インターンシップとは――
就職前に企業で実際に就業体験を行うこと。
学生時代に、しかも就職を具体的に考える前段階から仕事に触れられるため、貴重な体験となる画期的なプログラム。社会人が、どのような場所でどんな風に働いているのかを知ることができます。
このインターンシップが、近年学生からも企業からも注目されています。なぜ、インターンシップ経験が就職活動において重要視されているのでしょうか。
インターンシップが日本で導入されたのは1997年のこと。国が欧米で先行していたキャリア教育をモデルにして、制度の普及へと乗り出しました。この頃の日本はバブル崩壊、グローバル化、そしてIT化などで大きく変化していた時期です。そんなビジネスの環境の変化に合う人材を育成するため、インターンシップが導入されたことが分かるでしょう。学校と企業が連携したことで、インターンシップを単位認定する大学も出てきました。こうして、少しずつ日本でもインターンシップが広がっていくことになります。
企業側でも、新卒入社した人の3割が3年程度で辞めてしまうという、ミスマッチが懸念されていました。採用前の段階から実際に学生を見られることは企業にとってメリットも多く、インターンシップが注目され始めます。学生の間でも、リアルな仕事の世界を知ることのできる良い制度として受け入れられました。
学生時代に実際の仕事現場を見て、働くということをリアルに感じられることは、それだけでも大きな収穫です。インターンシップは、学生自身が働いている姿をイメージし、将来の自分のキャリアに役立てることを目的としている制度と言えるでしょう。
2016卒の学生から就活スケジュールが大幅に変更。情報解禁が3月、選考解禁が8月へと後ろ倒しに。
さらに2017卒の学生は、選考解禁が6月に変更されると……もう何がなんだかわからなくなってきそうですが、そもそもなぜこのようにスケジュールが改訂されたのか。
それは政府から経済界に対して
■学生を学業に専念させるため
■海外で学ぶ留学生が就職活動をする機会を増やすため
などを理由に、就職・採用活動開始時期の変更要請があったからです。これに応じたことで、2016卒から広報活動解禁と選考活動開始が変更になったわけです。
しかし後ろ倒しの結果、「かえって就活時期が延びた」「教育実習や国家公務員試験と重なる」「研究スケジュールにしわ寄せが来た」など大変になったという意見が続出。わずか1年での見直しとなりました。
ただし解禁・開始が変更になったからと言って、内定時期が変わるわけではありません。解禁・開始が後ろ倒しになったということは、以前よりも全体の就活期間が短縮された形となります。
短期勝負が強いられる形となった就職活動。しかし企業側も、早い段階から良い人材を確保したいと考えています。そのため、広報や選考活動を早めに開始する企業も出てくると見られているのです。
就活生にとってまず重要なことは、信頼性の高い情報を集めることでしょう。自分の志望する業界、あるいは企業がどのような動きをしているのかは、しっかりキャッチしておきたいもの。そのために注目されているのが、インターンシップです。
就活スケジュールが後ろ倒しになったと言っても、中にはこれまで通りのスケジュールで活動を行う企業があるかもしれません。しかし学生にとって、企業により開始時期が異なることは、就活を困難なものとする一因になるでしょう。そこでインターンシップに参加し、早めに企業との繋がりを作っておくことが重要視されています。
企業側もまた、できるだけ早い段階から良い学生に出会い、確保しようという思惑があります。そのための手段として、インターンシップを行う企業が増えているのです。就活サイトでもインターン募集を掲載する企業が増加。中には初めてインターンシップに取り組む企業だけでなく、近年インターンシップを休止していた企業の最下位も見られます。
これだけ企業側も注目しているインターンシップは、就活生としてできるだけ参加した方が良いことが想像できるでしょう。就活スケジュールに合わせてゆっくりしていると、いつの間にか周囲に後れを取ってしまうかもしれません。
「早めに良い人材を確保したい」という企業側の考えと、「できるだけ早く内定をもらいたい」という就活生側の思いは同じです。そのため、本来ならば就業体験という目的を持つインターンシップが、採用活動の場となっています。
特に有名大学の研究開発を専攻している学生などは、メーカーなどで取り合いになるケースが少なくありません。インターンシップで内々定が出されることもあるとさえ言われるほどです。有望な学生には、夏のインターンシップに参加したときに、秋冬のインターンシップへ参加を促されることもあります。
インターンシップはこれまで、学生の夏休みに合わせて8月や9月に行われることがほとんどでした。しかし最近では、秋や冬に実施する企業が増えています。このことからは、インターンシップであれば解禁前でも学生と会えるという企業の考えが伺えるでしょう。そのため、「就活はインターンシップから始まる」と考え、夏以降に複数企業のインターンシップへ参加する学生が増えています。