(※この記事は2015年5月25日に、2016年卒学生対象メディアの就活NEWSにて公開されたものです。)
こんにちは、勝間和代です。今日から3回ほど、こちらの就活コラムに連載をさせていただきます。
初回はとにかく、とにかく、
「自分が幸せになれる就職先探し」
について、辛口の意見をまとめさせてください。
まず、特に学生時代はどうしても、
・労働条件がいいか
・大手かどうか
・ほかの人に人気があるか
など、無意識のうちに、形式要件で就職先を探してしまいます。これは当たり前でして、それしか評価基準がまだ、自分の中で確立されていないからです。
まさしく、受験する学校を選ぶときに、偏差値とか、進学成績とか、就職実績とかで決める感じですね。
でも、でも、これ、断言します。
「このやり方、まずいです」
なぜなら、こういう探し方をすると、いわゆる
「レッドオーシャン」
といわれるような、みんなに人気があるところは過当競争になります。それこそ、30人の募集に2000人の応募、とかになるわけです。で、この探し方の最大の問題点を教えましょう。
それは、
「そういった会社はすでにピークが過ぎている」
ということです。いますでに人気があって、できあがったところにいったって、まぁ、よほど運がよくない限り、新卒なんか活躍できません。また、さらにそういった会社はもう、その後、環境変化に応じてだんだんと業績が下がっていく可能性があります。
いま人気がある会社、環境適応できている会社というのは、下手すると
「現状の経済に過剰適応」
している可能性があるからです。
では、どういうところを探すのか
・これから伸びるところ
・向こうがこちらを戦力と見なしており、一緒に伸びることを願っているところ
です。
例えば、20年前の外資系金融業界です。いまはもう、超人気ですが、私が就職する20数年前は、ほんとうに学生に不人気で「滑り止め」扱いだったんですよ。信じられますか?
不人気だった理由
・人事査定が厳しい
・景気変動に応じて解雇のリスクがある
でした。でも、それから数十年、日本企業に勤めていてもリストラに遭いそうになるし、また、逆に人事査定が厳しいくらいでないと、ろくに働かない中高年管理職を若手が薄給で食べさせている状況になって、働きの割に給料が安くてしかたないわけです。
そして、自分が幸せになるためには
「自分が自然に強みとしてもっている能力がうまくマッチする職場」
を探すことにつきます。これがマッチしないと、ほんとうに不運です。だって、努力しても、しても、成果が出ないのですから。
そういう意味では、職場のローテーションが頻繁にある会社も、実はリスクが大きいのです。専門性が育たない上に、自分が向いていない職場に数年単位で振り向けられる可能性があるからです。
私は、監査法人で、正直言って、細かい伝票の処理とかが苦手でずぼらなので、通常の会計監査はあまり向いていなかったのですが、なぜか
・人より早く計算を理解すること
・さまざまな内容をことばに表すこと
だけは、同世代の会計士より微妙に得意でした。外資系は当時人気がなかったので私のような結婚して子どもがいる、という人でも喜んで雇ってくれましたし、さらにその中で
・NYのチームと金融商品の監査手法について、細かい計算の話を英語でしながら、それを日本語に直してくれる人
というのを会社の中でたまたま探していて、私なんか当時、金融の「き」の字もわからなかったのに、ほんとうにたまたまそれがきっかけで、24歳の時にはじめて金融という仕事に触れてから、気づいたらいまに至っているわけです。
そして、こういう
「エマージングな職場」
というのは、実は、5年とか10年とか時代のニーズを先取りしていて、たまたまそこでスキルを得ると、5年ごとか10年後とかに市場の方が後からついてきてくれるわけです。
そう、職場探しでだいじなのは
・これから伸びる人たちが
・こちらのすでに持っている得意な能力を買ってくれるところ
という接点をみつけることであって、私が「子どもサッカー」と呼ぶような、小学生のサッカーチームがやるような、フォーメーションもなにもなしで、ひたすらサッカーボールにみんなが突進するようなゲームをしてはいけないのです。
勝間 和代(かつま かずよ)
1968年東京生まれ。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。
早稲田大学ファイナンスMBA、慶応大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。
現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。
ウォール・ストリート・ジャーナル「世界の最も注目すべき女性50人」選出
エイボン女性大賞(史上最年少)
第一回ベストマザー賞(経済部門)
世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leaders
少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上、など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。Twitterのフォロワー61万人、FBページ購読者4万6000人、無料メルマガ4万7000部、有料メルマガ4000部などネット上で多くの支持者を獲得した。5年後になりたい自分になるための教育プログラムを勝間塾にて展開中。
著作多数、著作累計発行部数は500万部を超える。