鉛筆や消しゴムなどは、子どもの頃から慣れ親しんできたものですよね。文具や事務機器は、大人になってからも日常生活や仕事で欠かせないアイテムです。そのように身近な商品だからこそ、例えばヒット商品に魅力を感じて就職を希望する人も多くいます。しかし就職活動で重要なのは、商品のファンであるかどうかではなく、その企業でどのように貢献できるかという点です。ここでは文具・事務機器メーカーの志望動機を作るために、そのヒントと具体的な文例をご紹介していきます。
(※こちらの記事は、2015年10月27日に公開したものを更新しています。)
そもそも、文具・事務機器メーカーとはどのような業界なのでしょうか。身近であるからこそ、逆に深く理解できていない人もいるようです。
日本は世界有数の文具消費国であり、中でもスマホなどと連動したデジタル文具をはじめ、高付加価値商品の売上が好調。不況下で会社の支給品やノベルティ商品が減少した一方、個人で購入する個性的な文具の需要が高まっています。そのため、市場全体の規模は縮小しているものの、まだまだ成長の可能性を秘めた業界といえるでしょう。
少子高齢化で減少しつつある国内需要を開拓するのか、それとも海外に活路を求めるのか。同じ業界でも企業の戦略はさまざまです。また、各企業の持つ特徴や強みも異なります。例えばオフィス家具に強みのある企業や学校備品を得意分野とする企業、ヨーロッパで売上を伸ばしている企業、あるいはアジアに進出しつつある企業など。企業のホームページや業界紙などを利用して、その企業にしかない強みを見つけて志望動機につなげましょう。
企業の特徴を把握できたら、自分のどういった得意分野を活かせるのかをピックアップします。これは文具・事務機器業界に限らず、あらゆる業界の志望動機づくりに応用できる作業です。
学校で学んだ語学や設計・デザイン等のスキルはもちろん、文具・事務機器メーカーでは常に新しい商品アイデアを求められています。そのため、新しいことにチャレンジした実績も評価されるでしょう。オフィスなどの設計全体を提案する仕事ならば、対人でのコミュニケーション能力も重視されます。
採用選考では、数多くの就活生から寄せられる志望動機を、短時間で読み判断しています。そのため、志望動機は内容を充実させるだけでなく、読みやすい文章にまとめることが大切です。特に以下4項目を意識することで、相手に志望動機の内容が伝わりやすくなるでしょう。
・志望するきっかけ
・働くうえで何が大切だと考えているのか
・企業のどんな特徴が自分の方向性や能力と一致しているのか
・自分が働くことで社会に何を貢献できるのか
尚、「きっかけ」を述べる際は、具体的なエピソードを盛り込むことがポイントです。商品を使った経験はもちろん、アルバイトなどで販売員として商品に触れたことがあるかもしれません。身近な商品だからこそ、できるだけ企業の商品に触れてみることをおすすめします。
以上のことを踏まえて、実際に志望動機を書いてみましょう。具体例をいくつか挙げておきますので、自分の経験や思いと照らし合わせながら参考にしてみてください。
「私が貴社を志望したきっかけは、ボランティアで小学生に勉強を教えていた際に、子どもたちがお気に入りの文具を使うと楽しく勉強できると話していたのを聞いたことです。また、インドへの研修旅行では子どもたちが少ない筆記用具を使いながら必死に勉強しているのを知り、日本の優れた文具を世界に届けたいと思うようになりました。貴社ではアジア諸国に積極的に進出されており、私もそこで得意の語学を生かして貢献したいと希望しております。世界のあらゆるユーザーに喜んでもらえる製品を届けるという目標をもって貴社で働きたいと考え、志望いたします。」
「私は介護施設でボランティアをした経験があり、そこでリハビリのために貴社の製品が使われているのを知ったのが、貴社を志望するきっかけです。貴社ではユニバーサルデザインの製品を数多く作っていらっしゃり、賞も数多く受賞されています。今後の高齢社会のなかで、誰にとっても使いやすい文具を届ける仕事に就きたいと思い、貴社を志望いたします。大学ではデザインを学び、コンテストにも多数出品いたしました。常に新しいアイデアを考えるのが好きなので、将来は貴社での商品開発を担える人材になりたいと思います。」
「貴社のオフィス家具について書かれた業界紙記事を読んだことが、志望したきっかけです。その記事ではオフィス全体の家具や配置を、発注者と一緒に作る過程が紹介されていました。貴社で勤務されている大学の先輩を訪問したところ、自社製品を自信をもって勧められるのでやりがいがあり、客先からの信頼も厚いというお話を伺いました。私はクラブ活動で渉外係をしており、学生と大学の間に立ってそれぞれの要望を聞き、折衝する仕事を担っております。この経験を生かして、ユーザーのさまざまな要望に応えて信頼を獲得できる営業になりたいと考え、貴社を志望いたします。」
ボランティア活動や研修旅行、先輩訪問、クラブ活動などは、学生にとって具体的なエピソードを見つけやすい内容でしょう。ただし、もちろんこれだけに限りません。志望動機を作るうえでは、自分の得意分野を改めて考え、整理することがとても重要です。業界や企業について深く理解し、そのうえで自分自身の経験を振り返ることで、採用担当者の心に響く志望動機を作ってください。