは、就活生それぞれの人間性やタイプが見えてくるのです。
・学生が結論を述べるまで最後まで話を聞く
面接で答える際には、「結論から話すように」とアドバイスされることが多いでしょう。しかし緊張した状態もあり、学生によって結論が後回しになってしまうことが少なくありません。中には質問内容を忘れてしまい、ついダラダラと長く話してしまう人もいるほどです。
しかしそんなときも、面接官は最後まで話を聞いてから、さらに質問を投げかけるようにしています。会話のすべてが、選考するうえでの判断材料となるのです。ただし基本的には、やはり結論から話して欲しいと考えているもの。就活生は、それを十分に意識して対応できるようにしておきましょう。