就職活動をおこなっていると、「学閥」という言葉を見聞きすることがあるでしょう。「学閥」とは、社内において、同じ学校の出身者たちで形成される派閥のこと。でも本当に「学閥」は存在するのでしょうか? また存在するとして、「学閥」は就職に影響するのでしょうか。その実態は?
JOBRASS編集部では、社会人になりたての人128名に、「社内に大学の派閥があるかどうか」を尋ねてみました。
【社内に大学の派閥がある?】
・ある 10.9%
・ない 89.1%
男女別では、「社内に大学の派閥がある」と回答した男性は14.5%。女性は8.2%にとどまりました。
1割の人は、「社内に学閥がある」と回答しています。では社内に学閥があると、どういう影響があるのでしょう。
まず挙げられるのは、「出世」。日本の会社では、「なんであの人が…」というような人が出世することも多いことが指摘されています。能力が高い・仕事ができることと「出世」は、関係があるようでないことも多いのが実態というわけ。そのなかで、「学閥」の強い会社では、出身大学で出世が決まるという噂も根強く存在します。
「学閥」で検索すると、さまざまな企業がヒットします。業界や職種によって違いがあり、“都市銀行や商社は、東大をはじめとした旧帝国大学や難関国立大学、早稲田、慶応が強い”等々。○○商事は慶応、○○銀行は東大など、企業によっても違います。
大企業に勤務した経験があり、「学閥があった」と振り返る金子麻紀さん(仮名)は、
「役員以上は、ほぼ東大・旧帝大出身者です。今私が所属する部の部長も東大卒。あと、私の同期をみていても、東大卒の男性は出世が早い。もちろん仕事はできるし、能力を評価しているのだとは思いますが、完全に“学閥”ですよね。では東大でないと出世できないかというと、“ある程度”まではいきます。部長とか」
と話します。でも、学閥があることの弊害として、
「とはいっても、今度は、東大出身者同士の争いになってくるので、見ていて辛い(笑)。
例えば先ほど話した同期の東大卒でも、出世が早い人と遅い人がいる。自分だって“東大閥”なのに……と嫉妬しても仕方ないですよね……」
とも指摘。そんな金子さんが最近気になったのは、最近の人事異動で、経営層に早稲田卒の人が入ったこと。これまでの役員は東大、旧帝大ばかりだったため、社内外から新しい風と注目されているそうです。
実際今年、「日本の社長概念が変化 学閥拘らぬ実力主義が大企業にも浸透」 (週刊ポスト)という記事では、旧来の学閥人事を覆す動きが各社で見られることを解説。岡山商科大学経営学部長の長田貴仁教授の話として、グローバル化の波が押し寄せるなか、これまでのように学閥にこだわっている場合ではないという実力主義が、大企業にも浸透しつつあるのではないかという見方を紹介しています。
自分がその企業にどうしても入社したかったら「学閥」に恐れる必要はありませんし、自分がその企業の「学閥」に属するからといって、必ず採用されるというわけではありませんが、OBやOGが多いということは、それだけ話をきく機会も多く、就活をすすめやすい場合はあるでしょう。また保守的かどうかをみて見る方法として、最近のトップ人事を調べるのは一つの手。いまだに「学閥」が根強いのか、そこから脱却しようとしているのかがわかるかもしれません。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2015年9月25日(金)~2015年9月28日(月)
対象:就職して1~2年たった社会人になりたての人計128名