あらゆる産業において、その広告・宣伝や広報活動を支える印刷業界。近年は本やチラシを印刷するだけではなく、デジタルコンテンツ制作など新規事業にも力を入れています。各企業が技術力と提案力によって他社との差別化をはかる中、就活生からも人気を集める企業が増えてきています。そんな印刷業界では、どのような志望動機が響くのでしょうか。
印刷業界の仕事は、大きく分けて次の2つがあります。志望動機を考えるうえでは、まず業界全体について深い理解を持ちましょう。
・書籍や雑誌を印刷する「出版印刷」
・チラシやポスターを印刷する「商業印刷」
近年は “本離れ”の傾向が強く、紙の本の売れ行きが業界全体で不調です。そのため、紙のみならず電子書籍システムの運営などを手掛ける印刷会社も増えています。また、小売業の新しいサービスとして電子チラシがユーザーへ浸透。この電子チラシの制作も、印刷会社の仕事です。
このように印刷業界の仕事は、ただモノを印刷するだけではありません。多様化する時代のニーズにより、マーケティングからデザイン・企画、イベント運営など、総合的なビジネスを展開している点が特徴といえるでしょう。
それでは業界の勢力図は、どのようになっているでしょうか。印刷業界のシェアは、大手2社が半分以上を占めています。そのうえで、他の数十社がそれぞれの強みを生かしながらしのぎを削っている状況です。例えばタッチパネルの製造技術、証券などの偽造防止印刷技術、高品質な美術印刷技術など。多くの企業が、自社の持つ高い技術力をもとに営業活動を行っています。
企業規模によって異なりますが、印刷会社における主な職種は「技術系」と「事務系」に分かれます。技術系は製品開発やシステム構築、ウェブデザインなど、専門的な技術を必要とする仕事です。ただし中には、学部や専攻を問わずに求人が出されるケースもあります。
これに対して事務系は、営業や生産管理、企画などといった職種です。さらに営業は、既存顧客への販売・サービスや新規顧客の獲得、営業事務など、その仕事内容が多岐にわたります。
時代のニーズを先読みし、顧客へ新しい企画を提案。さらに各担当者と協力しながら企画を実現しつつ、同時に既存顧客をフォローするのが印刷会社の仕事です。ではいったい、どのような人物が求められているのでしょうか。
まず必要なのが、市場の新しい需要を捉える積極性。そして、それを企画化するアイデア力が求められます。さらにそのアイデアを形にするためには、さまざまな条件をクリアし実現させられる計画性と実行力も大切です。実現にあたっては、周囲の人々と協力する協調性も生かされるでしょう。たとえ上手くいかなくても、その経験を次へと繋げていける粘り強さも必要です。
志望動機を作る際には、まず自分の経験を振り返り、採用担当者にアピールできる長所を発見することがポイントとなります。学業だけでなく、アルバイトやサークル活動での経験も役立つでしょう。その中から、例えば「チームをまとめて問題を解決した」など、先に挙げた人物像に合致する経験をピックアップします。
志望動機を作る際には、以下の流れに沿って書くと分かりやすくまとまった内容が構成できます。
1.企業に興味を持ったきっかけ
2.自分のどんな能力や目標を生かしたいのか
3.どのように企業に貢献したいか
以下に挙げる文例を参考に、志望動機を作り上げてください。
「私は大学2年次にサークルのパンフレット制作を任され、印刷会社の方と一から企画して作り上げました。その際、物を作ることにやりがいを感じたのが、印刷業界を志望したきっかけです。特に貴社には業界トップクラスの技術力があり、幅広い業種にお客様がいらっしゃいます。そのため、新しいことにチャレンジできる機会も多いと考え、志望いたしました。得意の語学力と専攻の工学を生かし、貴社に貢献して参ります。」
「大学でメディア論を専攻しており、メディアを通して人と人をつなぐ仕事をしたいと考えて印刷業界を志望しました。特に貴社は印刷だけでなく、デジタル媒体など新技術の開発を積極的にされており、幅広い仕事ができると感じております。また、大学とは別にデザインの勉強もしておりますので、貴社でデザイン・企画から製本・加工まで、責任をもって携われる人材になりたいと考えています。」
「私はもともと、生活に身近なモノづくりに携われる仕事をしたいと思っていました。そんな中、貴社で働かれている先輩を訪問した際、大きなやりがいを持って仕事に取り組まれている姿を知り、貴社に興味を持ちました。大学で所属しているクラブ活動では、イベント企画の仕事を任されています。その経験から、常に新しいニーズを見つけて挑戦することが得意です。顧客の製品・企業の顔となる印刷物を作ることで貴社に貢献したいと思い、志望いたします。」
説得力ある志望動機を作るためには、企業の特徴をよく知ること、そして自分の長所を把握することが大切です。過去の経験を改めて振り返ることで、まずは自分の魅力を再確認しましょう。自分に書けないオリジナルの志望動機は、採用担当者へのアピール力も高まるはずです。