理系はともかく、文系では「大学院に行ったら、もう研究者(専門職)になるしかない」という都市伝説があります。文系の大学院を出ても理系のように企業で役立つ知識や技術を得られそうになく、就職先に困りそうだからというのがその理由のようです。それって本当!?
JOBRASS編集部では、採用担当者103名に、文系で大学院に行った末、中退や院卒で研究職に就かず、就活をする学生について、どう思うかを聞いてみました。
【文系で大学院に行った末、中退や院卒で(研究職に就かず)就活をする学生について、どう思いますか? 持つ印象やイメージを教えてください】
もっとも多かったのは、「気にしない」というものでした。ただし、人物や理由によるようです(後述)。
・それぞれ進路に対する考え方が変わったのでしょうから気にしません(女性/その他/41歳)
・特にそれをマイナスとは思いません。自分の適性を自分で分析、判断した上での方向転換であればかえって真剣な印象を持ちます(女性/その他/45歳)
・特になんとも思わない。大学を志望する段階で将来何をしたいか決まっている人なんて一握りだし、夢破れてそのような結果になることもあるだろうと思う(女性/その他/38歳)
・色々な業界を見ることも人生経験の一つで、他の分野に就業するのもいい勉強になると思うし、それがきっかけで元々勉強していた分野で活躍する場に出会える可能性もあるため、どんどん別の世界にチャレンジした方がいいと思うので、全く悪い印象はない(女性/その他/39歳)
・文系の研究職は厳しいため、やむを得ないと考える ポスドクの学生も多い(女性/その他/41歳)
前述「気にならない」のは、「どうしてそうしたかの理由が納得できるものであれば」という条件付き。ただし、「しかしながら、殆どの学生が納得させてくれないので、結果的にイメージは悪い」(女性/その他/47歳)という声もありました。
・それを経て今がどうかが問題で、その過程はあまりどうも思わない(男性/営業・販売/31歳)
・やりたい事が変わったなど、理由によります(男性/営業・販売/45歳)
・何らかの事情で、その道を選んだのだと思いますが、どのような思いでそうしたのかが重要だと思います(男性/営業・販売/42歳)
・きちんとした理由がない限り、あまり良い印象は受けない(女性/その他/49歳)
院卒からの方針転換はもとより、「中退」はその理由がもっと気にされるようです。
・学位を取得し卒業するなら問題はない。中退するくらいなら、最初から行かなければいいと思う(男性/コンピュータ関連以外の技術職/40歳)
・中退ならばその理由によって悪い印象になりかねない。院卒ならそのこと自体に関しては特に良くも悪くも思わない(女性/その他/30歳)
・中退は気になるが、理由が明確であれば問題ない(女性/その他/36歳)
院に行くということは、もっと勉強や研究をしたいということ。それなのに就職するというのは、4年生の時点での考え方が甘かったということでは、という厳しい指摘もあります。
・最後までやりきっていない(男性/その他/38歳)
・何がやりたいのかわからない(女性/総務・人事・事務/46歳)
・院に行った目的が分からない(男性/総務・人事・事務/43歳)
・その人それぞれだと思うが、やはり惜しいなとは思う(男性/営業・販売/49歳)
院卒での就活は、学卒時点での就活で失敗したと思われることもあるようです。
・卒業時の就活にも勉強にも挫折したんだなと思い、正直あまりいいイメージはない。(男性/研究・開発/33歳)
・大学卒業時の就活で失敗したかと思う(男性/コンピュータ関連以外の技術職/36歳)
大学院進学は、単なるモラトリアム期間を延長したかっただけではという意見もなかにはありました。
・就職をせずにあそんでいる(女性/その他/49歳)
・遊びたいだけ(女性/その他/46歳)
いずれにせよ、大事なのは「なぜ大学院に行こうと思ったか」と、「なぜ院卒で就職しようと思ったか」を自分の言葉できちんと説明できること。それができれば、「きちんと自分の人生を考えている」「向学心があるタイプ」など、ポジティブにとらえてもらえるようです。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年11月11日~2016年11月21日
対象:企業の採用担当者 計103名