空港のお仕事――
といえば「パイロット(操縦士)」や「キャビンアテンダント(客室乗務員)」「グランドスタッフ」といった、華やかな職業を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? しかし、空港にはその他にもさまざまな職種が存在します。
昔、木村拓哉さん主演のテレビドラマ「GOOD LUCK!!」で、柴咲コウさんが演じた“航空整備士”が注目され、航空業界への就職ブームが起きたこともありました。
出会いや別れなど、さまざまな人間模様と感動の瞬間があふれている空港。一度は「働いてみたいな」と憧れた人も少なくないのでは?
さて、空港で働くにはどうしたらいいのでしょう。
自分が働くにはハードルが高すぎる
語学力がないと無理なんでしょ?
など「憧れてはいるけれど……自分にはむずかしいかも」と、はじめから諦める必要はありません。実際に空港を訪れると、さまざまな種類の仕事に従事した、たくさんの人々と出会うことに気づくでしょう。前述したとおり、空港はとても広く、実に多くの職種があり、あなたに合ったお仕事もあるはずです。
今回は、空港の仕事について紹介したいと思います。
≪搭乗客と直接関わる職種≫
■グランドホステス……搭乗客のチェックインや案内・誘導、ラウンジでの接客
■セキュリティスタッフ……搭乗客の手荷物検査や身体検査などを行う空港警備員
お客さまと直接関わることができるとあって、大変なことも多いかと思いますが、その分ヤリガイもひとしお。感謝の言葉やお客さまの問題を解決できた時などには、充実感や達成感が味わえるでしょう。
「グランドホステス」は「グランドスタッフ」とも呼ばれており、空港内での接客サービスのすべてに関わります。
詳しい仕事内容は、航空券の日付や搭乗便、名前などの確認、チェックインの手続き、海外への利用客に対してパスポートのチェックを行うカウンター業務。これらはすべてコンピュータの端末を操作して行います。また、空港で直接搭乗券を購入する人にチケットを販売したり、飛行機を接続便に乗り換える乗客のためにアナウンスなどで案内したりするのもグランドスタッフのお仕事です。 乗降客へきめ細かなサービスを行うグランドスタッフは、各航空会社を代表する空港の顔とも言うべき存在です。
「セキュリティスタッフ」は、世界中でテロが多発する近年、その役割は重要です。手荷物の検査と共に不審者がいないかどうかの警備も行っています。
≪飛行機運航に関わる職種≫
■ディスパーチャー……航空機のフライトプランを作成
■航空管制官……安全で円滑な運航を支える航空機の交通管理担当(国家公務員)
■航空運行整備士……航空機の整備・点検(1等と2等の違いは扱える飛行機の重量の違い)
■グランドハンドリング……空港での航空輸送地上業務の総称
■マーシャラー……航空機を駐機場に誘導する専門職
■ローダー……航空機へ貨物の積込み・積下ろしを行う専門職
上記の航空整備士・航空管制官・グランドハンドリングは、資格が必要です。航空運航整備士になる条件は、18歳以上で2年以上の航空機の整備経験があること。航空機整備学科のある専門学校などで実技の経験を積んで受験する方法と、航空会社の整備部門や航空整備会社に入社した後、現場で実務経験を積んでから受験する方法があります。今からでも十分目指せる職種なので、興味がある人はぜひ調べてみてください。
その他、航空無線通信士(航空機の無線局など、航空機の運行に必要な無線通信を行える免許)や航空特殊無線技士(国内限定の自家用機や農薬散布などの航空機の無線設備を操作が行える免許)危険物取扱者(火災の危険性が高い危険物の取り扱いなどを行うことができる資格)などがあります。
飛行機運航に関わる仕事は、強い責任感と的確な判断力、精神力を持ち、細心の注意を払って業務に当たれる人に適しています。
近年は、航空機の利用者が増え、新空港の建設や路線の拡張が進められてきたことにより、一部の地域では空の交通が過密化しつつあるのが現状。空の安全確保と効率的な運航に責任を持つ飛行機運航に関わる仕事なので、今後も重要な役割が期待されています。
