就活で志望業界・企業を絞り込んでいると、なかなか志望先から内定が得られず「絶対にこの企業で働きたい」「この業界で働くために一生懸命勉強してきたのだ」などの理由で就活留年を決める学生が出始めます。中には経団連の加盟企業が就活時期を後ろ倒しとしたことで、それに沿って就活を進めた学生が、結果的に取り残されてしまっているケースもあるようです。
こうした背景から、2017年3月卒業予定の就活スケジュールが、変更される可能性が出てきました。(参考記事:https://agent.jobrass.com/magazine/guide/2966/)経団連に属さない中小企業は早くから求人活動を実施し、内々定もしくは内定を出して学生の確保に乗り出している状況。一方で大手企業などでも、早期からの学生確保にさまざまな対策を講じています。
経済状況は上向いているとされる昨今、優秀な人員を一定数確保したいのは、企業規模を問わず同じです。しかし大企業志向の強い多くの学生は、早い段階から結果の出る中小企業からの内定を辞退。しかしその結果、ルール遵守の大企業から不採用の通知を受け、就活留年を余儀なくされるケースが多く見られます。これは、意外と多いパターンといえるでしょう。
就活留年を決めた学生は、すでに卒業に必要な単位を取得済みです。そのため「来年まで時間ができたのだから」と、悠長に構えていないでしょうか。あるいは「ここまで真面目に頑張ったのに…」と、ショックを引きずっている人もいるかもしれません。
就活が思ったようにいかず、就職留年することを決意。そうなれば、やはり精神的にも肉体的にも充電期間が欲しいところでしょう。しかし次年度でちゃんと就活を成功させたいと思うのならば、きっぱりと気持ちをリセットして、少しでも早く前向きに進み始めることをおすすめします。
いくつも経験した筆記試験や面接。自分では手ごたえが十分あったにもかかわらず、受け取ったのは“お祈り”の通知ばかり。誰もが「なぜ?」と当然ながら思うでしょう。しかし本質的な不採用の理由など、いくら考えても分かりません。それを知るのは、応募先の採用担当者だけなのです。そのため、過去に縛られても前進はないでしょう。気持ちを切り替え、新たな就活に向けてスタートを切るのが得策です。
企業や採用担当者が、何を基準に内定を出しているのか。それは、学生側から知る由もありません。ダメだったことについて悩み、時間をかけて「なぜだったのか?」と考えれば考えるほど深みにハマってしまうでしょう。すると、「自分はダメなんだ」「企業から必要とされないのだ」などと、どんどんネガティブな思考ばかり生まれてしまいます。そんな状態では、せっかく1年チャンスを延ばして就活留年しても、満足のいく結果は得られません。
就活留年する学生には、「就活の一連の流れを経験している」という強みがあります。それを活かさない手はありません。では前回の就活で、そのスタートとなる志望先はどのように決めたのでしょうか。自分のやりたい仕事と、どんな点で志望企業や社会に貢献できるかのマッチング。志望企業の理念と自分の仕事に対する考えが、きちんとマッチングできていたのかを振り返ってみてください。
志望動機や入社後のイメージも曖昧では、いくら取り繕おうとしても採用担当者から見透かされてしまいます。もちろん知名度や安定性などを理由に、大企業を志望するといった学生もいるでしょう。もちろん、それは悪いことではありません。しかしその場合にも、例えばエントリーシートへその旨を記載する人はいないはずです。誰もが各企業について調べ、考察し、自分なりの思いを抱いているもの。だからこそ内定を得られる学生は、採用担当者に「この人となら一緒に働きたい。」と感じてもらえるのです。
就活を経験しているというアドバンテージ。これは、より自身にマッチした企業を探すうえで大きな強みです。今一度、自分の志向性などをよく踏まえたうえで、企業選びから始めてみましょう。
学業と就活を両立させる心配がなく、就活に集中できる就活留年生。だからこそ、「まだまだ……」と思わずスタートダッシュしましょう。エントリーシートの提出や就職セミナー、企業説明会などの日程は、もしかしたら早まる可能性があるかもしれません。しかし一度経験している留年生は、手順がわかっているのでさほど心配はいらないはずです。昨年度にインターンシップやOB・OG訪問などを行わなかった学生は、ぜひ今回こそ経験することをおすすめします。そうした早期からの動きが、他就活生との差へと繋がっていくことでしょう。
しかし、日程以外の全てが“前回と同じ”と考えては危険です。企業活動は日々動いています。つい最近まで順調に推移していた業績が、世界情勢や国内情勢を含む様々な要因によって一気に悪化する企業の例もあるのです。それは、たとえ日本を代表する名の知れた大企業といえども同じこと。また、企業内部の問題が大きな社会問題に発展し、糾弾されているケースも考えられます。自分の志望する業界・企業がどのような状況にあるか、現状をリサーチするのも大事なことです。そうした情報収集や分析もまた、すぐにでも取り組める就活の一部といえるでしょう。