就活生の間でも、「あの会社はブラックだから……」「あそこってブラックなんじゃないの!?」などというように、「ブラック」という言葉が話にのぼることがあるのではないでしょうか。
でも、社会人のなかには、「“ブラック”という言葉が軽く使われすぎている」ことを憂える人もいます。ある採用担当者(男性/その他/28歳)は、「残業や休日出勤が少しでもあるとブラックとか、残業代がきっちり出ないとブラックとか、とにかくお金や休みの有無だけを気にする就活生が増えた」と実感。
最近では、社会人でも、「ウチの会社はブラックだから……」と自虐的に言う人もいるようです。そこで今回JOBRASS編集部では、採用担当者100名に、自分の会社を自虐的に「ブラック企業」と言う人を見たことがあるかどうかをアンケート。合わせて、社会人は、どういうときに「ブラック」と表現するのかも尋ねてみました。
【自分の会社を自虐的に「ブラック企業」と言うことはありますか?(言う人を見たことがありますか?)】
・あてはまる 21.0%
・まああてはまる 23.0%
・あまりあてはまらない 27.0%
・全くあてはまらない 29.0%
アンケートの結果、「あてはまる」「まああてはまる」の合計は44%。4割以上の人が、自虐的に、自分が働いている会社を「ブラック」認定したことがあるようです。では、どのようなときに、あるいはどういう気持ちで、社会人は「ブラック」と言うのでしょうか?
もっとも多かったのは、やはり残業について言及する意見。ただし、いずれの声も「残業が多いだけでなく、賃金が支払われない」ことを訴えるものでした。たとえ残業が予想以上にあったとしても、その分としてきちんと対価が払われていれば、「ブラック」とは思わない人が多いようです。
・残業代の未払い(男性/会社経営・役員/36歳)
・残業代を支払わない風潮がある(女性/その他/44歳)
・残業が多く、仕事に見合う給料をもらえていない(女性/その他/40歳)
・残業しても賃金を支払わない(男性/その他/40歳)
・残業の多さ。賃金の不透明さ(男性/その他/31歳)
・サービス残業を暗黙の了解とされているのはブラックだと思う(女性/その他/29歳)
・予想以上に残業があり、労働に対する報酬が少なかったりすると(男性/総務・人事・事務/38歳)
・給料と労働時間・きつさとが釣り合っていない(男性/研究・開発/44歳)
残業、休日出勤とほぼ同じですが、「会社の近くに引っ越すことを強要されたり、代休もとれないにもかかわらず、休みの日に会議が行われるなど、滅私奉公を求められる会社はさすがにおかしいと思いました」(女性/総務・人事・事務/32歳)という報告にあるように、本来プライベートの時間まで仕事を割り込ませられるのは辛いという声もありました。
・サービス残業が続き、常識的な時間に帰宅することができない。社内に泊まり込んで仕事をすることが日常的に行われているなど(男性/コンピュータ関連以外の技術職/41歳)
・異常残業があり、自分の時間がとれない(男性/金融関係/47歳)
・プライベートがない(男性/コンピュータ関連技術職/45歳)
ノルマや目標値が異常で、「できるはずがない」という場合も、「ブラック」という言葉が脳裏をよぎる……? その目標を達成するために、結果として残業や休日出勤も増えがちということもありそうです。
・ありえない目標値(男性/営業・販売/39歳)
・ノルマの締め付けが激しい(男性/その他/46歳)
コンプライアンス、パワハラも「ブラック」の関連ワードと言っていいでしょう。理不尽なことで叱責される、いじめに近い形で仕事をふられるなど。
・ハラスメントがきつい(男性/コンピュータ関連技術職/48歳)
・コンプライアンスを全く無視した会社(男性/総務・人事・事務/47歳)
・毎日のパワハラが当たり前のように行われている(男性/その他/45歳)
・社長が暴君(女性/その他/32歳)
一方で、「拘束時間やノルマではなく、「自分の本当にやりたい仕事」に就いていない人が、そのように表現するのだと思う。例えば、自営業や自由業の人は、自分の仕事を「ブラック」などとは言わない」(男性/会社経営・役員/46歳)、「自分のやりたい仕事であれば体調を崩さない程度であれば残業もよしとする。それ以外の強制的な押し付け残業・休日出勤がブラックと言っているのでは」(男性/総務・人事・事務/42歳)など、本質的にやりがいがあれば、目標に向かって頑張る気になるし、残業もある程度は気にならないのでは、という指摘も相次ぎました。
・やらされていると感じたとき(男性/総務・人事・事務/45歳)
・やりがいがない(男性/公務員/47歳)
・企業への期待感への失望(男性/金融関係/40歳)
また、「自分の思うようにならないだけでブラックだという若者は多いと思う」(男性/その他/42歳)という声も。ある採用担当者(男性/コンピュータ関連技術職/33歳)は、
「自分からしたら、「甘え」にしか思えない。人に向けてペラペラと喋るくらいだったら、自分で状況を改善する努力をすべきだし(転職するなり、状況改善の為に労働組合を立ち上げるなり)他にやるべきことはいくらでもあると思う。今の人が言う「ブラック企業」というのも、「残業が多い」「給料が安い」「転勤が多い」という程度のことであることが多い気もする」
と厳しい意見を寄せました。
・自分に不都合な就業条件があるとき(男性/営業・販売/48歳)
・現状の職場環境に満足がいっていないとき(男性/公務員/37歳)
・世間一般的に労働時間・賃金・人間関係が『異常』な時にブラックと表現する。上記に自分が当てはまっていると思っている時にブラックと言う(女性/その他/36歳)
もちろん本当に「ブラック」な会社があるのは事実。ただ、「会社に縛られ、満足のいく仕事、給与が与えられない場合に簡単にブラックと言う」(男性/研究・開発/45歳)人が増えているのも確かなようです。就活中、「あの会社、ブラックじゃない?」「ブラックなんだって」というような声を見聞したときには、それが「個人の不満」なのか、本当に違法レベルなのかをしっかり把握したほうがいいかもしれません。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2017年8月16日~2017年8月23日
対象:企業の採用担当者 計100名