就活では、必ずと言ってよいほど、エントリーシートと面接による選考が行われます。もはや、就活生にとって避けては通れない道でしょう。これら選考では、実にさまざまな質問が投げかけられます。その中でも特に悩みとして多く声が挙がるのが、「自己紹介」と「自己PR」です。その理由は、以下の様なものが多いでしょう。
「何をどのように話せば良いのか分からない」
「自己紹介と自己PRの違いが分からない」
初対面の方とコミュニケーションを取るうえで、自己紹介は就活に関わらず欠かせないものでしょう。例えば学生時代にも、アルバイトやサークル等で自己紹介した経験のある方は多いはずです。しかし一方で、自己PRは聞き慣れないかもしれません。これは言葉の通り、自分自身をPR・アピールすることです。
就活生の中には、同じようなものとして解釈している方がいます。しかし違いを理解しておかないと、選考ではマイナス評価を受けかねませんので注意しましょう。自己紹介をすべき場で自分のアピールばかり話してしまえば、相手の意図を的確に捉えられていないと判断させてしまうのです。
自己紹介は、相手に自分という存在を知ってもらうことが目的となります。これに対して自己PRは、相手に自分を売り込むことです。相手がそのいずれを求めているのか、取り違えないようにしましょう。そのために、まずは2つの違いについて整理しておくことが肝心です。
自己紹介では「自分は何者なのか」について、具体的かつ客観的な視点から話します。このとき、ダラダラと長くならないようにしましょう。特に時間について指示が無ければ、次のような項目を一通り伝えてください。
・氏名
・出身大学、学年、学科
・居住地あるいは出身地
・大学での専攻
・所属している部活動等
あくまで自己紹介は事実情報について、端的に述べます。もし時間があるようならば、趣味程度は加えておいても良いでしょう。このとき、自身の強みや意欲などアピールが入ってしまわないように注意してください。ありがちなのは、「○○学科で△△を専攻しています。そのため、御社でもこれまで学んできた知識が生かせると思い…」などと続いてしまうケースです。
就活の面接で与えられた時間が1分の場合、先に挙げたような基本情報のみまずは伝えましょう。あらかじめ練習する際、言い終わるまでの時間を計測しておくと安心です。その際、早口にならないようにすることが重要です。相手が聞き取りやすいよう大きな声で、落ち着いて余裕を持った発言を心がけてください。
自己紹介に3分与えられた場合、基本的な情報だけでは余ってしまうでしょう。そんな時は、例えば家族構成や出身地の特徴、趣味などについて触れておきます。趣味ならば「趣味はジョギングで、多い時には1時間ほど走ります。」など、具体性を持たせると話題が広がるでしょう。
自己紹介で自分という存在に関する外郭を知ってもらったら、次は自己PRで「何ができるのか」をアピールしましょう。これは仕事という場において、「会社にどのような貢献ができるか」と置き換えて考えられます。
そのためには、まず徹底した自己分析によって自分自身をよく理解しておくことが大切です。紙などに書き出して、仕事に就いた自分をイメージしながら考えると良いでしょう。場合によっては、親族や知り合いなど、すでに社会で活躍する知り合いに意見を求めるのも1つの方法です。
自己PRには、具体性が重要です。例えば「私は堅実な人間です」「私は柔軟な対応ができる人間です」と言われても、相手はそれが本当なのか判断ができません。そのため、「どのような点がそう言えるのか?」「その根拠は何なのか?」を解決する要素が必要となります。
そこで自己PRには、具体的なエピソードを盛り込むようにしましょう。堅実さにせよ柔軟さにせよ、実際にその強みが発揮されたシーンが頭に浮かべば、相手に印象として残ります。その場で仕事に置き換えながら、「この人はどのように会社で活躍できそうか」をイメージしてもらうこともできるでしょう。それが相手企業にマッチするものであれば、もちろん選考のうえでプラスに働きます。
自己PRは、自慢話をする場ではありません。自らを凄い人材としてアピールしたい気持ちは分かりますが、過度なアピールはかえってマイナスな印象を持たれかねません。自己PRでは自身の貢献度を伝えることはもちろん、最終的に「この人と一緒に仕事がしたい」と思われることが大切です。そのため、あくまで謙虚な姿勢を保ちつつ、話を展開する配慮を忘れないようにしてください。
自己紹介も自己PRも、相手はあなたについてほとんど情報を持っていない状態です。分かりやすさ、伝わり易さを意識し、情報を整理して話すようにしてください。エントリーシート上の文章も面接での会話も、基本は同じです。双方の違いを踏まえ、「何を聞かれているのか」を的確に捉えた上で回答しましょう。