「大学は数学の試験が無いところを受けたい」「数学が嫌いなので文系を選んだ」という数学が嫌い(=数学アレルギー)の人は少なくありません。きっとこの記事を読んでいる方もそのうちの一人なのだと思います。
人によっては高校生の文系理系の選択以来、約5年数学から離れている人もいるでしょう。
しかし就職活動で「数学」を解かなければならない機会が必ずと言っていいほど訪れます。
例えば、SPI/Webテスト
例えば、一般常識テスト
2017卒の先輩の平均応募社数は27.1社(「2017年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査」2016年10月1日時点/人と仕事研究所調べ)。企業が筆記試験を行う割合は38.3 %ですから(「2017年度新卒採用に関する企業調査」2016年3月1日時点/人と仕事研究所調べ)、そのうち少なくとも10社は試験が実施され、受験する必要があります。(数学/算数の問題が出されないということはあまりありません)
今回は、「数学アレルギー」のみなさんに、数学の勘を取り戻していただこうと、JOBRASSで筆記試験のセミナーを行っている筆者が学生の皆さんと接していて感じることを延べながら、数学アレルギーの対策について考えていきます。
なぜ数学嫌いになってしまうのか、を私なりに考えてみたのですが、「わからなくなってしまった」というのが圧倒的な理由として、その次に考えられるのが「慣れていない」ということだと思います。
皆さんは最近頭で計算した経験はありますか?世の中が便利になったため、アプリや電子マネーなどにより計算をする機会が圧倒的に減っています。そのため「わかるはず」の四則計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)まで「計算に慣れてない」ことによって、「わからなく」なり、ますます「数学がわからない、嫌い」となっているのではないかと思っています。
先日、難関大学の文系学生と専門学校の学生を相手に同じ数学の問題を出しました。偏差値で言うと約15~20違っているものの、それらの問題の正答率が高いのは後者です。
その理由は、専門学校生の方が「つい最近まで数学をしていた」から。逆に言うと、SPIやWebテストではどれだけ有名大学の学生でも「数学脳」を取り戻していないと、落ちてしまうというのはよくある話です。
ただし注意すべき点はいきなり「数学を好きになる」のではなく「数学に慣れていく」という意識に持っていくこと。
さっそくですが、次の章から数学嫌いを解消するトレーニングをお伝えしていきます。
数学に慣れていくためには「日常的に、無理なく計算をする回数を増やす」ことが大事です。いくつかトレーニングができる、シチュエーションをご紹介します。
▼こんなシチュエーションにはこんなトレーニングができる!▼
(1) 4人で飲み会に行ったら、18600円だった。これって飲み放題(4,500円)よりお得?
(2) 年末年始セール!福袋がタイムセールで全品3割引きだ!
▼考え方
(1)年末は忘年会の季節。よりお得な金額にするのも幹事の大事なお仕事。終わってみて飲み放題にしたほうがよかったのか、フリーにした方がお得だったのか振り返ることも多いでしょう。
(知っているかもしれませんが改めて)まずは、全体の数字から一人あたりの値段をだします。18600÷4=4650円/1人
→というわけで、今回の場合は4,500円に比べて150円損していることに……。
今回は飲み放題にしたほうがよかったようです。スマホに搭載されている計算機を使えば一瞬でわかるのですが、「自分で解く」ことが大事です。
(2)「●割引」という表記は年末年始よく見かけますよね。そのような場合は次のように計算できます(最近は割引後の値段が掲載されていることも多いのですが……)
1割=10%
2割=20%……となります
こうした割引の計算が苦手な方はかなりいらっしゃるのですが、こうした場合は「一番わかりやすい方法」で考えることが大事です。
100円の10%は、100×(1÷10)=100×0.1=10円
100円-10円=90円
100円の1割引きは90円となります。
割引の計算は、●割引の「●割」をまず求めて、全体から引いていくと簡単にできます。
といったように、日常的に計算をする機会はあります。買い物の際、すぐにアプリ・電卓で計算、ではなく、一旦頭で計算していくことで、「数学脳」を復活させていきましょう。
また、できるだけ早く計算に慣れたい人は、「百マス計算」もおすすめです。小学校で行った人も多いかもしれませんが、【10行×10行】に数字が書かれており、空欄にそれぞれ指定された計算(足し算・掛け算が一般的)を行っていくものです。時間をはかり、かつ時間に追われながら、計算をしていく環境を作るのも一つの手です。
また、数学を克服するために、参考書を購入する人もいるでしょう。しかしながら、数学が苦手な人にとって、参考書を解くのはかなり苦戦します。「購入しただけ」で終わってしまうこともままあることです。
そこで以前、「【就活・資格取得でも使えるテクニックを伝授】勉強が苦手な人がはじめる筆記試験対策」の記事でご紹介したふせんを使った勉強法を改めてお伝えします。ふせんを使って参考書をわかりやすく分類することで「モチベーション」を維持しながら勉強をする方法です。(実際わたしも資格を取得する際の勉強に使用する方法です)
<用意するもの>
参考書・教科書、3色のふせん(ここではピンク、黄色、白で例えます)
<手順>
▼参考書を購入した直後
参考書を買ったら、まずは全体を流し読みし、章(ジャンル)ごとで最初のページにふせんを貼っていきます。ここでは次のように理解度に応じて色を分けてふせんを貼りましょう。
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・ピンク色…得意分野、読んだらすぐわかる、興味あり
・黄色…時間をかければなんとかわかる、暗記が多い
・白色…まったくわからない、苦手分野
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このように3色にわけてふせんを貼ることで最初の時点で得意分野,苦手分野を明らかにしていきます。最終的にはこの時点で白色と黄色のふせんに貼られた章をピンクに変えていくことが目標です。
▼勉強をはじめたら
まずは参考書の第一章から順番に確認をしていきます。たいていの場合、勉強をはじめたばかりのときはモチベーションが高いのに加え、第一章は簡単な内容であることが多いので、最初は比較的スムーズに進みますが、途中で苦手分野に行き詰まり、挫折……というケースが多くなります。ここで重要なのは【参考書の中でモチベーションを保つこと】です。勉強中に飽きてしまうと、テレビや本、ゲーム、スマホなどでリラックス、ということも多いのですが、これだと勉強を再開するまでにかなり時間がかかってしまいます。
そこでおすすめなのが、行き詰まったら【ピンク色のふせんの章】に戻ってみること。その章の暗記や問題などを解き、自信をつけたところで、もう一度先程行き詰まった章に戻るのです。こうして、自分は勉強ができるという自信と勢いをもって再度進めていくのです。
黄色の章を続けて勉強をし続けることで、【自分はこの教科が全くできない】と思い込んでしまいます。そこで離脱しすると、かなりの確率でそのまま嫌いな科目になってしまいます。
まずは、3色のふせんを駆使して、ピンク色のふせんを増やすよう参考書を使い尽くしてみましょう。
いかがでしたか。日常生活で使う数学(算数)は簡単な計算が多く、いまや自分で計算していく機会も減っていると思います。そうした状態で選考試験を受けると、想像以上に問題を解けず、思うような結果を得られることができません。まずは日常生活のちょっとしたところから、計算を行う癖をつけ数学脳を年末年始のうちに取り戻していきましょう。