≪空港内、機内のサービス業≫
■免税店スタッフ……空港内で税金が免除されるデューティーフリー店のスタッフ
■土産品店スタッフ……空港内のお土産品店のスタッフ
■飲食店スタッフ……空港内にある飲食店のスタッフ
■ケータリングスタッフ……機内でサービスされる機内食の調整、機内への搭載を行う
みなさんに一番身近な職種かもしれませんね。こちらは、航空会社とは別に出店先の企業ごとに採用を行っている場合がほとんどです。近年では、空港内のサービスを充実させるために、様々なお店が出店しています。お土産用のお菓子をはじめ、玩具や洋服・旅行用バッグなどのお店が多い中、リラクゼーション店や本屋、薬局、美容院、ペットホテル、銭湯(温泉)なども。これもほんの一部で、全国の空港にはまだまだ珍しい店舗やサービスがあります。飛行機を利用しなくても誰でも立ち寄ることができるので、旅客以外にもカップルやファミリー層が、デートやドライブがてらに来店する場合も多くあるようです。また、レストランやカフェも多く出店しており、その質は年々グレードアップしています。空港という憧れの地で、さらに一流レストランで働くのも可能であるということですね。非日常的な空間で仕事を充実させたい人にもピッタリな空港勤務。同じサービス業でも、違うヤリガイや充実感が味わえそうです。
空港勤務=英語(外国語)ができなきゃダメ
と、思い込んではいませんか?
もちろん、職種によっては英語または外国語ができることが「必須」となっているものも多くあります。しかし中には、必ずしも英語または外国語が「話せなければならない」という条件がない職種もあるので、まだ諦めないでください。
例えば、グランドスタッフは語学力を求められる場合がありますが、国内線か国際線かによってその度合いも変わってきます。国際線のグランドスタッフであれば、英語にプラスして他の言語についても「読み・書き・話す」といったことができれば、評価が上がるでしょう。日本からの近場路線でいうなら、韓国語・中国語(マンダリン・広東語)の知識があると有利になる場合も。
国内線のグランドスタッフであれば、旅客は日本人が多いので、国際線に比べると語学力の重要度は低めです。たずねられることもある程度は決まっているので、その回答や言い回しを覚えておけば、大丈夫でしょう。ただし、近年は訪日外国人数が急増し、過去最高を更新しているのにともない、国内の地方都市まで足をのばす外国人の旅行者が増えてきています。この傾向は2020年までに、さらに拡大すると言われていますので、国内線のスタッフに就職できたとしてもある程度の語学力を身につける“努力をする覚悟”は持っておきましょう。
その他、上記で挙げた飛行機運航に携わる職種に関しては、目指す職種・資格によって語学力(主に英語)が必須となるので、事前に職種研究が必要です。
空港内・機内のサービス業であれば、英語ができれば“有利である”のは間違いありませんが、必ずしも英語または外国語が「話せなければならない」ことはないでしょう。必要なのはホスピタリティと、仕事に対して熱心に取り組む姿勢だと思います。
また、航空会社もいわゆる一般の会社と同じように広報や人事・総務といったオフィス系の職種もあります。仕事で語学力を発揮する場面が少ないので、ここでも語学力の有無は重要度が低めであると言えるでしょう。
このように「パイロット」や「キャビンアテンダント」などの他にも、空港の中には様々な職業があります。
空港で働くには、どんな職業があるのか、どんな資格がいるのか自分でより深く調べてみましょう。資格が必要なもの・必要でないものはもちろんですが、英語を使うもの・使わないもの、人と接するもの・接しないものもあります。
自分がなぜ空港で働きたいのか、繰り返し考えて核となるものをみつけてください。
そして、日本の空、世界の空を舞台に――
空と人の間で働く、夢の仕事をみつけてください。