「音楽が好きだから、好きを仕事にしたいから」、「音楽が自分に与えてくれた感動を自分も人に与えるような仕事をしたいから」、音楽業界を希望する方々のほとんどは、こういった気持かもしれません。ただ、ほとんどの人と同じ志望動機では、なかなか採用につながらないかも。自分なりのオリジナルな志望動機を書くにはどうしたらよいか、考えてみましょう。
(※こちらの記事は、2016年7月8日に公開したものを更新しています。)
音楽業界と一口に言いますが、色々な仕事があります。スポットが当たるのは、ミュージシャンですが、コンサートを開くために、新曲を発表するために、裏方で働いている人たちの仕事は多種多様です。例えば、新曲が生まれて人々が聞けるようになるまでの過程でどういった仕事があるでしょうか。
1. まずは、アーティスト。アーティストはマネージメントオフィスかプロダクションに所属していますから、そのスタッフという仕事もあります。
2. レコード会社。いつ、どういった曲を発売するかを企画し、その後、制作・宣伝活動等を行います。制作過程で、ノベルティ制作会社、CDジャケットのデザイン関係、印刷会社、CDのプレス工場などが関係してきます。宣伝活動では、プロモーションを行う広告代理店やTV、雑誌、ラジオ、インターネットなどのメディアと連動します。
3. 曲を録音する関係。まず、曲の作り手である、作詞家、作曲家、編曲家がいます。録音する前に、楽器や機材関連の会社が関係します。楽器によっては、調律などのメンテナンス系の仕事もあります。レコーディングでは、スタジオ関係、レコーディングプロデューサー、ディレクター、ミキサー、エンジニアといった職種の人たちがいます。
4. 曲の届け手。CDであればCDショップ、ダウンロードするのであれば配信サービスが関わってきます。
音楽業界において、ミュージシャンや作詞家、作曲家といった特に創造性、才能を求められる仕事の場合、相応の実力や運といったものが必要になり、これは、努力だけでは何ともしがたいものがあります。しかし、音楽を技術で支える仕事であれば、間口も広く、就職のチャンスは広がります。
ミュージックフェスの人気が高まっているように、コンサートやイベントを企画・運営する会社は音楽業界の中で最も勢いがある業界です。コンサートなどのイベントをみんなで協力して作り上げるというのは、とても魅力的な仕事でもあります。コンサートプロデューサー、舞台監督、音響エンジニア、照明、舞台スタッフ等、色々な仕事があります。
音楽業界で、他の仕事とは少し毛色が違うのが、著作権を扱う企業です。曲も大事な作品ですから、著作権が発生します。音楽著作権の管理は、日本音楽著作権協会が専門に行っています。大好きな音楽を守る、と考えると、こういった会社も選択肢として考えてみると良いかもしれません。
また、近年注目されているのは「ストリーミングサービス」の市場です。
国際レコード産業連盟(IFPI)の発表によると、2017年の世界の音楽市場約1.87兆円(173億ドル)のうち、ストリーミングサービスを中心とするデジタル音楽は54%を占めています。
海外ではこうしたデジタル音楽が主流となりつつあり、音楽市場の売上を引き上げています。
日本ではまだまだCDなどのメディアが根強いですが、こういったストリーミングサービスに注目することで音楽業界全体の動向や未来が見えてくるかもしれません。
音楽業界を志望するのであれば、ぜひこういったサービスにもアンテナを張っていきましょう。
志望動機を書く際に気を付けたいことがいくつかあります。
・「好き」を打ち出し過ぎない
好きだけでは、信用性がありません。また、ファンであることを打ち出し過ぎると、ミーハーだと思われて、落とされてしまうこともあります。もちろん“好きだから”というのはモチベーションに影響しますから、正直に言っても構いません。ただ、好きなだけではない、具体的な理由を書きましょう。
・働くことはプロフェッショナルになるということ
アーティストの追っかけをしている気分では、働くことになりません。仮に大好きなアーティストがいて、その周りで働きたいと思っていたとしても、そういう気持ちが読み取られてしまうと、一ファンでは困ると思われてしまうでしょう。マイナスにとられてしまうことも多いので、企業側に立ってその職種にどういった要素が求められるかを考えてみましょう。自分が、求められる人材として売り込めるのはどういった点かを考えると、志望動機がミーハーなものではなく、プロフェッショナルなものに近づけるのではないでしょうか。
・余裕を持つこと
どうしてもこの仕事でなければならない、という一途さは、プラスになるときもあれば、マイナスになることもあります。自分自身の中で志望する職種がある程度明確な方が、志望動機も書きやすいです。しかし、必ずしも思ったように進まないのが就職活動です。外から見ているのとは違う部分があって、自分の志望している職種でなかなか就職が決まらないのかもしれません。それは、マッチングがうまくいっていない可能性もあります。就職してからうまく行かないよりは、就活段階で進路変更するほうが良い場合もあります。音楽業界にも色々な職種がありますから、視野を広げてみる余裕は持っていた方がよいでしょう。
音楽業界、特にレコード会社を中心に主な企業を見てみましょう。内定をもらった先輩方の志望動機も参考に挙げておきます。
・エイベックス・グループ・ホールディングス:1,633億7,500万円(2018年3月期)
CD制作だけでなく、マネジメント、ライブ、映像事業等を総合的に行う、コンテンツとプラットフォームの両方を提供するエンターテイメント企業です。
「音楽を聴くこと、楽しいことをすることが大好きな私にとって、御社は、ずっとあこがれの職場でした。常に最先端を行き、社会に大きな影響と感動を与えてこられた御社で、音楽を一つの産業として発展させるような仕事をしたいと思っています。」
・ソニー・ミュージック・グループ:3,821億7,200万円(2018年3月期)
「変人、募集中」が新卒採用のテーマ!「アーティストやタレント、コンテンツに不変の愛情をもち、時代にマッチするエンタテインメントを創りだし、人々に届けること」をミッションとしている総合エンターテイメント企業。
「幼いころから音楽を聞きながら育ってきました。色々な局面で音楽に助けられてきました。悲しい時や、つらい時に慰められ、励まされる、音楽の力を使って、今までの自分のような人々を助けられるような仕事をしたいと思い志望いたしました。」
・ユニバーサルミュージック
世界60か国に子会社を有する世界最大の音楽企業、ユニバーサルミュージックグループの日本法人。邦楽、洋楽を問わず幅広いジャンルの音楽を提供しています。
「私の趣味は音楽を聴き、ライブを見に行くことです。大学に入ってからずっと、コンサートスタッフのアルバイトとして、ステージ設営、撤去、案内業務、アテンドなどに携わってきました。イベントが成功に終わると、大きな感動とやり甲斐を感じます。演奏が終わって達成感に満ちたアーティストさんたちの笑顔がとても眩しく、この人達と一緒に全国を回りたいと、いつも思います。御社に入社できたなら、アーティストを支えながら、最高の感動を、ファンの方々をはじめ、多くの人たちに届ける役割を担いたいと考えています。自分の長所である積極性を活かして、御社に貢献できるような仕事をしていきたいと思います。」