女性の「産休」「育休」、そして職場復帰については、かなり理解が得られる社会になってきたように思われますが、男性の「育休」にはまだまだのようです。
就活で自分の働き方や将来の生活設計を見つめ、企業研究をするにあたり、女子学生は「産休」「育休」などの制度をチェックすると思います。男子学生はどうでしょうか? 将来結婚して子供ができたら? 収入のため、なるべく共働きが良いという人は、自身が休みをとることを考えているでしょうか……?
今回は、男性の「育休」制度について考えてみたいと思います。
「マタハラ」とは、“働く女性が妊娠・出産・育児をきっかけに 職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産・育児などを理由とした解雇や 雇い止め、自主退職の強要で不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味する”(https://www.mataharanet.org/matahara/より)こと。これに対し、最近「パタハラ」という言葉が注目を集めています。
「パタハラ」は「パタニティ・ハラスメント」の略。パタニティとは「Paternity(父であること・父系)」の意味で、「ハラスメント=いやがらせ」を加え、「働く男性が育児参加をするために休暇をとろうとすることなどに、イヤガラセを受ける」という意味の造語。
東レ経営研究所 のダイバーシティ&ワークライフバランス主任研究員・渥美由喜さんによると、「パタハラ」の被害に合った男性は12%という結果もあるほど。制度そのものはあっても、実際に利用しようとするとさまざまなイヤガラセを受け、利用を諦める実態は少なくないようです。
渥美さん自身の体験では、「キャリアが台無しになるぞ」と前の職場の上司にいわれ、“裏切り者”という目で見られたことがあるのだそうです。その他妻が出張に行くため、子供の面倒を夫がみようとしたところ、「夫を休ませる妻を選ぶなんて…」という批判を受けたケースもあったのだとか。
一方で、理解のある企業もあります。例えば日本生命では男性の育児休暇取得を推進しており、毎年300人以上の男性が制度を利用しています。同社に勤め、育児休暇を取得したことのある男性会社員は「一昨年から始まって、これまでは全員とっていると聞いています」とコメント。また日本生命という企業の特性上、家族や子育てに理解があることはビジネスにもプラスになるようです。
女性にとっても働くことが“当たり前”という時代、男性の意識としても、「妻に働いて欲しい」と思う人は多く、父親の育児参加も“当たり前”の時代になってきています。芸能界などでは、むしろ父親が育児に参加すると、評価が高まるケースもありますよね。しかし、サラリーマンにとっては、男性の育児休暇はまだまだ企業によって温度差がありそうです。
制度はあっても使えない、使いにくいのでは意味がありません。企業研究をするにあたり、こういう点に着目してみるのもいいでしょう。