「おいしい牛乳」「ブルガリアヨーグルト」「エッセルスーパーカップ」「ミルクチョコレート」「キシリッシュガム」など、乳製品・お菓子で有名な明治グループ。毎年多くの就活生がエントリーし、人気企業ランキングの常連となっています。明治は東洋経済が発表した「倍率が高い企業ランキング」で第1位に輝き、事務系総合職の倍率は2750倍ともいわれ、内定倍率からみると日本一入社するのが難しい企業とも言えそうです。今回は明治の事業内容・グループ会社の違い、今後の課題などをわかりやすくまとめていきます。
明治グループは、明治ホールディングスを持株会社に【食品】を中心とした株式会社明治と【医薬品】を中心としたMeiji Seika ファルマ株式会社があります。みなさんになじみのあるお菓子や乳製品は株式会社明治の商品になります。
▼グループ理念
“私たちの使命は「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆくこと 私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、日々の「生活充実」に貢献すること。
私たち明治グループは、『食と健康』のプロフェッショナルとして、常に一歩先を行く価値を創り続けます。”
採用ページでも「明治グループが目指すのは、世界有数の「食と健康」の企業グループとして勝ち上がること」と書かれています。株式会社 明治は「食を通してのお客さまの生活充実貢献企業」を、Meiji Seika ファルマ株式会社は国際展開力を有する「スペシャリティ&ジェネリック・ファルマ」を目指す姿としています。「健康」が明治にとって重要な観点であることはおさえておきましょう。
▼明治グループの構成
明治ホールディングス株式会社(持株会社)
L●株式会社明治(食品事業会社)
…発酵デイリー(牛乳・飲料・ヨーグルトなど)/加工食品(チーズ・マーガリン・レトルト食品)/菓子/栄養/海外事業
〇グループ会社
【生産・調達機能】東海明治株式会社、関東酪農株式会社など
【販売・物流機能】明治フレッシュネットワーク株式会社、四国明治株式会社など
【サービス機能】株式会社ナイスデイ、など
【その他】沖縄明治乳業株式会社、太洋食品株式会社など
〇海外事務所:バンコク事務所/台北事務所
L●Meiji Seika ファルマ株式会社(医薬品事業会社)
…医療医薬品・農薬・動物薬・海外事業
〇グループ会社…北里薬品産業株式会社
〇海外事務所:マドリッド事務所/北京事務所/米国事務所
※上記の他に、明治グループ各社からの間接業務の受託を行う明治ビジネスサポート株式会社があります。
※各会社には海外にグループ会社もあります。
▼2014年度(2015年3月期)の業績
売上高:1兆1611億円(前年度比1.1%)※食品セグメント87.8%/医薬品セグメント12.2%
営業利益:515億円(前年度比41.2%)※食品セグメント80.5%/医薬品セグメント19.5%
従業員数:26,854人
1916年の創業以来、「食と健康」のプロフェッショナルとして価値を創造しつづけている明治。今年2016年には創業100周年を迎えます。そのなかで明治は「一歩先」を行くことで顧客を掴み続けてきました。また、おいしさに加えて、健康・限定感(プレミアム感)など付加価値のある商品づくりをすすめることで、多様化する消費者のニーズにこたえています。現在は2010年9月に発表した、2020年度に目指すべきグループの企業像「=2020ビジョン(さまざまな赤ちゃんからお年寄りまで、あらゆる年齢層のお客さまへ、食のおいしさ・楽しさや、心身両面で健康価値の提供を通じて、お客さまの生活充実に貢献する企業)」の実現に向けて、中期経営計画「STEP UP 17(2015年-2017年度)」を策定し取り組みをスタートさせています。
「STEP UP 17」では「成長の加速とさらなる収益性向上」を重点テーマとしています。
◎「STEP UP 17」の取り組み
・優位事業の強化と新たな成長への挑戦
・環境変化に対応しうる収益力の強化
・グローバル展開の推進
・経営基盤の進化
例えば「優位事業の強化と新たな成長への挑戦」の「食品セグメント」では、「主力商品の売り上げ拡大や低採算事業の見直し」を行い、健康な食生活に貢献する商品の開発に取り組んでいます。特に市場の中でも、優位性が高いヨーグルトやチョコレート事業で強化されています。
