エンジニアを目指す新卒の学生達は、一体企業がどのような採用基準で学生を獲得しているのか疑問に思うことも多いと思います。一昔前(2006年頃まで)は、エンジニアになれるのは理系の学生というのがセオリーでしたが、5年ほど前から文系の学生でも積極的に採用をするIT企業も多くなってきました。
一説によれば、リーマンショックの影響などとも言われていますが、実態は正直不明です。ただ、明らかにそのあたりから新卒でエンジニアを獲得するために採用基準に変化が起きたのは確かです。
そこで今回は、新卒学生がエンジニアを目指す際に、企業の採用担当者がどのような基準で選んでいるのか、その採用ポイントの一部をご紹介していきます。
では、早速、IT企業の新卒採用担当が面接時に見ているポイントを5つご紹介していきます。
現在、エンジニアの新卒採用に理系や文系の枠はほぼないと思っていいでしょう。エンジニアにも色々な分野がありますが、いわゆるシステムエンジニアと呼ばれる職種において、大学や専門学校で学んできたことのほとんどはあまり重要視されていません。
専門学科で学んだ意味を問われかねない問題ですが、今のIT企業では研修もしっかりしており、そこで学べる知識の下地さえあれば、これまでの経験や知識はあまり注視されない傾向があります。
もちろんこれまで学んだ知識が全く役に立たないかと言われればそんなことはありませんが、実際の業務に携わった段階では、みな一律のスタートを切ることになりますので、文系の学生でも十分に関われる環境ができつつあります。
IT業界におけるエンジニアの新卒採用する際、面接では「今までどのようなプログラミングをしてきたのか?」という質問は必ずありますが、多くの学生は「何を勉強してきたのか」は言えても「自分で何を作ったのか」と言える学生は少ないです。
システムやプログラミングの勉強はいま、書籍を買えば誰でも簡単に学ぶことができます。小学生でもパソコンさえあれば自分で勉強し、システムを作り上げることも可能な時代ですので、自主的(主体的)に行動できているかどうかは一つ適性として判断しています。
実際に入社してからの方が学生の頃に勉強していた時間よりも長く、苦しいものになります。どんな社会でも通じるレベルの高いエンジニアは、日々進化する最新技術や開発環境について調べ、実際に自分で触って使っているものですので、未知の分野に対して興味を持って取り組めるのかも大きなポイントでしょう。
素直さは時に技術力や好奇心よりも重要視されます。自分で調べる探求心は非常に重要でむしろ大前提ではありますが、もっと重要なのは他人の意見を素直に受け入れて、一旦はその方法を試してみるという姿勢です。
これは決していわゆる社畜になれと言っているのではなく、初めて社会に出た学生であれば、その会社のやり方や、経験が長い人の効率のよさなどを学ぶチャンスが得られたと思っていただきたいという事です。
素直さを数値に表すことは確かにできません。多くの場合、新卒採用は入社してすぐに開発業務に携われるというわけでもないでしょう。 システム会社特有のOJTやジョブローテーションといった制度は、そういった素直さを見極めていく作業でもあります。
ですので、新卒採用担当の方はより厳しく「素直に吸収してくれそうな人か」といった目線を持っています。また、素直さは今後の人間関係にも響いてきます。仕事は絶対に一人ではできませんので、最も注目していると言っても良いポイントだと思ってください。
体育会系学生がよく言うアピールポイントですが、これは意外と重要です。新卒エンジニアは中途採用とは違って経験がないため、アポールできるポイントは「御社のお役に立てます。」というやる気が8割です。
熱量を面接で伝えるのは難しい部分ではありますが、例えば「昔からゲームが好きで開発がしたい。自分なりに勉強をして開発もやってみたがやはり苦戦している。でも開発はすごく楽しい。」などの学生がいれば、採用担当も「頑張ってくれそう。」「つらいことも乗り越えていけそう。」といったことが伝わってくるかと思います。
筆者の個人的な経験ですが、ゲームシステムの制作会社へ新卒採用に向かった際、グループ面接時に私以外の4人が「ゲーム開発が好きで御社を選んだ」というシーンがありました。
その際、「ゲームが好きなのと、ゲームを作る事は全くの別物」という意見をいただき、お祈りをいただいていたケースがあります。面接の場にいた取締役の方は決してゲームが好きで業界にいるわけではなく、どこまでも仕事として捉えていました。
それが良いかどうかは置いておくとしても、ただ、●●が好きだからという理由だけでは現実とのギャップに耐えられないと判断される傾向はあると思っておいた方が良いでしょう。好きで遊びもするけど、それなりの苦労もちゃんと知っている方は面接も突破しやすいと思われます。
エンジニアはひたすらコードを書いてプログラミングを行う仕事ではありません。役職はもちろん、腕が上がれば当然お客様先に行って提案などを行う機会もあります。企業としても、優秀な人間を遊ばせておくだけの余裕を持って経営をしているわけではありませんので、当然そういった場ではコミュニケーション能力が問われます。
また、お客様先に常駐する可能性が高いのもエンジニアという職業ですので、客先でもちゃんと受け答えができる人であることも見ています。
コミュニケーション能力というと、学生時代に団体のリーダーをやった、ボランティア活動への参加などをPR材料にしているかと思いますが、これは正直全く役に立たないアピールだと言っていいでしょう。
学生からすれば大変なことだとは思います。しかし、それはやはり遊びの範疇を超えないものです。仕事にはどんな場面でも責任が問われますので、責任をとる立場にある社会人としてどのような行動が取れそうなのか、採用担当が過去の失敗話をよく聞くのはそういった理由もあります。
エンジニアというのは専門職であり、将来的なスペシャリストとして採用されますので、面接でも一般的な総合職などとは少し異なった視点で見られます。「自分で企画して新サービスをたちあげたい。」という方は、可能性の高いスタートアップ企業が向いているかもしれませんし、「企画よりもコードを書きたい。」という方は、Web系の受託開発企業などが向いているでしょう。
面接では自分が何を楽しいと思うか、追求していきたいのは何なのかなどを書き出し言語化しておくことで、より自分の中で軸ができ、話にも一貫性が出せるかと思います。ただ、はっきりと断言できることは、社会人として「権利を主張する前に義務を果たす」こと、事業の成長が自身のスキルアップにも繋がると確信しておくことでしょう。
今後、エンジニアに限らず仕事の多くはルーチンワークではなく、出口のない問題への解決を求められる作業が多くなっていくはずです。特にオフショア開発がもっと進めば日本人はインドや東南アジアに仕事を奪われる可能性はかなり高くなります。
そのような状況の中で思考し、追求することをやめず、さらに人を管理するマネージャーになることで、新しい開発案件をうまく運用していける方が、今後のIT業界を担うエンジニアになっていくはすです。