就活終盤の時期に聞くこともある、企業による内定者の“囲い込み”。自社に欲しいと思う学生を、他社に行かせないように、企業側があの手この手を使うことです。「オワハラ」という単語も登場するなど、その手法や程度が問題視されましたが、魅力的な学生が他社にいったら残念に思ったり、優秀な学生を引き止めたくなったりするのが「ホンネ」でしょう。
では、実際のところ、「囲い込み」をする企業はどのくらいあるのでしょう? また、その方法とは?
JOBRASS編集部が、全国の採用担当者246名に、“内定を出した学生に対し、囲い込みをしたかどうか”を尋ねてみたところ、84.2%の採用担当者が、「そのようなことはしない」と回答。その理由は、「自分の人生は自分で決めるべき」という考えです。
・そのために余分に内定を出してあります(男性・36歳)
・自分の人生は自分で決めるべき、去るものは追わず(男性・49歳)
・学生にも選ぶ権利があると思うので、何もしません(女性・55歳)
では、残りの15.8%にあたる「囲い込みをした」という企業は、何をしていたのでしょうか? 「囲い込み」のなかでも、「拘束」とは、学生の時間を奪い、他に就職活動するヒマを与えないこと。拘束したときに何をするかは「イベント」や「研修」だったり、「食事会」だったりとさまざまです。
では、具体的にみてみましょう。
事前研修などと称し、これ以上就職活動をさせないことと、自社への理解を深めてもらう目的でおこなわれます。旅費を出し、「この会社はいい会社だ!」と思われるように、“恩を売る”ところも。
・セミナー攻撃(男性・64歳)
・他社の面接がある時期に弊社の研修を入れた(女性・37歳)
・事前説明会に旅費をつける(男性・49歳)
・イベント(男性・42歳)
企業側の「あなたがいなくなったら困る」という姿勢をアピールし、「この会社に入社するのが良さそうだ」と思わせるため、電話などで密に連絡。他の受験状況などを聞く担当者もいるようです。
・電話確認(男性・68歳)
・こまめな、コンタクト(男性・57歳)
・常時コミュニケーションを密にすることに尽きる(男性・44歳)
・定期的に連絡しあう(男性・71歳)
・定期的に連絡を取る。社内報等送り常にこちらのほうに引き付けておく(男性・64歳)
・面接官との人間関係の構築(男性・57歳)
・信頼感を与える(男性・46歳)
内定者を集め、食事会をするところは多いようです。もっとも手っ取り早く、「ごちそうしてもらった」という好印象を与えるため?
・拘束目的の宴会(男性・48歳)
・食事をごちそうする(男性・61歳)
・食事会の実施(男性・43歳)
・接待(女性・32歳)
・内定式など(男性・54歳)
・内定前合宿を行った(男性・62歳)
入社前に、早くも仕事をスタートしてもらうケースもあります。企業側(学生側)にも「本当に自社(自分)に合っているかどうか」を再確認できる機会、という狙いもあります。
・研修という名目で自社のアルバイトをさせた(男性・53歳)
・実働開始(男性・52歳)
・アルバイトとして活動してもらう(男性・64歳)
・インターン(男性・37歳)
こちらはシンプルに、自社の魅力を伝え、他社に心移りがしないように心がけるもの。「拘束」とはやや毛色が異なります(魅力を伝えるために会社に呼び出したりするという意味では、結果的に同じですが……)。
・夢を描く(男性・45歳)
・自社の良さを伝える(男性・49歳)
・メリットのある企画を出す(男性・44歳)
・良さを理解いただくようつとめます(男性・58歳)
「あ、囲い込みされているな……」と感じたら、それを企業の熱意ととるか、鬱陶しく思うかは自分次第。自分の社会人としての人生を、自分で考える一歩です。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年3月10日~2016年3月15日
対象:企業の採用担当者 計246名