就活で業界を決める際には、「興味がある」「この業界なら安定していそう」「働くなら絶対この業界!」など、何らかのキッカケがあるはずです。趣味が高じてその道に進みたいと考える学生もいれば、経済学部だから金融関係など学んできた学問をベースにする人もいるでしょう。中には、とにかく安定している大企業を目指すというケースもあるかもしれません。
キッカケはどうであれ、志望する業界・企業が決まったら、あとは前に向かって進むだけ。しかし後先考えず闇雲に突き進むだけでは、上手くいかないことも出てきてしまいます。それは、どのような業界も同じこと。例年大勢の就活生が集まる食品メーカーもまた、特に人気が高い業界だけに、内定獲得への難易度も高まります。ではそんな食品メーカーをはじめとする業界全体の内定倍率はどのようになっているのでしょうか。
食品業界には国内だけでなく、グローバルに活躍する企業も少なくありません。また、製造業という特徴から、従業員数が1,000人を超える企業もあります。ただ食品業界と言ってもその種類は多岐にわたり、肉製品や乳製品、水産食料品、パン・菓子、調味料製造などさまざま。
ではいったい、それら食品業界でどんな仕事を目指しているのか。あるいは、自分がどのような貢献をできると考えているのかは、しっかり自分の中で考えをまとめておきましょう。
日常に欠かせないものというイメージが強いからか、食品業界は安定性が高い印象も強いようです。次々に新しい商品や新しい味・種類が発売される菓子メーカーは、特にその傾向が強くなっているようです。
では食品業界で事務系総合職に就きたい場合、どの企業の内定競争倍率が高いのでしょう。東洋経済オンラインによって発表された事務系総合職で内定競争倍率の高い50社の中から、食品業界に属する企業を取り上げてみました。
1位:明治/応募者数約11,000人、内定者数4人、倍率2,750倍
3位:森永乳業/応募者数約9,600人 内定者数18人 倍率533倍
6位:味の素ゼネラルフーズ/応募者数5,645人、内定者数15人、倍率376倍
7位:ヤクルト本社/応募者数約7,000人、内定者数22人、倍率318倍
9位:カゴメ/応募者数10,172人、内定者数33人、倍率308倍
なんと上位10社中、その半分を食品関係の企業が占めているのです。しかも1位の明治は、その倍率が2,750倍。これ以降のランキングを見ても、14位に275倍のサントリー食品インターナショナル、15位に268倍のハウス食品、16位に267倍の味の素など、内定競争倍率の高い50社のうち13社が食品業界の企業という結果でした。
いったい、なぜこのような結果になるのか。やはり大きな要因として、テレビコマーシャル等のPR活動が影響しているのでしょう。普段、何気なく見ているテレビなどから流れてくるコマーシャル。そこから自然と企業名などが頭の中に覚えこまれていくのです。また、応募者数が多い割に、内定者数が少ないことも1つの要因といえるでしょう。
就活を始める際、エントリーがインターネットによって簡略化されたことも挙げられます。ボタン一つで応募可能なため、一人の学生が何十社もの企業にエントリーすることも。認知度のある食品メーカーは”知っているからとりあえず応募”という学生も多く、結果的に競争倍率が高くなるのです。
もちろん、「私はこの企業で働くために他人の何倍も努力をしてきた。どんなに倍率が高くても挑戦する!」という学生もいるでしょう。しかし、倍率の高い食品企業ばかり志望するリスクは、数字を見るだけで明らかではないでしょうか。
テレビコマーシャルや広告を見て、企業を身近に感じがちではありますが、なぜ食品業界を志望するのかを明確にしている人は案外多くありません。例えば食品業界の中でもなぜ食品メーカーなのか、なぜお菓子なのかを突き詰めて考え、志望動機を考えましょう。
特に事務系総合職を希望している学生は、最初から食品業界のみに志望先を絞るのではなく、いろいろな業界を候補として考えておくと良いでしょう。もちろん将来を大きく左右する就活ですから、本命企業で働きたいと願う気持ちは分かります。しかし広い視野を持てば、他にも興味を持てる業界があるかもしれません。あるいは他業界でも、何らかの形で間接的に食品へ関われるチャンスもあるでしょう。食品メーカーが狭き門であることをよく考え、後悔のない就活を進めてください。