就活生を見ていると、毎年のように、手当たり次第さまざまな企業へエントリーを行っている人を見かけます。内定が得られなければ卒業後に仕事へ就けませんから、とにかく数をこなそうという気持ちがあるのでしょう。就活では複数社へエントリーする人が圧倒的に多いため、もちろん悪いことではありません。しかし、考えなしにエントリーばかり増やしても、内定を得ることは難しいというのも事実。もし就職できても、働き始めてから後悔することになりかねません。
就職は人生において大きなターニングポイントです。しかし実際に、就職してからイメージギャップ等と理由として、早期退職する人が数多くいらっしゃいます。そうならないために必要なのが、自分なりに就活の軸を持つということ。自分軸を持ち、それに添って活動を行うことで、最終的に満足した形で就活を終えられるはずです。
では、就活における自分軸とはいったい何なのか。どうすれば持つことが出来るのかをご紹介していきます。
日本国内には、現在420万を超える企業があります。その中に、1つとして同じ企業はありません。業界で見てみても、金融、不動産、食品、医療、エネルギー、流通、サービスをはじめ実に多様です。就活生はその中から、就職先としてたった1社の企業を選ぶことになります。
ではいったい、何を基準に企業を選べば良いのか。業界や職種、成長性、経営理念、事業内容、あるいは所在地などを含め、企業選びには様々な要素が挙げられます。そしてあなたはそれらを見て、優先順位が生じてくるでしょう。そのように、自分自身が就活を進めるための基準となるものが“軸”です。
例えば成長著しいベンチャー企業で力を試したいのか、それとも安定性の高い大企業でじっくり働きたいのか。興味のある業界やチャレンジしてみたい職種、共感できる理念などもまた、人によって異なります。自身の仕事に対する志向性と照らし合わせながら、迷った場合の基準とできる軸を持ちましょう。
自分軸が持てていないと、確固たる意志を持って企業を選ぶことができません。表面的なイメージや印象だけでエントリーしてしまえば、明確な志望動機も生まれないでしょう。企業の採用担当者も、「どうしても働きたい」という意志や理由を感じ取れません。本心から入社したいと思っているのか分からない人材を、企業も採用したいとは思わないはずです。
また、運良く内定を得られたとしても、入社後に後悔する可能性が高まります。「実際に働いてみたら、別のことがやりたくなった」「イメージしていた仕事と違った」「思ったより業界に興味が持てない」など、入社後にギャップが生まれ、悩みを持つ新社会人は非常に多いのです。その理由は、仕事に就いて初めて働くことを我が身として受け止め、気付かなかった自分軸が明るみになるから。自分軸とは働くうえでの基準であり、現実との間に大きなギャップがあれば、仕事に対するストレスや意欲低下に繋がります。
例えばなんとなく営業は忙しそうなので、事務職を受けて内定を得たとしましょう。いざ仕事を始めてみると、毎日のようにパソコンと睨めっこ。社外に出るのはランチタイムだけという毎日に、嫌気がさしてきてしまいました。そこで、初めて気が付くのです。「もっと社外に出て、人と接する仕事がしたい」と。
これはほんの一例ですが、まさに軸を持たぬまま就活を進めたが故の結果です。就活の時点で自分が「何をしたいのか」「どんなことが楽しいと感じるのか」「どういう働き方が合っているのか」を真剣に考えていれば、営業や販売、コンサルティング等の仕事を選んでいたかもしれません。
ここまで挙げたように、就活において自分なりの軸を持つことは、就活を成功させるうえで非常に大切です。そのために、まず自己分析を行いましょう。自分自身をよく理解することが、軸を明確にするための第一歩です。
具体的には、例えば次のようなことについて、自問自答してみてください。ただ考えるだけでなく、ノートに書き出してみるとより効果的です。
・どんなときに“楽しい”と感じるか
・これまで一番やり甲斐を感じたことは?
・成長と安定どちらを優先させたいか
・社会人になって発揮したいスキルや知識はあるか
・どんな人と仕事をしたいと思うか
・興味のある製品やサービスはあるか、それはなぜか
・5年、10年後、どんな社会人になっていたいか
・どうしても叶えたい夢はあるか、あればどうすれば叶うと思うか
・公私含めて何を一番大切にしていきたいか など
あるいは友人や家族に、自分にどのような仕事が向いていると思うか訪ねてみるのも良いでしょう。客観的な視点は、思わぬ発見に繋がる可能性があります。また、軸が見えてきたら、実際に働いている人に話を聞いてみることも有効です。
就活の軸ができたら、あとはブレずに就活を進めるだけ。上手くいかないと、つい脇道にそれてしまいがちです。自分を信じることもまた、就活を成功させる上で、とても大切なポイントです。確固たる軸を持ち、それに添った就活を行うことで、社会人への道を切り拓いていきましょう。
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