万が一の時に助けとなる保険、保険業界の仕事は困った時に人を助ける実に有意義な仕事です。生命保険は人の命に係わる保険ですが、損害保険にはいろいろな種類の保険があります。旅先で病院に行くのは不安なものですが、旅行傷害保険をかけていれば、通訳付きのうえキャッシュレスで現地の病院にみてもらえるので安心です。損害保険会社は、就職先としても人気のある業界です。志望動機を書く際には、どんな点に気を付けたら良いのでしょうか。考えてみましょう。
(※こちらの記事は、2016年6月17日に公開したものを更新しています。)
損害保険と一口に言いますが、損害保険会社が扱っている保険には、どんな種類があるのでしょうか。最も身近な自動車保険、地震保険などの自然災害に対する保険、火災保険などは、偶然の事故によって生じた損害を補償するための保険です。損害率に応じて保険料が支払われます。同様の形式で、企業が貨物にかける貨物保険や船舶保険といったものもあります。旅行傷害保険等の傷害保険、ゴルファー保険などのスポーツをする人を対象にした保険もあります。幅広い分野に展開しているために、個々の収益構造が変わることはあれ、損害保険全体への需要はなくなることはありません。これは、損害保険業界の強みです。
損害保険業界は、様々な要因による影響を受けます。他業界同様、日本の少子高齢化、人口減少は、損害保険業界にも関わってきます。少子化により若年人口が減っているだけでなく、若者自体の自動車離れ、高齢者の事故の増加は、自動車保険の収益率に関わります。住宅着工件数の減少も、住宅保険や地震保険といった家と関わる保険の契約件数に関わってきます。自然災害による被害は、保険会社の支払い要件になりますから、大きなリスクファクターです。一方で、自然災害が起きるたびに、自然災害への意識が高まり、損害保険への需要が高まる傾向もあります。これは、損害保険の存在意義である、「国民生活の安定および国民経済の発展に資する(保険業法第一条)」という、社会的な使命を達成しているともいえます。
金融自由化の流れに沿った保険業法の改正も、大きな影響を与えています。自由化により、新商品が開発されたり、銀行窓口でも販売されるようになるなど販売チャネルが拡大し、消費者にとっては、利便性が高まっています。一方で企業は、開発負担、保険料率の競争激化などにより、効率的な経営を強いられています。その結果、合併による再編が進みました。その結果、3メガ損保グループと呼ばれる巨大グループ企業が生まれ、損害保険業界の9割のシェアを3グループが占めるようになっています。
新たな損害保険への需要も高まっています。「リスクがある所に保険ニーズあり」と言われるように、新たな産業が生まれるとその事業のリスクヘッジのために損害保険商品が生まれます。再生エネルギー、ロボット産業の活性化は、新たな保険商品の開発を必要としています。再生可能エネルギー分野では、メガソーラー事業者の火災や落雷、賠償責任、日照不足などをカバーする損保商品が生まれています。
損害保険業界は8兆円を越える業界規模を持ちます。業界再編後、2010年には3メガ体制となっています。3つのメガグループで9割以上の国内シェアを持ちます。さらに、グローバル市場での展開も進めており、M&A投資を積極的に行っています。
3メガ損害保険グループ、個々の特徴を見てみましょう。( )内は、2017年4月~2018年3月の2017年度決算時の正味保険料収入額です。
・東京海上ホールディングス(3兆5,647億円)
1879年に日本初の損害保険会社として創業して以来、国内・海外に展開しているグローバル企業です。イギリスのキルン社、米国のフィラデルフィア社、デルファイ社、HCCインシュアランスHD等を買収し、欧米市場でも本格的に海外保険事業を展開しています。245の子会社、32の関連会社で構成されています。グループのモットーは、「世界のお客様に”あんしん”をお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ ~100年後もGood Companyを目指して~」。
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス(3兆4469億円)
三井住友海上グループ、あいおいニッセイ同和損害保険が経営統合したグループ、日本最大の規模を誇るグループです。「厳しい目を持つ日本のお客さまに認められた高品質な商品とサービスを武器に世界へとマーケットを広げていく」ことを目指しています。
・SOMPOホールディングス(2兆8,547億円)
損保ジャパンと日本興亜損害保険が統合してできたグループ。2014年にイギリスのロイズ保険会社キャノビアスを子会社化、スイスやミャンマーに現地法人を設立し、アジア地域をメインに海外展開を強めています。
3大メガ損害保険会社はそれぞれが特徴的な採用活動を行っています。どの企業も、インターン、OB訪問などが積極的に行われており、採用活動の間口を広く保とうとしているのが感じられます。就活に有利になる傾向もあるので、インターンには参加するようにしましょう。
・東京海上ホールディングス
東京海上ホールディングスのインターンは自己分析をする上で非常に有益だと言われています。かなり掘り下げた自己分析が求められるということで、就活の始まりの時期にインターンに参加しておくと、その後の就職活動にも役立てることができそうです。
東京海上ホールディングスは、伝統やしきたりではなく、本人重視で学生自身の内面を評価する傾向にあると言われています。筆記試験も難しく、かなりのスペックが要求されるともいえます。面接でも、ありきたりの志望動機は聞かれないようです。その代わりに、「学生時代に取り組んだこと」「自己分析」に関わることが聞かれるとか。自己分析をきちんと行い、具体的な経験を語れるように準備しておきましょう。嘘はつかず、等身大の自分を見せることが大事です。
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
通年通してインターンに参加できる、テーマの違うセミナーが複数回開催される、WEBからOB訪問申し込みができる、等、実際に働く社員と触れ合う機会が多く設けられているのが特徴のMS&ADインシュアランスグループホールディングス。企業も真剣に応募者の人となりを見極めようとしているともいえます。志望動機を書く際には、社是をはじめとした企業理念をきちんと把握して、自分なりの経験やエピソードを絡めながら書くようにしましょう。もちろん、自己分析はこちらでもきちんと行い、MS&ADインシュアランスグループホールディングスでどのように働きたいのかを明確に表現するようにしましょう。
・損保ジャパン日本興亜ホールディングス
大学の長期休暇中に行われるインターン、WEBからのOB訪問というシステムがあり、興味のある部署で働く社員に直接会って質問できるようになっています。働いている方々の本音を知るためにも、是非参加しておきたいですね。就活の進み方についても、教えてもらったりできるかも。損保ジャパン日本興亜ホールディングスは、自己発信力、相手を納得させる力に重きを置いているようです。面接で、「損保ジャパン日本興亜で実現したいことは何か」といった質問が出されています。企業の考え方や事業内容をきちんと把握し、自分とリンクさせるようにしましょう。