就活を始めたN君。なんとなく志望理由が作りやすそうという理由から、メーカーを考えている様子です。業界選びの根拠はさておき、そんなN君の最近の疑問は、「メーカーに勤めると、その会社の商品漬けの生活になるのか」ということ。
少なくともキライな商品を作っている会社にはいけないでしょうが、実際、メーカーに勤める会社員たちは、いち消費者として、自社の商品に興味があるのでしょうか? あって当然ですよね……? JOBRASS編集部では、現役メーカー社員に直撃してみました。すると、なんと「興味がない」と答えた人が5割にも!!
【いち消費者として、自社の商品に興味がありますか?】
・ある 47.0%
・ない 53.0%
自分が勤めている会社が作っているものだけど、興味はないという人が過半数。自社商品だからといって、仕事(会社)を離れたときに興味があるかどうかは別問題という人が多いことが明らかに!? JOBRASS編集部では、どうして興味がないのか、また興味がある人はどういう点に興味があるのかを尋ねてみました。
自社商品に興味があると答えた人の3大理由は、「愛着がある」「消費者としての目で判断するため」「良い商品だから」。
番外編としては「給料のアップ率」(愛知県・男性/営業・販売/48歳)というものもありました。商品購入が何らか査定アップのポイントになる会社なのかもしれません。
1)愛社精神、愛着があるから
メーカーを志望する人の多くは、「その商品が好きだから」という理由を挙げるものです。そうでなくても、自分が働いている会社が作っているものとなれば、だんだん愛着がわいてくるという人は多いようです。
・自分で設計したものには愛着がある(長野県・男性/コンピュータ関連技術職/47歳)
・愛着が有る(福島県・男性/総務・人事・事務/53歳)
・自分がかかわってるから、気になるのは当然(徳島県・女性/その他/27歳)
・作り上げたものなので(神奈川県・男性/総務・人事・事務/44歳)
・長年販売しているから、愛着が生まれるから。(兵庫県・男性/営業・販売/67歳)
・親しみのある商品だから(大阪府・女性/主婦/49歳)
・その製品が好きだから(東京都・男性/その他/45歳)
・好きだから(千葉県・男性/研究・開発/32歳)
2)消費者としての視点から判断するため
仕事(会社)を離れても、冷静に、市場のなかで自社商品がどういう位置づけなのかをチェックする人も。これも一種の愛社精神と言えるでしょう。
・自社の商品がどれくらい、消費者に支持されているか(千葉県・男性/営業・販売/38歳)
・消費者として自分の会社の製品を判断する(埼玉県・男性/コンピュータ関連以外の技術職/54歳)
・売れているかどうか(京都府・男性/総務・人事・事務/4歳)
3)客観的に「良い」ものだから
愛着があるのはもちろんだけど、「良いものをつくっている」という自負がある人たち。生活のなかで、「自分が勤めている会社がこれをつくっているんだ」という気持ちは、明日働く意欲にもつながりそうです。
・魅力的(滋賀県・男性/研究・開発/51歳)
・世界一(徳島県・女性/研究・開発/28歳)
・性能が良い(静岡県・男性/コンピュータ関連技術職/58歳)
・高品質(徳島県・男性/コンピュータ関連以外の技術職/54歳)
・良いものを作っているから(石川県・男性/その他/45歳)
・優れた商品があるから(群馬県・男性/営業・販売/59歳)
・素晴らしいから(山梨県・男性/営業・販売/56歳)
一方、「自社の商品に興味がない」と答えた人で、もっとも多かったのは「家庭向けではない、日常生活で使用しない」「法人向け」というもの。一般消費財など、手近なところにないと興味をもちようがないという理由でした。それはそうですね……。
ただ、チラホラ見かけたのは「見慣れている」「品質が悪い」というもの。会社でお腹いっぱいみているせいで食傷気味なのか、自社商品を見ると仕事を思い出してイヤなのかは人それぞれですが、品質などに歯がゆい思いを抱きながら勤めている人もいるようです。
1)個人や家庭で使わないものだから
・家庭で使わないから(神奈川県・男性/その他/63歳)
・個人向けの商品ではないから(法人向け)(広島県・男性/総務・人事・事務/42歳)
・企業に売っているものだから(静岡県・男性/研究・開発/48歳)
・必需品ではないから(山口県・男性/研究・開発/51歳)
・必要がない(神奈川県・男性/コンピュータ関連以外の技術職/33歳)
・ふつう使わないから(埼玉県・男性/研究・開発/51歳)
2)見慣れているから、“もういい”?
・見慣れているから(大阪府・男性/研究・開発/37歳)
・見慣れている(埼玉県・男性/その他/50歳)
3)品質がいまいちだから
・品質がいまいち(埼玉県・男性/総務・人事・事務/49歳)
・クレームの多い不良商品ばかりだから(宮城県・女性/総務・人事・事務/34歳)
4)高いから
・値段が高い(東京都・男性/営業・販売/57歳)
5)そもそも全く興味がないから
・欲しいものでないから(愛知県・男性/その他/51歳)
・くだらない(埼玉県・男性/営業・販売/47歳)
ある大手食品メーカーに勤める採用担当の女性(神奈川県・29歳)は、
「当然メーカーを志望する場合、その会社が何を作っているか、業界のなかでの位置づけ、競争力などは念入りに研究する必要があります。人事採用担当者も人間なので、その会社の商品に興味がない人よりは興味がある、ファンのほうが嬉しいもの。
ただ、正直“子供の頃から慣れ親しんでいて……”という出だしと、それにまつわるエピソードはもう聞き飽きた感も(笑)。個人的なエピソードだけでなく、そこからどうしてその会社を志望するに至ったのかを、説得力をもたせて語れること。具体的な根拠に基づくこうしたい、ああしたい、という将来的な野望もいいですね。実現できるかどうかではなく、熱い思いはいいものです。
ちなみに私は就職活動時、今の会社の商品の熱狂的なファンだったわけでもなんでもありませんでした。名前を知っているかなー、程度ですね。でも企業研究をして、商品開発にかける姿勢や社風に惚れて。今はすっかり商品に愛着を持っています。好きな会社が作っているものは、好きになれる気がします。なので、“あんまり良く知らないんだよな”という商品をつくっている会社でも、よく調べてみると、いろいろな新発見があると思いますよ」
と話してくれました。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年2月16日~2016年2月23日
対象:メーカーに勤務する会社員 計117名