女性のほうが内定をとるとか、「総じて女性が優秀」なんていう採用担当者もいますが、日本の大企業では、まだまだ女性で良いこともあれば、損することもあるのが実状です。女性がしなやかに会社員生活を送る秘訣とは?
最初の就職で大手食品メーカーに入社後、配属されたのは営業部だったという女性会社員、中村さん(33)。現在は中堅広告代理店に転職し、営業アシスタントをしています。2つの会社で経験した、「企業によって変わる女性の会社員生活」について話してくれました。
「食品メーカーでは、商品企画とかそういうことをやりたかったのですが、新入社員はまず営業、という感じでした。1年目で商品企画やマーケティングにいく人もいなくはなかったのですが、8割くらい営業部配属だったかな。そこで3年、その後営業管理する部門に2年いました。
営業で、新入女性社員が得をするのは、営業先に行ったときに、“とりあえず”注目してもらえること。新人なら男性社員も同じなのですが、女性のほうが可愛がってもらいやすい気がしました。担当者が男性か女性か、ということもあるのかもしれませんが。
ただ、何か失敗して、営業先に謝罪に行かなくてはならなくなったときなど、ココ一番というときにはちょっと頼りなさ気かなという自覚があって。必ず男性社員にも同行をお願いしていました。でもこれは、今から思うと、女性だからどうのこうのというわけではなく、単純に、新入社員だったからですかね。
5年で会社を辞めました。育休なども手厚く、長く働きやすそうな会社ではあったのですが、圧倒的に女性社員が少ない会社で、またリーダーになる人はとても少なく、その人たちでさえ『広告塔』っぽい感じ……『ウチも女性を管理職に登用しているんだぞ』というアピールのようにみえて、ちょっと行き詰ったんです。別に何がなんでもリーダーになりたいというわけではありませんでしたが、(女性は)評価されないのかな? という気がしちゃって。
これは、私がいた会社がとても大きく、また老舗というか歴史も古いからかも。でも今は女性の活用ということが声高にいわれていて、また新入社員も女性のほうが多いくらいと聞いているので、私がいた頃とは随分事情が違うとは思いますが」
食品メーカーから、広告代理店に転職した中村さん。驚いたのは、女性の活躍の仕方だといいます。
「ここでは、本当に男性と女性がフラットに働いていて、新鮮でした。当たり前といえば、当たり前なんですけど。取引先の担当者も女性が多く、なんというか、気張らずにいられる感じです。メーカーのときは、『ザ・男性社会』っていう感じだったので、どこか緊張していたんですね……。
ただメーカーでは、先ほどもいいましたとおり、福利厚生はバッチリ。長く働く人が多く、女性会社員だけの平均年齢もかなり高かったと記憶しています。それと比較すると、今の代理店は、育休から復帰したり、また子供をもっている女性は少ないです。制度はあるのですが、人数が少ない分、戻ってきたときに周囲との経験差のようなものが如実にあらわれたり、自分の代替がいないことで、かえって周囲に迷惑をかけてしまうことになることを気にするのかな……、と思います。もちろんバリバリと働く人もいて、そういう人との違いが大きいというところでしょうか」
とりわけ女性はどんな規模の会社で、どういうふうに働くかをじっくり考えたほうが良さそう。「最初の就職では考えなかったのですが、案外“企業規模”はポイントかもしれませんね。何かあったときに自分の代替がいるかどうか、という」
中村さんは今、男性営業のアシスタント。残業もあるようですが、「私は全面で営業をするより、アシスタントに向いている」と分析しています。一度、一つの企業を経験しているからこそわかったことですね。学生へは、
「自分の向き不向きなんて、案外最初はわからないもの。その時その時の考えでいいと思います。考えが変わったときも、『あの時はこういう事情でこういう風に考えた』と説明できればOK。わからないからこそ、決めつけるのではなく、なんでもチャレンジ、飛び込んでみましょう。就職活動、がんばってください!」
とエールを送ってくれました。