突然ですが、次に2つの質問に答えられますか。
選考を受ける企業を想定して30秒程度で答えてみてください。
Q1.なぜその業界を志望しているのか
Q2.なぜその会社を志望しているのか
一番シンプルなようで、一番難しい質問かもしれません。なぜならばこれらの質問は、みなさんがこれまで行ってきた「自己分析」「業界研究」「企業研究」を集約し答える必要がある、いわば集大成のような質問なのです。この答えを探す行動が就職活動といっても過言ではありません。
この2つの質問を答えるためのポイントをお伝えしますが、既に答えが浮かんでいる方も、これからお伝えする要素が抜けていないか、確認してみてください。
就活生のみなさんは、就活の初期に「どんな業界があるかを知る」ために業界研究イベントにいくつか出てみるなど、様々な業界を広く知ろうとしていたと思います。
しかしながら、面接直前に迫った現在、ここでもこれまでと少し異なる業界・企業研究が必要となってきます。研究というと、深く長い時間をかけるイメージがありますが、ここでいう研究は「ピンポイントに深く」というイメージです。
就活初期に行った業界研究は「知る」ためのものですが、今行っていただきたい業界研究は企業に「伝える」ための「確認」を目的としています。
前者の場合は、業界の規模やビジネスモデルなど事実をみていく作業になりますが、後者はみなさん自身の考えの中に答えがあるので、少し難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、順を追って説明していきます。
では早速ですが、いくつかのチェックを用意しました。下のチェックごとに【 】内を埋めてこれまでの就活準備で学んできたことをまとめていきましょう。
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◎チェック1:あなたが受ける業界のビジネスについて
・ターゲットにしている顧客は?:【 】
・扱っている商品は?:【 】
(※業界の売上規模【 】)
◎チェック2:あなたが受ける企業の強みは何と言っていたか/書いてあったか
【 】(企業名)の強みは同業他社と比べて【 】であること
◎チェック3:あなたが受ける業界の課題は何か
【 】業界の課題は【 】であること
◎チェック4:チェック3であがった課題に対して、これから受ける企業はどのように解決しようとしているのか
【 】業界の課題に対して、【 】(企業名)は【 】を、強化/撤退/新たに開始する
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全て埋められたでしょうか。では、どのように【 】を埋めていくことができるのか、考えてみましょう。
チェック1・2に関しては、「会社説明会」「企業の採用ページ」に書かれていることが多くあります。
チェック1に関してわからない、ということであれば、まだ初期の業界研究が不足しているといえます。改めて確認しておきましょう。(※)に書いた、業界の売上規模に関しては、業界のビジネス・数値のイメージを持たせるために必要としています。
そして「広告業界の売り上げが大きくて、世の中に影響を与えると思ったから」といった間違った志望動機を伝えないようにするためです。売り上げが多い→世の中に影響を与えるという考え方ならば、広告業界よりも売り上げが多い自動車メーカーのほうが影響が大きい=自動車メーカーのほうに行ったほうがよいのでは? という突っ込みどころを相手に与えてしまうからです。
▼チェック3・4を答えるために:IR情報を確認しよう
IR情報とは、株主に対して経営情報を提供するための資料のことです。
どちらかというと企業の売上など財政に関するイメージが強いですが、将来の展望や現在の課題などを公表していることが多いので、就活生の方にとっても役立つ情報がいくつかあるはずです。IR情報というと、難しい・わかりづらいと思いがちですが、すべてを把握する必要はありません。
企業のサイトのなかでIR情報に載っている「アニュアルレポート」という単語。もし気になる企業のサイトでアニュアルレポートを見かけたらこちらをチェックするようにしましょう。デザイン性もありとてもわかりやすく書かれているものもあります。企業によっては業界の動向や同業他社比較を発表していることがありますよ。
しかし財政の語句に慣れないと、こうした資料をみても頭に入ってきません。就職活動に関わらず難しく慣れない資料を見るときに意識してほしいことは
