エントリーシートにも、履歴書にも必ずある志望動機の欄。漠然とした志望動機はあっても、どのように書いたら企業の採用担当者に通じるのか、悩むところですよね。まず、IT業界を志望する人が志望動機を書く際にどういったことに留意したらよいのか、考えてみましょう。
(※こちらの記事は、2016年2月16日に公開したものを更新しています。)
志望動機は、自分がどのような人となりで、志望している仕事に関してどのように考えていて、なぜ志望しているのかを伝えることができます。絶好のアピールのチャンスですから、よく考えて自分なりの志望動機を書きたいものです。そのためには、「自分の人となり」と「志望する熱意」が伝わるように気を付けましょう。
「自分の人となり」を伝えるために一番良いのは、具体的な経験を盛り込むことです。自分が経験したあることに関して、状況や、自分がその局面で何をしたのか、どのように感じたのかといったことを、わかりやすくまとめましょう。志望する業界を目指すきっかけとなったエピソードを考えてみてください。
「志望する熱意」は、その業界、その会社でなくてはならない理由を、独りよがりなものではなくて、相手に伝わる形で表現しなくてはなりません。そのためには、業界研究や企業研究をする必要があります。業界、企業によって求めている人材も変わりますし、自分のアピールポイントというのも変わってくるからです。
では、IT業界にはどういった業態があるのでしょうか。IT業界は大きく4つの業種に分けられます。
・ハードウェア業
ハードディスクやコンピューターといった電子回路を内蔵した機器や装置、電子部品を製造している。
代表的な企業は、SONY、パナソニック、東芝、富士通、NECなど。
・ソフトウェア業
コンピューターやスマホに搭載されるソフトウェアやアプリケーションの開発を行うメーカーやオペレーションを担う。
代表的な企業は、マイクロソフト、オラクル、NECソフトウェア、富士通ビー・エス・シーなど。
・システム・インテグレータ
情報システムの企画や設計、運営・保守を行う業種、システム導入、運用、保守も含め、企画から導入後のサービスまでを総合的に行う。
代表的な企業は、NTTデータ、日立ビジネスソリューションズ、新日鉄ソリューションズなど。
・インターネット関連サービス業
インターネット通信を提供・管理する事業体とインターネットに関連するサービス業。
代表的な企業は、Yahoo!、楽天、サイバーエージェント、DeNAなど。
これらの業界は、それぞれに業態が異なり、業務も異なっています。企業によっては、いくつもの業態にまたがる企業もありますから、自分の志望する企業が、どの業態を行っているのかというのは、抑えておくようにしましょう。ハードウェアメーカー、ソフトウェアのメーカーは、「ものを作る」ことで、消費者だけでなく社会に貢献できます。保守や運用を行っているサービス業であれば、業務を通してお客様をサポートすることができます。システム・インテグレータは、公共性の高いサービスもあり、
総合的にお客様の業務を快適にする手助けをできます。
具体的に、業態別に志望動機にできるポイントを例文で見ながら考えてみましょう。
■メーカー(ハードウェア、ソフトウェア開発)
「私は、車の運転が好きです。父も車で遠出をするのが好きで、よく色々なところへ連れて行ってくれましたが、昔は初めて行く場所までの地図を事前に調べる必要がありました。しかし、私が車を運転し始めた頃には、スマートフォンがあり、マップの機能のおかげで、道を調べる必要がなくなりました。マップのおかげで活動範囲が広がり、今ではその日に行きたい時に行きたいところへ自由に行くことができます。このアプリも誰かが作ってくれたものです。それ以来、私も誰かの役に立つアプリを開発したいと思うようになりました。今後もスマートフォンなどの機器は利用者も増え、私たちの生活から切り離せないものとなっていくと思います。それに付随して、人の生活を快適にすることのできる色々なアプリやソフトがどんどん作られていく過程に自分も関わることができたらと思い、御社を志望いたしました。」
この例文のようにあなたも自分にとって便利だった、気に入っている、思い入れのあるアプリやソフト、機器というものがあるのではないでしょうか。それらも誰かが作ったものです。そういうもの作りに携わりたい、という気持ちを、自分の実際の経験やエピソードを交えながら、アピールしましょう。
■システム・インテグレータ
「ITは、今の社会生活に必要不可欠なものとなっています。サマータイムの切り替え時にシステムエラーが出て何週間も時間が正確に表示されなかったという外国のニュースを見たとき、システム運用が、日常生活と密接に結びついているのに気づきました。生活や経営の基盤となりうるシステムがに関わるということは非常に責任が重いことでもあり、正常に動作していくためには、そのシステムをつくりあげ、快適な情報の流れが続くよう運用しなければいけません。情報化社会が正常に運営していくよう社会の基盤となりうる業務に携わり、情報化社会の更なる発展に貢献したいと思いました。」
IT業界の花形ともいえるシステム・インテグレータ、情報処理サービス業は、公共・私企業を問わず、ほぼすべての業種業界と関わる業態です。社会貢献、お客様への貢献という点でもポイントの高い業界です。それぞれの企業ごとに、得意としている分野がありますから、志望する企業の活動分野はしっかり把握するようにしましょう。また、私たちは生活する際に、必ず何らかの情報システムの恩恵を受けながら生きていますので、自分なりの、システムのありがたみを感じることができたエピソード、経験というものを盛り込むようにしましょう。
■インターネット関連サービス業
「両親は時々、自分たちが若いころはインターネットなんてなかったと言いますが、私は、それが想像できません。インターネットがなかったら、メールも出せなければ好きな音楽をダウンロードもできず、旅行に行くときにどうやって調べたらよいのかもわかりません。私自身にとっても、なくてはならないものであるインターネット事業は、無限の可能性を持っていると思います。私は文系なので、技術的な面で不安を感じていたのですが、御社の充実した社内研修制度のことを先輩から伺い、勇気を得ました。私も、技術を身につけ、やりがいのある仕事のスペシャリストになりたいと思います。」
IT関連の企業は、社内研修制度が充実しているところも多いです。企業研究をする際には、研修制度や社風といった点も抑えるようにしましょう。自分がどういった仕事をしていくのか、ある程度のビジョンを持てるようになると具体的な志望動機に落とし込むことができます。
余談ですが、2013年公開の「The Internship」という映画をご覧になったことはありますか。中年のセールスマンがGoogleのインターンに採用され、若くて頭脳明晰であっという間にプログラムを組めてしまうような大学生たちと正規採用をかけて競うという映画です。主役の二人は、ITに関する知識は皆無のアナログ人間でしたが、セールスマンとして培った人間力を駆使して頑張ります。インターン採用の際のGoogleの採用チームとのやり取りからは、日本とアメリカとの違いはあるとはいえ、自分を売り込む方法、アピールする方法を学ぶことができます。
IT業界は、一見、個々の業務に思われがちですがプロジェクトを組んでチームで仕事をすることの多い業種です。そのため求められるのはコミュニケーション能力、人間力です。業界研究、企業研究をしながら、自分に一番向いている企業をみつけたら、自分がどのように貢献できるのかが伝わる志望動機をまとめましょう。