夢と希望をもって「この業界に行きたい!」と思っても、いざ業界研究を始めたり、インターンシップに参加したりすると、「あれ? 思っていたのと違う……」というケースはよくあることです。
JOBRASS編集部では、就職活動に行き詰まった経験のある人218名に、目指していた業界や企業が自分に向いていなさそうだと気がついた経験があるかどうか、またある場合はそのことに気づいたきっかけや理由を具体的に教えてもらいました。
先輩たちの“気付き”を参考に「そういう視点もあるのか」と、自身の就職活動を見直すきっかけになれば幸いです。
【いろいろと考えなおした結果、目指していた業界や企業は自分には全然向いていなさそうだと気がついた経験はありますか?】
・ある 40.8%
・ない 59.2%
調査の結果、就職活動をするなかで、「あれ、もしかして向いていない……?」と気がついた人は4割以上にものぼることがわかりました。
気がついたきっかけは、「インターンシップ」「職場体験」など、実際に働いてみたら、思っていたのと違った……ということが多いようです。
そして、「自分には向いていない」と判断した理由で最多は「好きなことと、それをやることとは違うのではないか」というもの。例えば漫画を描くのが好きでも、それで食べていくとなると、もしかしたら自分の思い通りのストーリーばかりは描けないかもしれません。以前、芸人からフリーライターになった女性の話に、
「お笑いは好きだけど、人を笑わせるのは得意じゃなかった」
というエピソードがありました。では、具体的に、どのような業界を目指していた人が、どのような理由でそれを考えなおしたかを見てみましょう。
一件華やかなクリエイティブな仕事。こだわりがもてそうな「ものづくり」。でも、実際は地道な努力と能力が必要です。
・ケーキ屋さんに体験学習に行ったら、ずっと同じ工程の繰り返しで思っていた世界と違った。無言で作業を続けることより、人と接する仕事の方がいいと思った(女性/その他/29歳)
・自分はお菓子がすきで、ケーキ屋さんで働いていたけど、仕事が体力系なので、体力の無い自分には向いていないことに気が付いたから(女性/その他/39歳)
・私は漫画家など絵を描く仕事をしたかったが、仕事にするとおっくうになりそうなので諦めた(女性/その他/32歳)
・商品開発がしたくてそういう仕事を目指したが、アイデア等が平凡だと知人に言われた(男性/営業・販売/47歳)
・ゲームが好きだったが、作るのではなく、やるのが好きと気が付いたから(男性/その他/43歳)
実は、最初の段階で営業職に不安を抱える人は多数。でも、その一方で「営業をやっていたから、コミュニケーション能力が身についた」という人が同じくらいいるのも、事実です。不安であれば、アルバイトやインターンシップなど、多少なりとも経験してみると良いでしょう。
・コミュニケーション能力がないから営業は向いてない(女性/総務・人事・事務/33歳)
・コミュニケーション能力低いし、友達つくるのヘタだから、接客系が向かない(女性/その他/40歳)
・営業。多少なりとも“思っていないこと”をついて勧誘する事があり、それが自分にはできなさそうだった(女性/総務・人事・事務/39歳)
・営業を目指していたが、自分の性格を考えると向いていないと思った(女性/その他/42歳)
・コンビニ等でアルバイトをしてみた結果、接客業は向いてなかった(男性/その他/34歳)
・接客業を目指していたが、実際やってみると事務作業のほうが向いていた(女性/その他/30歳)
・ブランド会社に憧れたが、そもそもブランドものにこだわりがなかった(女性/総務・人事・事務/40歳)
・美容業界を目指していましたが、実店舗へお客様として訪ねたとき、『ああ、、雰囲気合わないな』と接客を受けて感じました(女性/その他/35歳)
・高齢化社会で、今後介護が人の役に立つと思ったが、体力面などで厳しそうだと思い、「自分のやりたいこと」を考え直した(女性/その他/39歳)
・資格をもち、“食いっぱぐれ”なさそうな技士を目指していたが、よりよく考えたら自分がやりたいことは、本当は金融関係の仕事だった(男性/営業・販売/49歳)
前項と矛盾するようですが、「やりたいこと」「できること」が、「仕事」にするとなると、また違ったという人もいます。理由は能力不足、体力不足、収入面に不安、業界の人間関係など人それぞれ。
・ITの現場にインターンシップにいったら、会話がなさすぎて向いていないと思った(男性/その他/39歳)
・大学の選考が理工の為、それを生かせる様にコンピューター関連の仕事を目指したが、実際は全く会社の流れについていけなかった(男性/その他/35歳)
・その業界に必要な技術やセンスがないと思った(女性/その他/24歳)
・学者になりたかったが、学識も勉強を続ける金もなかった(男性/出版・マスコミ関係/47歳)
・子供が好きだから保育士になりたかったが、人見知りが激しく子供以外との関わりは下手なので、保護者と密に連携していくのは自分には無理だ、と保育実習の時に気づいた(女性/その他/46歳)
・自分は歴史が好きだから社会科の教員を目指していたが、よく考えたら子供が苦手なので教員には向いていないと思った(女性/その他/34歳)
・旅行が好きなので観光業界を志望したが、好きなのと仕事にするのは違うと思った(女性/総務・人事・事務/35歳)
・保育士を目指していたが、給料の面などで不安になった(女性/その他/27歳)
・自分よりも才能がある人が、プロで生活できている訳ではなかったから(男性/その他/47歳)
いくら好きなこと、やりたいことでも、プライベートも大事にしたいという人は、残業や休日出勤が多すぎると耐えられないかも。そう、就職にあたっては、もっとも自分が大切にしたいのは何なのか、「優先順位」を考えることも重要なのです。
・職場体験で思っていた雰囲気と違い、のんびりとした性格には向いてないと思った(女性/金融関係/28歳)
・サービス残業が多そうで自分には向いてないと感じた。(男性/その他/39歳)
ユニークなものでは、「当時の彼氏と同じ業界に行きたいと思って就活していたが、別にそうする必要性はないなと、彼氏とうまくいかなくなったときに初めて気がついた」(女性/その他/26歳)という声もありました。もちろん、「好きな人がいる業界なら頑張れる」というのは、働くうえでの大きなモチベーションになるでしょう。ただし、「自分」がない就職は、いずれにせようまくいきません。
自分にとって、生きていく上で「働く」ということはどういうことなのか、大事にしたいことは何か。好きなことややりたいことを一生懸命考えるのではなく、逆転の発想で、“絶対やりたくないこと”“譲れないこと”を書き出してみるのも良いでしょう。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年7月15日~2016年7月21日
対象:就活に行き詰まった経験がある人 計218名