グローバル化が進み、昨今はますます国内外の企業間競争が激しくなりつつあります。そんな中、いったい「良い会社」とはどのような企業を示すのでしょうか。就活生であれば、誰でも「良い会社に入社したい」と願うはずです。しかし、世の中に数多くある企業の中から、それを見極めるのは非常に難しいことでしょう。ここでは、そんな「良い会社」を見分けるためのアプローチを3つご紹介します。企業に求めるものはひとによって異なりますが、1つの参考としてご覧ください。
一般的に企業の良し悪しを評価するときには、まず「収益性」の状況が見られます。この収益性とは、企業の稼ぐ力を計るものです。これは単純に「利益がいくらあるか」ということではなく、「いかに効率的に利益を出しているか」ということを表しています。
例えば製造業の企業ならば、まず集めた資本で原材料を仕入れて、それをもとに製品を製造します。そしてそれを販売することで、利益を生み出すという流れです。この場合、効率的に利益をあげるためには「資本を効率よく運用しているのか(資本収益率)」「取引先とは効率的に取引(取引収益率)が行えているのか」が重要となるでしょう。つまり、技術がいくらあって良い製品を製造しても、そのための支出が多く資本だけで足りずに借入金が増えれば、結果として利益があがらず赤字を出していってしまうのです。そして赤字が続けば、当然ながら経営そのものが上手くいかなくなる恐れがあります。
着実に利益を出すことは、会社にとって必要不可欠です。このことは、良い会社であるか否かを判断する最低限の判断基準と言えるでしょう。そして、企業経営の実態や数字を把握できるのが、決算報告書です。アニュアルレポート(年次事業報告書)を見れば、決算報告から資本収益率、取引収益率などを読み解くことができます。
成長性とは、会社の業績がどのくらい伸びているかを示します。しかし業績が伸びている企業が、今後もその勢いで成長できるかどうかは誰にも分かりません。しかし、これまでどのように成長してきたのかを把握すれば、今後を推し量るうえでの判断材料となるでしょう。
成長を表す数字を見るには、過去の何年間かの売上や、利益の伸び率を見る方法がシンプルです。企業の今後を数字から読み解く場合、株式を上場している会社であれば会社四季報を参考にすると良いでしょう。上場していない会社であれば、ホームページに公開されている企業の財務データや会社案内など確認してみてください。
就活を進めていれば、会社訪問などで企業の中を見る機会があるでしょう。あるいはOB・OG訪問を通じ、実際に働いている方の目線から情報を聞き出すこともできます。そうした場で出会う社員に対し、その雰囲気に好感を抱けるかどうか。いわゆる会社の社風は、社員の態度や行動、そして表情などから伺うことができます。
例えば疲れきっていたり、面倒くさそうな態度だったり、あるいは横柄な物言いが見られるようであれば、いくら業績がよくても居心地が悪いかもしれません。また、面接時などに「何か質問はありますか?」と聞かれたら、待遇や仕事内容などだけでなく、経営理念がどのように浸透しているかなど、企業経営の根幹に触れる質問をしてみましょう。もし即答されないようであれば、企業理念や経営戦略が企業内に浸透し切れていない可能性があります。つまり目指すべき方向が揃っておらず、入社してから違和感を感じるかもしれないということです。
OB・OG訪問が実現した場合には、相手にとって仕事のモチベーションが何なのか、どのような点にやりがいを感じているかなどと聞いてみましょう。その根拠まで明確に回答を得られるか否かで、企業の実態が見え隠れしてくるはずです。
経営も安定し、成長性も望める。しかしだからといって、それだけが良い会社の条件ではありません。もっとも大事なことは、自分が「働きたい」と心から思えるかどうかでしょう。例えば会社説明会で仕事内容や事業内容を聞いた際、自分が働いている姿を具体的にイメージできるかどうか。あるいは「この企業で働くのだ」という強い思いが湧き上がってくるかは、とても大切な判断基準です。
また、研修制度がしっかりとしていることも重要でしょう。社会人としての経験を持たない学生だからこそ、入社後にしっかり育てようと努力している環境は良い会社といえます。ただしここで気をつけたいのが、その中身です。マナー研修やOJT研修などは、ほとんどの企業で実施されています。そういった種類の研修だけでなく、業務に即した研修が行われていたり、あるいは研修に独自性があり内製化されている場合は、人材育成に力を入れている企業です。
自分と企業との価値観が合い、いきいきと働くことのできる環境。これこそが、「良い会社」を見分けるうえでもっとも大切です。先にあげた3つのアプローチを基本に置きながら、自分自身に合った企業を見極めてみてください。