合同説明会(ごうどうせつめいかい)とは、多数の企業が集まって一箇所に個別のブースを作り、採用担当者が求職者に対して企業の説明を行うイベントのことで、「合説(ごうせつ)」と略されることが多いものになります。
主に関東圏での開催が多いですが、地方でも催されることもあり、採用情報解禁後(18卒の場合、3月1日以降)の開催が一般的ですが、合説形式のイベントは”就活イベント”、”インターンシップフェア”などの名称で、大学3年生の6月頃から開催されます。一度の合同説明会で参加する企業数は50社程度の中規模のものから300~400社集まる大規模なものまでさまざまです。世の中の企業にはどのようなものがあるのかを知る良い機会として、新卒学生を対象にした説明会が毎年開かれています。
多くの企業が参加しているため、一度に複数社の企業を見ることができるのは大きなメリットと言えますが、目的もなくとりあえず参加しているだけでははっきり言って時間の無駄です。新卒者が合同説明会で有意義な時間を過ごすためにはどのようなことに気を付ければ良いのか、その全知識をご紹介していきます。
まず、合同説明会とはなんのか、参加する意味ってそもそもあるの? という疑問があると思いますので、その辺りのことから解説していきます。
リクナビの調べによると、「合同説明会に参加する企業」は、10年前に比べて2倍以上・リクナビ運営の合説も参加企業数は1.5倍近くになっており、学生の参加数も年々増加しているとしています。
特に昨年は採用広報開始が3月に繰り下げになり、学生の「直接企業に会いたい」というニーズは増加しました。これは、就職活動において「自分と企業がフィットしているか」という点を重視しているからでしょう。
ネット上でどれだけ情報があふれても、就職活動では「人と人が出会う場」が重要です。企業は学生にリアルな会社の姿を感じてほしいのです。学生もリアルな企業の話を直接聞くことで、自分の肌でその会社を感じることができます。会社も学生も「リアル」を求めているのです。
合同説明会は、企業側の採用担当者が、新卒の学生に対して自社の会社説明を行う場ですが、個別の会社説明会と比べると企業の概要に関する説明が多くなる傾向にあります。
というのも、合同企業説明会やいわゆる就職フェアといったイベントは基本的には就職市場で勝ち抜くためのビジネスであることが多いため、企業側は自社の存在を学生に知ってもらう場として利用することが多いからです。
そうは言っても、概要だけ聞いて終わるだけでは、学生側は足を運ぶ意味が少なくなってしまいますから、できるだけ目的意識を持って参加することが望ましいでしょう。
大学卒業を間近に控えた学生とって、自分の将来を決める就職は人生の転換期の一つとしてとらえるべきですから、どの企業を選べば自分のやりたいことができるのか、真剣に考えなくてはいけない時期です。
その際、多くの学生は自分にやりたいことがない、どこでもいいからとりあえず入社したいという意識を持つ方も多くいるのは事実でしょう。しかし、やりたいことがなくても社会人になれば一人で生きて行くために働かなくてはいけません。
どこに就職すれば良いのか、まだ明確な基準が定まっていない状態で新卒戦線を戦うのは、はっきり言って無謀ですから、合同説明会に行く以上、自分の将来を決めても良い企業にはどのようなものがあるのか、どこにいけば良いのか、目的意識を持って参加しないと、交通費の無駄になってしまう可能性があります。
合同説明会に参加したからと言って、必ずしも内定に結びつくとは限りません。合同説明会が複数の企業が集まって、ここの企業の概要を説明する場である以上、参加=内定になることは少ないでしょう。
それゆえ、合同説明会に参加しなかったからと言って、就職に不利になることもありませんし、特別有利に就職ができるということもないです。残念ながら。
内定に有利になるわけではない、かと言って不利になるわけでもない合同説明会ですが、「自分はどんな仕事に向いているのか」「どんな業界や企業に興味を持つのか」は、初めて経験してみないとわからないことも多くあります。自分でもわからないからこそ、まずは話を聞くことからは、今後の就職活動においては、とても重要なことだとは思います。
同業種でも企業はたくさんありますし、面白いのは似た企業はいっぱいあっても、まったく同じ事業を行っている企業は一つもありません。例えば車のメーカー企業ひとつみても、「HONDA」「日産」「三菱」「スズキ」とあげればきりがありません。
彼らが全て同じかと言われればそうでは無いように、有名企業の影に隠れて、実は別の部門ではシェアNo.1などの企業はごろごろいます。そういったまだみぬ企業との出会いがある可能性が非常に高く、新しい発見があるのは合同説明会に参加する大きなメリットになるでしょう。
合同説明会と比べ、よりじっくり時間を確保して説明してもらえるので、企業情報を多く得られます。特に社内制度や社会貢献活動、業務内容に関して知ることができます。大切なことは「なんとなく」で行かないことです。「その企業ならではの職種が知りたい」など、1つは発見したいことを準備していきましょう。
