サッカーは世界中で大人気のスポーツですが、最近は、日本人選手も海外で活躍していて、外国人が「香川はすごいよね、良い選手だ」と言っているのを耳にすると、自分のことのように嬉しくなりますよね。子供たちのなりたい職業でも男の子にはサッカー選手は人気。選手になるのはかなり難しいですが、サッカーに関連する仕事にはどういったものがあるのでしょうか。また、サッカー業界はどのように成り立っているのでしょうか。
日本語ではサッカーと言いますが、英語ではFootballですよね。ラグビーも英語ではRugby footballで、フットボールです。かつて、サッカーやラグビーが日本に入ってきた時には、どちらも蹴球と呼ばれ、サッカーをア式蹴球、ラグビーをラ式蹴球と呼んで区別をつけていました。ワールドカップで大金星を挙げて大人気のラグビーですが、日本では元々サッカーと同じくらいの歴史があります。
とはいえ、最近の競技人口を見ると、ラグビーとサッカーの間にはかなり大きな差があるようです。国際ラグビー評議会によると、日本のラグビーの競技人口は、12万2,368人(4,659人が女子選手)。サッカーは、日本サッカー協会に登録している選手数が96万4,328人(26,978人が女子選手)となっています。10倍とまではいかないものの、やはりサッカーをしている人の方がはるかに多いです。ワールドカップの後、大人気になった五郎丸選手が殺到する取材を断らず丁寧に対応していたのも、このチャンスを活かしてラグビー人気が競技人口につながるのを願ってのことだったそうです。やはり、強くなるためにはすそ野を広げていく必要があります。
サッカー選手が子供たちのなりたい職業の上位にランクインするほど人気になったのは、やはりJリーグの存在が大きいのではないでしょうか。プロ選手になってJリーグのクラブチームでプレイしたい、活躍して本田選手や香川選手のように世界で活躍したいと子供たちが思えるのは、プロリーグであるJリーグがあるからです。ラグビーは、トップリーグも社会人ラグビーの全国リーグで、プロチームは日本にはまだありません。ワールドカップで活躍した五郎丸選手もサラリーマンとして働きながら会社のチームでラグビーをされていました。
Jリーグは、主催団体である公益財団法人日本サッカー協会(JFA)が主催するプロサッカーリーグです。2015年には52クラブが参加していて、J1、J2、J3の3リーグで構成されています。52クラブですが、37の都道府県に本拠地を置いているので、鹿島アントラーズと水戸ホーリーホックを抱える茨城県、浦和レッズと大宮アルディージャがある埼玉県のように複数のチームを抱える都県があります。神奈川県には、実に6チームがあります。
各クラブチームはどのように運営されているのでしょうか。仕事内容、収支状況から見てみましょう。
・クラブチームの仕事
クラブチームはチーム運営に関わる全ての仕事を行います。まずは、選手たちと契約し、マネジメントを行います。選手の育成や管理といった部分もあります。選手だけでなく、監督やバックスタッフとの契約、マネジメントも含まれます。ファンイベントやサッカー教室を開くといった活動、インターネットも含むメディアを通じた広報活動も行います。グッズの企画や販売も行っています。チームを資金面で支えてくれるスポンサーへの営業活動も必要です。
・クラブチームの収支状況
クラブチームの収益はどういった項目から成っているのでしょうか。Jクラブ個別情報開示資料の中に、損益総括があります。その項目を見てみましょう。
【収入項目】
広告料収入:J1チームの収入で最も大きいのがこの広告料です。スタジアムのサイネージや看板、選手のユニフォームに企業名や商品名を入れる対価として支払われます。広告料を負担する企業がスポンサーです。
入場料収入:ホームスタジアムへの入場料です。熱狂的なサポーターが多いチームは、やはり入場料収入が多くなっています。
Jリーグ配分金:Jリーグが一括管理しているテレビ放映権、Jリーググッズの売り上げ、Jリーグのオフィシャルスポンサー料といった収入を各クラブに配分したものです。
アカデミー関連収入:クラブチームに付属するアカデミー、スクールからの収入です。
【支出項目】
チーム人件費:選手の年俸を含む人件費すべてです。どのチームでも、最大の支出項目になっています。
試合関連経費:スタジアム使用料、運営設営費用、警備費といったものです。
アカデミー運営経費:クラブチームに付属するアカデミーやスクールの運営経費です。
販売費および一般管理費:グッズやチケットの販売、クラブの運営のために関わる諸費用です。
収入が支出を上回っていれば黒字、下回ってしまうと赤字になるのですが、プロスポーツなので、一概に支出を削って節約と言えないのが悩ましいですね。最大の支出である人件費を削って、チームが弱くなってしまうと、広告収入にも入場料収入にも響いてしまいます。チームを良い状態に保つために、トレーナーや医療チームのサポートも削るわけにはいかないでしょう。試合をするホームスタジアムの整備も常に行う必要があります。クラブチームを運営していくためには、いろいろな業種が関係してくることがわかります。
・クラブチームを支えるのは?
クラブチームには、まず出資者がいます。運営会社であるクラブチームに資金を出している個人や団体です。鹿島アントラーズは「住友金属」、名古屋グランパスエイトは「トヨタ自動車」のようにチームによって、母体となる出資企業があるチームもあれば、市民チームとして地元企業が主に出資しているチームもあります。後者の例には、清水エスパルスや湘南ベルマーレのようなチームが挙げられます。メインの出資者が経営危機に陥り、変わるといったこともあります。
スポンサーは、出資者と違ってチーム運営に関する発言権を持ちません。収支のところで出ましたが、基本的には、スタジアムやユニフォームに企業名や商品名を広告として出し、その広告への対価を支払うことでスポンサーになります。ユニフォームに複数の企業名が入っているのは、そういう事情があります。例えば、サンフレッチェ広島の場合、2015年のユニフォームには前面にエディオン、背中に出資者でもあるマツダ、左袖にイズミ、パンツにはマツダ、と3社の名前が入っています。トレーニングウェアには中国電力、広島銀行、西川ゴム工業の名があります。看板広告スポンサーはフィールドに大学を含む39社、手摺に37社となっています。その他のスポンサーも66社あります。費用を考えると、スポンサーを獲得するのは大事なことです。
サポーターは、クラブチームの収入で広告収入に次ぐ入場料収入を支えています。もちろん、切符を買うだけではなく、試合では応援をして精神的な支えにもなっています。グッズの売り上げを支えているのもサポーターです。人によっては、ポスターを貼ったり、ブログを作ったり、サポートしているチームの人気を高めるために、広報活動を行っていたりもします。
アカデミー、スクールに通う人たちも忘れてはなりません。アカデミー・スクールは、まずは選手育成の場です。将来のチームの動向を考えると人材という点からも、チームの土台と言えるかもしれません。また、サポーター育成、サポーターのすそ野を広げるという点でも、アカデミー・スクールは重要な位置を占めています。
参照元サイト
https://www.jfa.jp/about_jfa/organization/databox/player.html
https://www.jleague.jp/aboutj/management/club-h25kaiji.html