(※このコラムは、2015年3月9日に2016年卒学生対象メディアの就活NEWSにて公開されたものです。)
マスコミ業界の倍率は、様々な業界の中でもトップクラス。テレビ、雑誌、広告など、華やかさに憧れて志望する人も少なくないでしょう。しかし、名の知れた大手企業は狭き門となっており、優秀な学生たちが毎年しのぎを削っています。そんな志望者たちが、どのような就職活動をしていたのでしょうか? 今回は4名の先輩たち(2016年卒)に、2015年3月就活解禁直後のタイミングで話を聞きました。
参加していただいたのは、
Aさん:日本女子大学3年(女性)
Bさん:立教大学3年(女性)
Cさん:慶應義塾大学3年(男性)
Dさん:早稲田大学4年(男性)
です。
―マスコミ関係の選考は、今どのような状況ですか?
A:就職活動のスケジュールが後ろ倒しになりましたが、それに関係なく開始しています(笑)。
B:キー局の選考は、すでに始まっています。実際にもう面接も受けました。今日、エントリーシートが締切の企業もあります。2月、3月にインターンを行う企業への参加が決まったのですが、選考が順調に進むと、どう考えても予定が重なってしまいます。正直、かなり戸惑っています……。
C:スケジュールに関しては、人事の方も手探り状態で決めているのではと感じます。それが影響してなのか、今年はインターンに力を入れている企業が多いという噂も聞きました。
「インターンは選考に関係ない」と、採用担当の方はいつも言いますが、インターン中にメモをとっている様子をみると、そうとは思えません。そう考えると、インターンの募集が始まった去年の6月から内定が解禁される今年の8月まで、実質1年と2ヵ月も就職活動が続くことになります。短期化するためのスケジュール変更のはずなのに、むしろ長期化されているとさえ感じますね。
D:おそらく就活生のほとんどは、「後ろ倒しとは、一体何だったんだ?」と思っていますよ(笑)。
―インターンや選考の情報はどこから入手しているのですか?
C:友達か、「みん就(みんなの就職活動日記)」ですね。あくまで「みん就」は、補助的な情報源として使っていますが、インターンに行った人の意見なども見ることができるので、チェックはしています。
B:企業が行う学内説明会で、まだホームページなどでは公開されていない今後の予定を人事の人が教えてくれることがあるので、参加するようにしています。
A:去年の夏頃からインターンが各企業で始まったので、そのときにとりあえず気になる企業にはプレエントリーしておきました。そうすれば、何かイベントがあるときには自動的にメールが来るので。
―解禁は3月からとされていますが、早く選考を始めている企業はそのことに関して何か説明はしていますか?
B:特にこれといった説明はないところが多いです。人事の方もペースを掴むのに必死なのか、急にエントリーが始まることもあります。
D:業界トップの企業が始めると、他の企業も足並みを揃えるように開始するイメージです。企業側も迷っているのではと感じます。
―インターンには何社参加しましたか?
C:僕は1日だけのものも含めて、10社程度参加しました。行った企業は広告関係や、コンサル関係などの企業です。
D:長期のものは2社です。IT関連企業と広告関連企業に参加しました。インターンの内容は結構きつくて…。最終日のプレゼンに向けて徹夜しました(笑)。
B:とりあえず周りの人が参加しているから焦って、まずは誰でも行けるものに参加しました。そこから自分が興味のあるものを探して、テレビ局や芸能関連企業に行って、2月末にもテレビ局のインターンに参加予定です。
A:私はマスコミではないのですが、2週間のものと、5日間のものに参加しました。他には、テレビ局のアナウンサースクールの1日コースに参加しました。
C:周りがインターンを始めると、とにかく焦って「自分も何かやらなくては!」と思ってしまいます。少し前までは、「インターンは意識の高い人がやるもの」というイメージでしたが、今ではもう当たり前になってきていると思います。
B:エントリー時に、参加したインターン企業を記入する欄がありますし、ニュースを見ても多くの企業がインターンに力を入れている気がします。
―今はどんな就職活動をしていますか?
C:OB訪問と企業分析です。と言いつつも、もうエントリーや面接が始まっているところもあるので、企業ごとの選考速度のギャップに困惑しています。
D:僕もOB訪問をしています。あとは、3月の解禁に向けて、説明会やインターンのスケジュールを立てています。スケジュールを見ると、すでに結構タイトなので、ここに選考が重なると思うと焦りますね…。
B:私はマスコミが第一志望なのですが、いま他の業界について何もわからないので、多くの企業が集まる合同説明会に行くようにしています。おそらく、解禁すると面接が多くなってしまい、自己分析や業界研究をする時間がなくなってしまうので、今のうちにやっておかないと時間がなくなると予想しています。
A:企業研究をしていますが、解禁を守らず、選考を始めている企業もあるので、正直何をすべきなのかわかりません。いま何をしていればいいのでしょうか?(笑)
C:僕の友人で外資系企業やベンチャー企業を志望している人は、もう内定が出て、就職活動が終わった人もいます。企業ごとに差がありすぎて、通常ならば、自己分析・業界研究をしてからエントリーシート・面接という流れになると思うのですが、急に選考を開始するところも多く、リズムが崩されっぱなしです。
―ベンチャー企業に興味はありますか?
