これから就活を始める人やまだ始まったばかりの人は、就活の流れや対策など、不安で分からず悩むことが多いはず。つい、目の前のことでいっぱいになってしまうでしょう。しかしそんなあなたに、おすすめの本がたくさんあります。
普段は本を読まないという人も、不安や悩みを抱える今は自分と向き合うために読書をしてみませんか? ここでは、就活生におすすめの小説を3つご紹介します。
・石田衣良「シューカツ!」
「池袋ウエストゲートパーク」などのヒット作を多数排出している、石田衣良の作品です。就職活動本ではなく、就職活動を舞台にした青春小説といった形の作品。これから就職活動を始めるみなさんにこそ読んでほしい小説です。「どんな試験であっても、合格した人間の何倍もの不合格者がいる。夢を叶えた人間は叶わなかった人の分まで仕事をしなければならない」「良くないのは自分の意見ではなく、誰かの受け売りで正論ばかり吐くことだ。現場を知らない大学生の借り物の正義感って、ちょっと気持ち悪いからね」などという大人の視点からの発言に、ハッと気付かされることがあるでしょう。
・朝井リョウ「何者」
第148回直木賞受賞作の小説です。「桐島、部活辞めるってよ」で有名な朝井リョウが、自分の就職活動中に書いたもの。自分の就職活動中に書いたというだけあって、とてもリアルな就活生が描かれています。
主人公は就活2回目の大学生で、周りのことを冷めた目で観察しています。バイトのことを「仕事」と呼ぶ友人や、インターンや留学、ボランティアなどの就活カードを振りかざしているクラスメイト。そんな周りの人の違和感を見事に言語化しています。Twitterなど現代の私たちに身近なSNS上での姿と、現実の姿が交差していて怖いほどリアルな小説です。最後の結末は、誰も想像できない展開。言葉がグッと突き刺さってきます。
匿名で演じられるネット上では、自分自身ではない「何者」かになっても、現実は自分以外の何者になれるはずはありません。だからこそ、苦しくても自分自身を受け入れて、前に進むことが大切というメッセージを投げかけています。かなり衝撃的な内容なので、読むときは心がまえを!!
・杉元伶一「就活戦線異常なし」
「就活戦線異常なし」は、織田裕二主演で映画化された作品です。槙原敬之の主題歌「どんなときも」もヒットして有名になりました。
空前の売り手市場といわれた、バブルの少し後の就職活動戦線を舞台にしたもの。この本を読むことで、空前の売り手市場における就職活動でも、内定がもらえずに焦ったり、志望の企業に行けなかったりした人がいたことが分かります。そんな人々の姿は、今の就活生と同じでしょう。現在の就職戦線にうんざりし、「過去の就活はこんなことはなかっただろう」なんてと思っている人にぜひ読んで欲しい小説です。
映画のキャッチコピーは、「なりたいものじゃなくて、なれるものを捜し始めたら、もうオトナなんだよ……」というものでした。これもまた、現代の就活生に響く言葉です。
中には読書が苦手という方もいるでしょう。そこで、参考まで就活生におすすめの漫画として、有名な「ドラゴン桜」の著者・三田紀房の作品をご紹介しておきましょう。
・「銀のアンカー」
この漫画はリーマンショック前に書かれた作品なので、少し違和感のあるところがあるかもしれません。しかし、就活生には役立つ部分が多くある漫画です。
就活を揶揄する論調を展開する人が多い現代、「なぜもっと早く準備しておかないのか。社会に出る第一歩がいかに大切か、なぜもっと真剣に考えないのか」という白川の言葉は、大きなインパクトを与えるはずです。漫画だからこそあり得ないと思えるような部分もありますが、就活に対する心構えから具体的なテクニックまで教えてくれます。
・「エンゼルバンク」
こちらは就職活動ではなく、転職活動がテーマの作品です。転職活動とはいえ「企業の人事部の仕事とは何か」が見える内容で、就活生にも参考になるでしょう。企業で評価される優秀な人材とはどんな人なのか。転職活動を有利に進めることができる人材とはどんな人なのか。そして、企業の人事部の仕事についてなど、就職活動をしているだけでは分からない裏側が見えてくる深い内容が特徴です。
主人公は「ドラゴン桜」にも登場していた英語教師の井野先生。他にも「ドラゴン桜」のキャラクターが登場しており、「ドラゴン桜」ファンの人は特に必見です。「エンゼルバンク」は、全14巻の完結となっています。
ここで紹介した小説、漫画は就職活動が本格化する前に読むことで、就職活動の流れや悩みを感じることができます。本を通じて就職活動における人間関係やモチベーションの持ち方など、さまざまなことを捉えられるはずです。小説や漫画と侮らず、参考にぜひとも読んでみてください。