1.全部を理解する必要はない
2.知るべきところだけ見る
3.わかるところ(得意分野)は一応見ておく程度でよい
ということです。
今回の場合は「業界の課題」に対して「どのように対応しているのか」を知りたいので、それがわかることを目的として資料をみていくようにしましょう。必要なこと以外はわからなくても大丈夫! と、わからない箇所を読み飛ばすのも大事な決断です。
▼なぜその企業なのか、を考える
繰り返しになりますが、企業は皆さんに「なぜ同業他社ではなくうちなのか」「なぜ他業界ではなくうちなのか」ということを聞きたいのです。
もちろん企業間の違いなど、社員になってはじめてわかることもありますが、ある程度は答えられる状態にしておく必要があります。それを考えるにはまずみなさんの就職活動の軸を思い返してみましょう。
例えば「社会貢献」を軸に就職活動をしていた人がいるとします。社会貢献ができそうな業界、と考え、いくつかの業界を選んでいると思いますが、それはあくまでも「みなさんが持つイメージ」です。
そもそも企業は、一部を除いてほとんどの企業が、経済活動を活発にしている、ある場面で困っている人を助けるための商品を作るなど……社会貢献をしていると考えるべきです。そこで考えてほしいことは、「その業界・企業に入って社会をどのように変えていきたいか/どのような社会をつくりあげたいか/どんな社会に貢献していきたいか」ということ。
食なのか、サービスなのか、介護なのか、コンサルなのか……実は「社会貢献」のあり方は人それぞれです。あなた自身の考えを伝える練習をしてみましょう。
弊社アイデムも属する人材業界の場合、教育業界や介護業界に興味を持っていた学生が人材業界に興味を持ち、選考を受けに来ることがあります。その中には「人の役に立ちたい」という就活の軸を持っている学生が多くいますが、考えるとするならばなぜ民間企業に入る必要があるのでしょうか。そんなところから考えるのもよいかもしれません。
▼企業比較は●●から考えてみよう
各業界ではかならず課題があります。少子化、人口減、若者の顧客離れなど…そうした業界で共通する課題を自分が受けようとしている企業はどのように考え、ビジネスを展開しようとしているのでしょうか。国内でシェアを広げるのか、アジア圏に進出するのか……こうしたビジネスの方向性は各社それぞれです。方向性を決定した根底の考え方に共感できるかどうかも大事な点です。例えば「国内の消費者が減少している」サービスがあったとします。
その課題に対して「アジアに展開する」という企業があった場合、その根底には「とにかく利用者を増やすことを最優先する」という考えがあるかもしれません。また同じ課題に対して「1人単価を増やすために国内で別事業を立ち上げる」という企業があった場合、そこには根底に「日本国内にこだわる理由がある」「ユーザー数ではなく、人々にとってなくてはならない存在の会社になる」ことを大切にしているのかもしれません。
みなさんが会社説明会を受けたときと、入社して3年経ったとき、状況が同じとは限りません。どんな考え方をもった企業なのかを考えて見ることもひとつの方法です。
▼理想の会社ではなく理想に「近い」会社に
これだけ大変な思いをしているのだから、理想の企業に入りたいと誰しもが思うこと。ただし、みなさんにとって100%完璧な企業など無いと思った方がよい、と思います。「働けるならどこでも」という人もいるかもしれませんが、「名前を知ってる企業」で「安定」していて「転勤」はなくて、「実家から近くて」、「事務職」なんて考えているのであれば、ちょっと待って下さい。仮にあったとしても、みなさんだけでなく他の就活生も魅力的に感じるはず。その企業はかなりの倍率になります。
そこで必要なのは「優先順位」をつけること。絶対譲れないことをいくつか決めましょう。絶対譲れないことの他に「できればそうであってほしいこと」「どちらでもよいこと」とわけていくとよいと思います。理想の企業というより理想に「近い」企業を探していく、という意識を持っておくことが大事です。
面接は緊張し、就活中は精神的に不安定になることもしばしばあると思います。準備段階では多くの人を頼ったり、手伝ってもらったりしますが、最後に決断をするのは他でもない、あなたです。だからこそしっかりと自分が大切にしたいことをしっかりと認識して、その大切にしたい部分を信じて、面接で伝えきって、みなさんの思いに共感してくれる企業に出会ってほしいと考えています。
みなさんの努力が報われるよう、今後もJOBRASSは応援していきます。