今年の採用活動における広報解禁は、3月1日。そして6月1日が選考解禁ということを考えると、おおよそ5月にはエントリーシート選考、合否判断というスケジュールにならざるを得ないため、4月には早くもエントリーシートの受け付けを締め切るところが出てきます。エントリーシートの締め切りが集中するのは、4月中旬から下旬にかけてとみられています。
ところが「締め切りに間に合えばいいんでしょ?」と思うのは大間違い! その理由は……?
エントリーシートの内容は企業によって異なりますが、おおむね自己PRや学生時代に何をしていたか、志望動機などを記入する項目があります。これらは書いていくうちに上達するものでもあるので、早めに準備し、何度も推敲することに越したことはありません。
ところで、エントリーシートは「締め切りまでに間に合えば良い」と思っている学生が大多数。エントリーする人が、締切日に殺到するのです。
するとどうなるか。一気に、かつ大量に来たエントリーシートに人事担当者はウンザリ、一つ一つに目を通すのも疲れてしまいます。その結果、学歴や写真だけで落としたり……といった可能性も否定できません。また、ある卒業生は、
「締め切りギリギリになってサーバーがダウンし、結局送れなかった」
というハプニングを経験。エントリーシートに関係ない何らかの不具合なのか、エントリーシートが殺到したせいなのかはわかりませんが、こういうこともあるということです。
締め切り日に間に合わせるのは当然ですが、じっくり読んでもらうためには、早めに提出することを心がけたほうが良いでしょう。そうすることで、「この学生はスケジュール管理ができるんだな」といったイメージにもつながります。
都市伝説的にささやかれるのが、
「そもそもエントリーした時点で、学歴だけで弾くシステムになっている」
「学歴によっては、エントリーができない」
などという“学歴フィルター”の存在。忙しい企業の担当者が、すべてのエントリーシートを見ているワケがない、という想像からもこの噂の信ぴょう性を高めるようですが、本当のところはどうなのでしょうか。
ある採用担当者は、「企業によって事情は異なる」と前置きしたうえで、「あります」と打ち明けてくれました。
「ただ、一括してここから上の学生だけ、というわけではありません。おおよそ“上”の学生のものから受け付けていくシステムをとっています。えげつない話ですが、例えば、早慶以上の枠、MARCH以上の枠……といった具合です。優先順位をつけているということです」
優秀な学生を採用したいのは、どの企業も同じ。そして、学歴は、採用の効率のためには一つの判断基準として不可欠という事情のようです。
ただ、“優秀な学生”はどこにいっても“優秀”とみられるので、当然、企業はエントリー受付枠を広げざるを得なくなります。追加募集をするケースもあるため、志望企業の採用情報は、エントリーシート提出後もチェックすることをオススメします。
ところで、エントリーシート以外に、その企業にチャレンジする方法はないのでしょうか?
実際には、エントリーシート以外にもルートがある企業も少なくありません。「青田枠」といわれるものやエラい人のコネクション、アルバイトやインターンシップ、SNSなどが考えられるでしょう。
・青田枠:企業のほうから優秀な学生にアプローチして、“囲い込む”枠。大学のOBやOGが仲介役となることが多い。
・コネ枠:企業の取引先の社長の娘、といったような、その企業にとって人事が“メリット”となる枠。
・アルバイト枠:学生時代、その企業でガッツリアルバイトをしていて、「この学生なら働いてもらってもいいな」と思われる場合。学生もその企業の雰囲気を知っているので、マッチングしやすい。
・インターンシップ枠:アルバイト枠の考え方に近い枠。インターンシップから採用すると明言はしていなくても、学生がチェックされていることは事実。
・SNS:“枠”ではないが、担当者や社員へのメールやTwitterなどSNSで接触し、会ってもらうルートをつくる。会ってもらわないと何も始まらないのは事実だし、熱意をアピールできる。ただ、言い方ややり方を間違えると「非常識」「鬱陶しい」など、逆効果になるので注意も必要。
エントリーシートに関係なくできるのは、何がなんでも人脈を作る姿勢。青田枠やコネ枠、アルバイト枠は自分になかったらどうしようもありませんが、日頃から人脈を作っておくと、いざというときに頼りになるかもしれません。