厚生労働省の「平成26年就労条件総合調査結果」によると、定年制を定めている企業割合は93.8%。
また、一律定年制を定めている企業について、「65歳以上」を定年年齢とする企業割合は、15.5%で、企業規模別にみると、1,000人以上が5.4%、300~999人が6.8%、100~299人が9.8%、30~99人が18.3%となっています。大規模な会社ほど、上の世代がたくさんいるため、定年もそんなに長くしないのですね。
JOBRASS編集部では、志望するときに「他の業界にピンとこないから」「モノを作るという行為がわかりやすいから」と、「なんとなく」目指す人が多く、また転職率の低そうな(?)メーカーに勤める会社員226名に、「定年まで働くかどうか」を聞いてみました。
ちなみに企業が従業員の定年を定める場合、定年年齢は60歳以上とする必要があります。さらに定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、
「65歳までの定年の引上げ」
「65歳までの継続雇用制度の導入」
「定年の廃止」
のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があります。高齢化社会の今、年金をもらうまでの空白期間をなるべくあけさせないようにするという政府の考えです。ちなみに一律定年制を定めている企業のうち、勤務延長制度若しくは再雇用制度又は両方の制度がある企業割合は94.0%。
さて、そんな「定年」まで働きたいと思う人は、どれくらいいるのでしょうか。
【定年まで勤務したいと思いますか?】
・思う 62.4%
・思わない 37.6%
1)安定した収入があれば良い
「定年まで働きたい」という人は、ほとんどが「安定した収入が確保できれば良いから」という理由でした。「先行きどうなるかわからないなか、転職しても環境がよくなるとは限らない」という声や、「ずっといたほうが退職金は多くもらえる」という声も。
・ある程度の収入が約束されているから(男性・34歳)
・できるだけ稼いでおきたいから(女性・28歳)
・とりあえず給料が安定しているので(男性・47歳)
・やはり退職金がちがう(男性・50歳)
・安心(男性・37歳)
・安定(女性・24歳)
・安定した給与が欲しい(男性・40歳)
・仕事の職種が好きだと退職金が多くなるので(男性・63歳)
2)転職しても、待遇がよくなるとは限らない
・今更転職も……たいへん(男性・48歳)
・再雇用が難しいから(女性・58歳)
・ほかに勤めるところがない(男性・61歳)
・ほかに行くところがない(男性・59歳)
・他に転職出来ない年齢だから(男性・47歳)
・転職とか面倒なので(男性・42歳)
・転職は大変だから(男性・49歳)
3)ひとつの仕事を長く続けたほうが技術が身につくから
これはメーカーの技術職ならではでしょうか。長く経験を積めるという声がみられました。職種、会社の規模にもよるでしょうね。
・1つの仕事を全うしたい(男性・40歳)
・技術が身につくから(男性・44歳)
・長く自分の技量が磨ける(男性・65歳)
・実力を出し切れないから(男性・46歳)
・途中でいろいろな経験を積むことができるから(男性・66歳)
・働きがいがあるから(男性・65歳)
4)居心地が良いから
メーカーという業界が好きだから、居心地が良いからという声も多くみられました。それほど不規則に時間を拘束される業界でもないメーカーは、いったん勤めると、居心地がよいところも多いようです。
・メーカーが好きだから(男性・65歳)
・楽しい(女性・38歳)
・楽だから(男性・36歳)
・居心地がいい(男性・51歳)
・今の仕事が気に入っている(男性・49歳)
・今の職場が気にいっているから(男性・50歳)
一方、「定年までいたくない」という人の声をみてみると、「しんどい」(女性・41歳)、「ブラック企業だから」(男性・45歳)、「会社が存続するかどうか分からないから」(男性・26歳)など、企業にもよりそう。
多かったのはスキルアップを目指したい、独立志向があるという声。そして、「先行きわからないから」という声も散見されました。先行きがわからないから定年までいるという人がいる一方で、だからこそ転職を考えるという人もいるということ。
1)いろいろやりたい
・スキルアップして更に上を目指したい(男性・55歳)
・違う仕事をやりたい(男性・49歳)
・色々試したい(女性・46歳)
2)独立志向
・会社に頼ることなく自分で稼ぎたいから(男性・45歳)
・早く辞めて、好きなことをやりたい(男性・55歳)
・独立したい(男性・43歳)
・組織に属すことが嫌だ(男性・23歳)
3)先行き不明だから
・今の時代、どの企業も安定的ではないから(男性・36歳)
・先のことはわからない(男性・46歳)
・先行き不安定だから(男性・54歳)
誰も先のことはわかりません。でも、就職を考える時は、自分はなるべく安定を求めるのか、冒険したいのか、ちょっと考えてみるのも良いでしょう。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年2月16日~2016年2月24日
対象:メーカーに勤める会社員 計226名