エントリーシートや面接では、企業によって実に多様な質問が投げかけられるでしょう。しかしそれでも、多くの企業から聞かれやすい鉄板とも言える質問があります。
今回はその中から、「就職先を決めるうえで最も重視することはなにか」という、代表的な質問について考えてみましょう。
就活ではほとんどの学生が、複数の企業へエントリーします。業界・企業研究を経て、少しずつエントリー先の企業を選別していくことでしょう。
あるいは、複数の企業から内定を獲得するかもしれません。しかしそれでも、入社できる企業は1つだけ。ここでも就活生は、企業を選ぶ必要性に迫られます。
就活生から見ると、自分は常に「選ばれる側」にあるように感じるはずです。しかし実際のところ、企業もまた就活生から選ばれる側にあります。
就活生の重視するポイントに対して自社に不足する部分があれば、採用後にミスマッチが起きる可能性があります。あるいは「どうしても採用したい」という学生がいれば、不足を補える説明を企業側から行うかもしれません。こうした背景から、企業はあらかじめ「何を重視しているのか」を確認したいと考えているのです。
就職先を決めるうえで、何を最も重視するのか。その基準は、当然ながら人によって異なります。中にはなんとなく就活をスタートさせ、そのまま選考を受けている就活生がいるかもしれません。しかし、それでは質問に答えられませんし、採用される確率も下がるはずです。
そこで大切なのが、自己分析です。自分がどんな企業で、どのようなキャリアを積んでいきたいのか。あるいは環境・待遇面によっても、発揮できるパフォーマンスやモチベーションの在り方が異なるでしょう。そうした自分自身の基準を、まずは自己分析から確認してください。
もし迷うようなら、他者から見た自分について聞いてみるのも1つの方法です。あるいはOB・OG訪問を行えば、より具体的に働くということをイメージできますよ。
それでは、「就職先を決めるうえで最も重視することはなにか」と聞かれた際の回答例をいくつかご紹介しておきます。基準となる項目別に分けておりますので、こちらを参考に、自分なりの答えを見つけ出してください。
<年収、待遇>
「私は自己研鑚を欠かさず、企業に貢献できる人材として日々成長していきたいと考えています。そのうえで重視するのは、やはり年収や待遇面です。ただしこれは、単純に高待遇だから就職したいというわけではありません。自身の働きを正当に評価し、それに応じた年収・待遇を得られることは、より上を目指していくうえで大きなモチベーションになると考えています。もちろん成果が挙げられなければ、高い年収や待遇を得られないのは当然のことです。」
<将来性>
「企業の将来性を重視しています。それは、速いスピードで成長していく企業の中でこそ、私自身もまた鍛えられ、成長していけると考えるからです。現在手がけている事業はもちろん、時代にあわせ柔軟に、かつ新しい動きを取り入れていける環境であるかも、将来性を見るうえでとても大切なポイントと考えています。」
<安定性>
「安定性のある就業環境を望みます。もちろん今の時代、100%の安定を望むことは難しいでしょう。しかし私は、どちらかといえばじっくり腰を据えて物事に取り組みながら、力を磨いていくことに強みを持っています。そんな私にとって安定感ある環境は働きやすいものであり、安心して仕事に集中できると考えているのです。」
<業務内容>
「どのような仕事に取り組めるのか、その業務内容を重視しています。どのような仕事も初めての経験ですので、もちろん今の段階から「この仕事でなければ嫌だ」などと考えているわけではありません。一番大切なのは、その業務内容がどんな人にとって、どのように影響するのかということです。そこにやりがいを得られなければ、強い意欲を持って仕事に取り組むことは難しいと考えています。」
<社風>
「社風を重視しています。仕事はほぼ毎日、何時間もの間を過ごす環境です。そしてその中で得られる人との繋がりは、私にとって大きな影響を及ぼすと思います。だからこそ、企業がどのような社風であり、どんな人が集まっているのかを知ることは、私にとってとても重要です。社風の合わない環境では、個人が最高のパフォーマンスを発揮し続けることは困難だと思います。」
1社しか内定がもらえていない状態では、焦りから「この企業でいいか」と安易に就職先を決めがちです。しかしそれでは、入社してからイメージギャップに悩まされたり、思うように成果があげられなかったりするかもしれません。
就職後に「この企業に入社して良かった」と思えるためにも、しっかり基準を持って企業を選びましょう。そのためには、早い時期からの準備が大切です。