C:僕は大手企業を志望しているので、受けるつもりはないです。しかし、周りでは面接の練習も兼ねて受けている人もいるので、これからエントリーをしようか考え中です。
A:私は受けたいと思っています。実際に受けることでWebサイトではわからないその企業のことや、業界のことを知ることができるので。社会人と触れ合う機会を増やして、現場を体感することは必要だと思います。
D:ベンチャーは全く見ていないですね…。業界を知るために受けるというのもいいかもしれませんが、僕は面接ではなく、OB訪問という手段で業界研究をしていました。しかし言われてみれば、面接の練習も必要かもしれないと、いま意見を聞いて思いました。
―マスコミ業界のみを受けるつもりですか?
C:志望度は高いですが、やはり狭き門なので…。そういうことも踏まえて、インターンでは他の業界にも意識して参加してみるようにしました。それでも最終的にマスコミがいいと思ったのですが、一応他も受けるつもりです。
D:もちろんテレビ局や広告が第一志望ですが、OBの方などに「様々な企業を見ておくべき」とアドバイスされることが多いため、幅広く興味を持ってみようと思っています。社会人になってからも、その経験は活きてくるのではないでしょうか。
B:マスコミ一本には絞っていません。私は以前から制作に興味があり、テレビ局の制作部のインターンに参加したのですが、あまりの苛酷さに「これは仕事にできない」と。良くも悪くも現実を見ることができました。しかし、テレビに関わりたいという想いはまだあって、コンテンツビジネスなどの仕事がしたいと思っています。でもそうなると、テレビ局ではない他の会社でもそれはできることのような気もしていて…。まだ自分が何をやりたいのか、固まっていないのかもしれません。
A:マスコミのみというこだわりはないのですが、まだ志望動機も整理できていないのに、選考が始まってしまい焦っています。他の業界も見ていますが、企業研究までは手がまわっていません。
―なぜマスコミを志望しているのですか?面接で言うようなことではなく、ぶっちゃけたところを教えてください。
A:私は正直、ブランドで選んでいる部分もあります(笑)。カッコイイというか、憧れがあります。
C:昔から知っている企業で働きたいという興味はあります。あと、給料の額もやっぱり見てしまいます(笑)。
D:僕は単純に、マスコミで働いている人ってすごく楽しそうにみえるという部分が大きいです。
C:今の就活生は「楽しそう」とか、雰囲気で選んでいる人も多いですよね。自分に合いそうかどうかを、企業選びにおいて結構重要視していると思います。説明会でも内容より、社風や、その場の雰囲気を見ています。
B:確かにそうですね。説明会などで社員さんが本当に楽しそうにしている様子を見ると、「行きたい!」と思います。
C:よく「面接官は自分と働きたいかどうかで就活生を見ている」と言いますが、逆もあります。入れるかどうかは別として、インターンやOB訪問を通して、学生側も「ここで働きたいか」と考えるようになったと感じます。
―今後、マスコミはどうなると思いますか?
D:「テレビ離れ」と言われていますが、大丈夫だろうと思っています。今後インターネットと手を組んでうまくやっていくのではと。その他の雑誌、ラジオ、新聞などはどうなるかはわかりませんが……
C:雑誌や新聞関係の企業は受けません。若い世代はもう新聞より、ネットでニュースを見てしまうので、新聞にお金を払う感覚すらない人もいます。テレビは流行を知るきっかけとして生き残り、もっと知りたいことはネットで調べる、という関係がより確立されていくと思います。
B:テレビは「視聴率が下がった」などなんだかんだ言われつつも、多くの人に見られていますが、出版業界は厳しいのかなと、なんとなく感じます。
A:ニュースはネットで見るほうが見やすいので、今さら新聞を読もうとする人は少ないと思います。テレビは家にいるとき、無意識につけているので、日常からなくなることはないと思います。周りにいるマスコミ志望の学生を見ても、新聞、出版を志望している人はほとんどいません。
D:広告は時代に合わせて変化できるものだと思います。どの時代でも「知らせたい」と思う人は必ずいるので、なくなることはないでしょう。しかし、大手企業のみに絞られていくのではと感じています。
―企業側に何か言いたいことはありますか?
B:一番はスケジュールについてです。最終面接までのスケジュールを発表してくれないと、他の予定とかぶってしまいます。特に今年は例年と違うので、余計わからなくなっています…。
A:企業も同じような質問をしてばかりいないで、もっと面白い質問をしてきてほしいです。ありきたりな「志望動機は?」とかよりも、工夫をしている面接のほうがその企業に魅力を感じます。
C:企業が就活生をテンプレート化しているのはおかしいと思います。学生の自由がなくなっていて、その人の本来の姿を見ることができないと思います。それに気が付き始めたのか、最近は座談会形式も多くなっているので、お互いにメリットがある採用方法を取り入れる企業が今後も増えてくれればいいなと思います。
これから始まる、いや、すでに始まっている数少ない内定という椅子をかけた戦いは、3月の解禁後、ますます激化することが予想されます。もしかしたら今の準備段階の良し悪しで、解禁後の差が出てくるのかもしれません。気が付いたらエントリーが締め切られていたなんてことのないように、常にアンテナを張っておきましょう!