多少のネガティブ要素かもしれませんが、考え方によっては合同説明会のメリッになる部分ではありますが、あまり興味のない業界も見て回れるということがあります。そもそも興味がない業界ですから、今後もエントリーはしないだろうと思うかもしれませんが、もしかした話しを聞くことで興味が出るかもしれません。
例えば、子供の頃の夢が野球選手や花屋だったとしても、時が経てば違う職業への憧れを抱いた経験があると思います。大人になると得られる知識が増えた分、まったく違ったことに興味が湧くことはザラにありますので、合同説明会に参加した結果、今まで興味の薄かった業界への就職を視野に入れたくなる可能性もあります。
筆者も昔は広告業界やテレビ業界に憧れがありましたが、今ではまったく興味がありません。これから先、40年以上も働くことになる可能性もある企業を選ぶわけですから、「興味がない」と切り捨てることなく、積極的に見て回ることで、選択肢が広がることはあるでしょう。
合同説明会は参加者が多いので、福利厚生や給与面など、ちょっと聞きにくいことも質問しやすいのが利点でもあります。終了に近い時間になると、人も減ってきますから、企業の説明を聞いて興味が出た企業にはもう一度訪れて、質問することも可能です。
詳しくは「合同説明会の意味は? 企業の目的と参加者が気をつけるべきポイント」も参考にして見てください。
3年生の12月から就職活動を開始しました。12月は主に企業の合同説明会に参加していました。1月2月は主に個別の説明会に参加し、2月末から3月くらいから面接を受け始めました。4月の時点でいくつか内定をいただきましたが、その時点では内定を承諾しませんでした。そこからはかなり絞って面接を受け、納得いくまで就活を続けました。最終的に5月末に化粧品メーカーから頂いた内定を承諾し、就活を終えました。
――岡庭さんが就活をはじめたのはいつ頃ですか?
大学3年生の4月です。学年が変わるときにスーツを買い、少しずつ合同説明会に行くようになりました。JOBRASSのセミナーに参加しはじめたのもその頃ですね。3年生の夏には、テレビ局のインターンシップに参加しました。大学では、新聞サークルに入っていたので、将来はマスコミに行くと固く決めていたんです。ところが、インターンなどで憧れていた業界を知るにつれて、自分には向いていないのではと思うようになりました。
【大学3年生3月】合同説明会などに足を運びながらアイデムスマートエージェントに予約。3月10日に1回目の面談、方向性が間違っていないことを確信し、広告に絞って就活を進める。
―業界はどうやって絞ったのでしょう?
いろいろみていくうちに、何か一つの仕事やサービスを売っていくという仕事には興味がもてなくて。就活ゼミで、新聞のトップ記事のなかから一つ選び、それについて何か発表するという授業があって、そこで先生に、私は「商社向きな考え方」だねって言われたんです。それで、お金とか、何かをもってきてそれを活用していく…ひろい考え方で世の中にアイデアを落としこむ業界がいいかなと。
就職活動を始める時期と言うのもイマイチわかりにくい問題だと思いますが、JOBRASS編集部は就活を始めた時期について、周囲よりも遅く感じたことがあるかどうかをアンケートをとり、就活のスケジュールを聞いてみましたデータがありますので、参考にして見てはいかがでしょうか。
【就活を始めた時期について、周囲よりも遅く感じたことはありますか? 】
・ある 34.0%
・ない 66.0%
参考:就活で「乗り遅れた」と思ったことがある人は3割 いつから始めたら「遅く」ない?
では、実際に合同説明会に参加する際に持って行くべき持ち物には何があるのでしょうか? ここでは持っておくと便利なものをいくつか列挙しましたので、参考にしていただければと思います。
就活用のバック | 多くの場合で袋をもらえますが、就活用のカバンは持参しておきましょう。 |
ボールペン | 気になった内容をすぐに書けるよう、使いやすいものを選びましょう。 |
スケジュール帳 | スケジュール帳は一応持っていくことをおすすめします。 |
メモ帳 | 合同説明会で聞いた内容を残しておくためにも、メモ帳は必須です。 |
事前に調べた企業の情報 | 事前に聞いておきたいことがあれば、調べた内容を質問できますので、準備しておくと良いです。 |
印鑑(一応) | 備えあれば憂いなしの感覚で、就活の時は常に持ち歩くのが良いかと思います。 |
学生証 | 学生証は学生ならではの身分証ですから、すぐに出せるよう持っておくとおすすめ。 |
クリアファイルはあると便利 | 意外と便利なのがクリアファイルです。 |
ハンカチ・ティッシュ | 身だしなみとして必ず持っておくことをおすすめします。 |
女性は手鏡 | ちょっとした空き時間に簡単に身だしなみが直せるような手鏡があると便利です。 |
折り畳み傘 | 折り畳み傘が一つあると急な雨にも対応しやすいのでおすすめです。 |
履歴書 | 持っていく必要はありません。見せる機会は皆無です。 |
地図 | 会場までの地図ですが、グーグルマップという便利なものがありますのでそれで十分です。 |
