華やかなイメージがあり、子どものころから親しんできたテレビに関する業界。就職先としても人気が高く、いわゆる「記念受験」として採用試験を受ける学生も多いです。しかしテレビ業界の仕事は、一般的に時間が不規則な激務といわれます。本気でテレビ業界への就職を考える場合、それなりの覚悟と準備が必要といえます。ここでは、テレビ業界を志望する人がとるべき5つの対策をご紹介します。
テレビ業界で存在感があるのは、何といってもテレビ局。まずはテレビ局の概要を押さえましょう。
<テレビ局の種類>
テレビ局には大きく分けて2つあります。一つは受信料を徴収するNHK(日本放送協会)、もう一つは広告収入を経営基盤とする民放です。民放には東京を拠点とするキー局と地方にあるローカル局があり、ローカル局の多くはキー局の「系列」に入っています。
ローカル局では自局で制作した番組のほか、系列キー局の制作した番組も放送します。ただし、ローカル局の中には系列に属さない独立系のテレビ局もあり、独自に制作した番組を放送しています。NHKと民放の他には挙げられるのが、放送衛星を使用するBS放送、通信衛星を使用するCS放送、回線ケーブルを各家庭に引き込んで番組を配信するケーブルテレビ(CATV)などです。
<テレビ局の仕事>
テレビ局には局によって異なりますが、「制作」「技術」「営業」などの職種があります。志望動機や面接などで希望の仕事を聞かれて困らないように、それぞれの仕事の内容を把握しておきましょう。
「制作」は総合職とも呼ばれ、ディレクター・記者・アナウンサー・編成などの仕事です。「技術」は照明・カメラマン・音響などの専門職で、こちらは専門学校などで基礎的な技術を学んだ人が多いです。「営業」はCMスポンサー営業のほか、企画やイベント運営を任されることもあります。ただし、詳しい仕事内容は局によっても異なります。テレビ局社員はあくまでも会社員なので、人事異動によって総務や経理などの仕事になる可能性もあります。
テレビ局で放送する番組の中には、制作会社で作られている番組も少なくありません。「テレビ局で働きたい」ではなく「テレビ業界で働きたい」「番組を作りたい」という場合は、制作会社に就職するという方法もあります。
仕事内容はテレビ局の「制作」と重なる部分が多く、番組を作る際にはプロデューサーだけが局社員として関わり、他のディレクターや編集スタッフを制作会社が担う場合もあります。テレビ局と比べて小規模な会社が多いので、各社の仕事内容に加えて社内の雰囲気なども千差万別です。
なお、制作会社にはテレビ局の関連会社である場合とそうでない場合があり、それぞれ勤務環境が異なります。関連会社の場合は、そのテレビ局で放送する番組を主に作っています。しかし独立している制作会社では複数局の番組を制作しているため、勤務場所や勤務時間は担当する番組によって異なります。新卒で入社して実力をつけた後、ビデオジャーナリストなどとして独立する人が多いのも制作会社の特徴です。
当たり前のようですが、就職を目指してテレビを見る場合、ただ楽しんで見ているだけでは不十分です。番組の内容はもちろん、出演者や挿入されるVTRの内容、最後に流れるエンドロールまでまんべんなくチェックするようにしましょう。例えばエンドロールで構成は誰が担当しているのか、ディレクターは誰か、制作はどこかなど。こうした情報を調べると、局や番組の特色がつかめてきます。
志望する業界・企業に何らかの関係を持っておけば、就職の際にそのコネが役立つでしょう。学校の先輩や他校の友人など、テレビ業界で働く人と知り合う機会を作って仕事に関するリアルな情報を仕入れてください。特に知り合いがおらず、これからテレビ業界を知りたい場合には、以下のようなチャンスがあります。
<アルバイト>
テレビ局や制作会社で制作アシスタントなどのアルバイトをすれば、社員と接することができるだけでなく実際の仕事現場を見ることもできます。アルバイト先で職場の魅力や仕事への情熱を感じれば、志望動機にも生かせるはずです。テレビ業界のアルバイト求人は数が少ないので、こまめにアルバイト情報サイトや企業ホームページをチェックしましょう。
<インターンシップ>
長期間の時間がとれるようであれば、インターンシップに参加するとよいでしょう。それも1社ではなく、できれば複数社のインターンに参加するのがおすすめです。テレビ局のインターンは採用される前にエントリーシートや面接で選考されることも多く、本番の就職活動の予行演習となります。局の社員に名前を覚えてもらえたり、自分の意欲を伝えたりできるので、就職活動で大きな自信になるでしょう。夏休みなどの長期休暇中に求人が始まることもあり、募集情報を逃さないようにしましょう。
<民間企業が開催する就職塾>
テレビを含む、マスコミ業界への就職希望者を対象にした塾があります。もし近くにあれば、そこに参加することも人脈を広げるひとつの方法です。マスコミ業界に特化した情報が得られるたけでなく、実際に業界で働く人を招いた講習会や面接練習などもあります。
番組を作って情報を発信する企業は、テレビ局や制作会社だけではありません。テレビ業界のほかにも、通信業界や広告業界、デジタルコンテンツ制作会社など、希望の仕事ができる場所はたくさんあります。
情報発信という観点から志望業界を選んでいる場合は、まずテレビ業界に絞り過ぎず広く情報を集めると良いです。結果的にテレビ業界に入るにしても、広い視野で多くの業界を知っていることは、就活でも必ずプラスになります。やりたい仕事と志望先をマッチングさせて、就職活動を成功に導いてください。