自己分析は、「就活時に必ずやっておくべき」とされていることのひとつです。
しかし、自己分析の正しいやり方を知らず、既存の分析パターンに無理に自分をあてはめようとすると「自分とはいったい何なのか?」が混乱し、無限ループに陥ってしまうこともあります。
そこで、「自己分析の初心者が陥りやすい、間違ったやり方」を3パターンご紹介しておきましょう。
まず、「この自己分析は何のためにするのか?」を明確にしておきましょう。目的は「希望する企業に採用される」ということであって、「自分という人間を根底から問い直し、真の自分を見つける」ためではありません。
また、自分を厳しく分析するあまり、短所ばかりが目について自己否定に陥ってしまう人もいます。
人間の性格や気質には、はっきり「長所・短所」と決めつけられるものはありません。たとえば楽観主義の人に対して、「明るくポジティブである」と評価することもできますし、反対に「リスクに対する配慮や慎重さが足りない人だ」と評価することも可能です。
これは、どちらが正しいと決められるようなものではないでしょう。けれど、就活という目標さえ明確にしておけば「物事には両面があるけれど、ここは長所ということにしておこう!」と前向きに考えることができます。
多くの会社の企業情報を見ると、「求める人物像」についての記述があります。採用されたいあまり、無意識のうちに自分を、その会社の「求める人物像」にあてはめてしまうのはやめましょう。
たとえば企業情報に「明るくポジティブな人を求む!」と書いてあったとしましょう。自分は本来「物事に慎重で、常に一歩引いて考えるタイプ」であるにも関わらず、強引に「明るくポジティブな性格」を演じようとするのは逆効果です。
これは「相手が求めることに応えてあげたい」と考えてしまう真面目な人にありがちなのですが、組織というものはさまざまな個性が集まってバランスがとれるもの。無理に別人を演じようとする必要はありません。第一、ESではごまかせてたとしても、面接時にはたちまち「偽の性格」が見抜かれてしまいます。
たとえば、「私は責任感が強い人間だ」と思っている人がいたとします。周囲からもそう言われているかもしれません。しかし、実は「あの人は責任感が強いのではなく、人から文句を言われるのが嫌なだけ」と評価されていたとしたらどうでしょうか。
思い込みだけでは主観が強すぎます。自分がどういう人間か。あるいは、どんな強みを持っている人間なのか。これは、自問自答しているだけではなかなか見えてこないのです。
そこで、他人から自分がどう見えているか他人からの視点を取り入れたり、過去の出来事や経験を検証し、周囲の率直な声に耳を傾けなくては、「本当に分析した」ことにはなりません。ただの自分の思い込みに過ぎないのです。
身もふたもないことを言ってしまうと、「あなたが本当はどういう人間か?」という問いに答えはありません。自分自身にもわかりませんし、親や兄弟でもわからないでしょう。
周囲の他人は、状況とあなたの言動から考えてあなたがどんな人間かを判断しているに過ぎません。それがあなたの「客観的な社会的評価」ということになります。
就活における自己分析とは、「自分とは何者か?」を問うものではありません。「自分はどんな社会評価を受けている人間なのか?」を客観的に認識し、その評価を良い方向に持っていくことが重要なのです。