〇ヨーグルト
…1950年に「明治ハネーヨーグルト」を発売し、その後「プレーンヨーグルト」「ブルガリアヨーグルト」で国内のヨーグルト市場を開拓しました。現在は「プロビオヨーグルトLG21」 を発売するなど美味しさに機能性を加えた製品づくりを行っています。
〇チョコレート
…1926年に「明治ミルクチョコレート」を発売してから「チョコレートは明治」という地位を確立。現在は、チョコレートに「健康」の要素を加えた「チョコレート効果」などを商品化しています。
「医薬品セグメント」では、医療費抑制傾向が高まる中で持続的な成長を図るべく、国内市場では感染症領域、中枢神経系領域、ジェネリック医薬品を中心に事業展開、海外市場では成長の見込める地域に経営資源を集中させていきます。コスト競争力の確立を課題とし、生産面・調達面の双方で最適化を図っています。
▼その他詳細は
https://www.meiji.com/investor/library/annualreport/2015/pdf/annualreport_2015_ja_all.pdf
また、明治の業績に影響を与えうる項目として、以下の点が挙げられていますが、こちらは食品メーカーすべてに共通することです。
1.原材料の価格の高騰
2.グローバル化
3.天候
4.酪農乳業界の環境の変化
2017年卒採用ページをみると「チャレンジ精神」と「多様性」がキーワードとなっています。
そのため今のうちから
「これまでに挑戦したこと」つまり「学生時代頑張ったこと」を振り返る、もしくは経験しておくとよいでしょう。なかでも
・なぜそれを取り組もうとしたのか/何が課題と感じたのか
・どのように取り組んだのか
・その中での失敗/成果は何か
を振り返っておきましょう。また、明治は毎年多くの学生からエントリーがあるため、写真や画像を使ってアピールしなさい、といった課題になる場合があります。その際はできるだけ多くの人に見せ、意見をもらうようにすることをおすすめします。
また一般的な企業の場合、採用は営業職種での採用が多くなりますが、明治のように市場を既に開拓し、優位性が高い企業の場合、営業職での採用人数は少なく、研究開発職や食品開発といった理系専門職の採用の割合が多くなる傾向があります。
実際に2016年度入社(予定)人数は、株式会社明治で29名という狭き門。この中で人気職種である「企画職」になるのはかなりの難解と言えるでしょう。
「チョコレートが好きで……」といった志望動機や「入社後はバレンタインデーをもっと盛り上げたい」といった現在明治で既に行っている取り組みにとどまってしまっては周りの学生と差別化ができません。仮にバレンタインデーに焦点を絞るとしても「健康志向」のお父さんに送るなどコンセプトを想定しておくことが大事です。
明治の強みは既に「老若男女、全世代への商品の確立」されていること。
そしてこれから行いたいことは「人気ブランド」×「新たな切り口」によるマーケットの拡大です。
健康志向、安全性、プレミアム感など現在既にある人気ブランドを、新たな切り口から提案し世の中に広めていく必要があります。
「日本酒に合うチョコレート」や「歯磨きの代わりのチョコ」など、これまでのお菓子の時間だけではなく、様々な世代、様々な時間帯に親しまれる商品づくりを一度考えてみるとよいかもしれません。
1.なぜお菓子業界なのでしょうか。
「お菓子が好き」「人々に影響を与える」だけではない、「お菓子メーカー」である必要を考えてみましょう。
2.なぜ明治なのでしょうか。
「お菓子メーカー」の中でもなぜ明治なのでしょうか。チョコレートならば他でも作れます。なぜ数あるお菓子メーカーの中で、明治なのでしょうか。
3.明治で何をしたいのですか。
明治に入って満足……といった学生は求められていません。明治に入ってやり遂げたいことは何か、改めて考えてみましょう。
シンプルな3つの質問ではありますが、なかなか答えがでないのは当然です。また、必ず受かる答えも残念ながらありません。インターンシップや業界研究イベント、OBOG訪問などを利用して、自分自身の考えを固めていきましょう。
いかがでしたか。日本企業でも最難関ともいえる明治グループ。事前にしっかりとした対策が必要です。会社説明会や企業研究などをしっかりと行うようにしましょう。
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