会社案内パンフレット | 会場にも案内板がありますので、いらないでしょう。 |
名刺 | 出す機会もあまりないと思いますし、ほとんどの担当者も求めたりはしません。 |
ボイスレコーダー | 合同説明会で重要なことを話すような場面はほとんどありません。必要性は薄いでしょう。 |
お菓子 | 会場内でお菓子を食べている方がおかしな話です。ガムを噛むのもやめましょう。 |
詳しい内容は「合同説明会に持って行く持ち物11選~合同説明会に持っていくと便利な就活バックの選び方」をご参照ください。
合同説明会に行く際の格好ですが、私服でもスーツでも構いませんが、8:2の割合でスーツの学生が多いのが事実です。
昔から言われていることですが、「迷ったらスーツ」でよいと思います・パリッとスーツで決めて向かった方が気持ちの入り方も違うはずです。
合同説明会にスーツで参加するなら、無難に黒か紺を選ぶのが良いと思います。ダークグレーのスーツを着ても良いですが、担当者にそんな学生もいたなと、ある程度の印象を残す以上の意味はありませんし、奇抜な格好は悪目立ちしますので、あえて選ぶ必要もないかと思います。
私服で参戦する場合は、キレイめのオフィスカジュアルを心がけて行きましょう。男性ならジャケットに襟付きシャツやチノパン。女性でもジャケットや襟付きシャツは必須です。
茶髪は避けましょう。合同説明会で髪色までは気にされないとは思いますが、無造作ヘアなどは避けて無難な格好が良いです。
ピアスや指輪、その他のアクセサリーを普段から身につけている場合は全て外していきましょう。
先の尖っている革靴は絶対にNGです。就職活動の場に相応しくありませんし、担当者の印象も悪く、良いことは一つもありません。合同説明会の服装に関する内容は、「合同説明会の服装に迷ったら知っておいて欲しい服装マナー」をご覧ください。
合同説明会説明会におけるマナーは、よほどのことをしない限り普通にしていれば気にしなくても良いものだとは思ますが、ある程度のマナーを知っておくことは、今後の選考で恥をかかないための予防になるでしょう。
受付が始まる前には、会場に到着しておくのがベストです。開場すぐに説明会に参加した方が、担当者ともゆっくり話ができるタ機会が多くなります。
これは絶対に押さえておくべきマナーですね。手荷物となって邪魔かもしれませんが、上着やコートは脱いでおくのが社会人としてのマナーです。
説明会の最中に携帯が鳴らないよう、マナーモードに設定しておきましょう。話を聞きく立場の人間が音を鳴らすのは失礼ですので、気をつけましょう。
椅子の横ではいけないわけではありませんが企業ブースの範囲は狭くなっていますので、下に入れておくのが良いでしょう。
企業の説明会が終わったら、担当者の方にお礼をしましょう。これも最低限のマナーですね。
より詳しく知りたい方は【合同説明会のマナーについてこれだけ知っておけば安心な知識まとめ】をご覧ください。
https://agent.jobrass.com/magazine/research/14185/
合同説明会でする質問にはどれほどの効果があるのかという質問がよくありますが、もし内定に繋がるような効果を期待されているのであれば、それはまったくないと言う回答になってしまいます。
そもそも、質問は自分のためにすべきものですから、ここでは採用担当者に聞いておくと、今後の選考に役立つであろう内容をご紹介していきます。
採用倍率のある程度の指標になるでしょうし、どの程度の倍率があるのかによって、力の入れかたも変わってくると思います。ほとんどの人は狙った企業に一回で内定が出ることはありませんので、指標に応じて事前に多く練習をし、本番に望むことも必要です。
会社にどんな福利厚生があるかは社員になるのであれば当然気になる部分です。給与面が良い方にいきたいのは当然だと思いますし、賞与があるならなお良いはずです。ただし、あまりガツガツして聞いて行くのは印象がよろしくありませんので、その辺りの温度感は調整しておくことをおすすめします。
企業が具体的にどんな展望を見据えているのかも役立つ情報です。大手企業でも倒産する可能性がある時代ですから、10年後20年後も生き残るためのビジョンがあるかもしておきたいところです。
一度就職すれば長い間勤めることになりますので、できるだけ正確に把握しておく必要があります。できればOB訪問などを活用して、仕事のイメージに具体性を持たせておきたいですね。
参考:合同説明会で差がつく質問内容と聞いておくと便利な質問例
「どんな仕事が自分に向いているかは、やはり経験してみなければ分からないものだと思っています。そのため、チャンスがあればいろいろな仕事に挑戦してみたいのですが、総合職の場合、具体的にはどのような職種が含まれているのでしょうか。」
「私は現在、企業で扱われる数字に強くなるため簿記を勉強中です。入社後も実務に役立てられる資格取得や、その他幅広い知識を学んでいきたいと考えています。例えば継続研修や外部セミナーへの参加、あるいは資格取得支援など、スキルアップに向けた制度などはございますか? 」