就職志望先として人気があるコンサル業界、興味深い仕事で、企業を助ける社会貢献度も高い、且つお給料も良くて、将来的に起業もできるかも、仕事はかなり忙しそうだけどやりがいがある…といったイメージはあるようです。しかし、どういった顧客を相手にしているのか、どういった仕事内容なのか、といった具体的な内容を知った上で志望するなら、ミスマッチにもならず、志望動機も現実的なものになるでしょう。コンサル業界とはどういった業界、仕事内容なのか、志望動機はどのように書けば良いのか、などについて解説していきます。
(※こちらの記事は、2016年10月11日に公開したものを更新しています。)
コンサルタントは、主に企業を顧客として、経営戦略や、会計、組織、人事、ITといった業務上の課題について、専門的なコンサルティング(相談や指導、企画、立案など)を行います。企業の合併や買収(M&A)、あるいはそういったアプローチへの対応、グローバル化など、経営にかかわる問題全般を扱います。
コンサルタントは、経営上の課題を抱える企業の依頼を受け、問題を解決する手助けをするため「企業の医者」という定義をされることもあります。コンサルタント業は、医師とは違って、資格を必要としません。そのため、コンサルタントと名乗るだけで、だれでもコンサルタントになることができます。その結果、ラーメンコンサルタント、ダンスコンサルタント、着物コンサルタント…と様々なコンサルタントが存在しています。ここでは、基本的にBtoBの企業を対象としたコンサルタント業に関して考えてみることにします。
コンサルタント企業は、クライアント企業の課題に対し、まずプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトチームのメンバーや期間を決めて、「第三者として」調査や分析を行い、経営戦略の策定や実行支援などを行います。クライアントは、製造業や各種サービス業、政府機関や教育機関など多岐にわたり、それぞれに異なる課題を持ち、状況に合わせて、解決策も異なっています。コンサルタント企業は、それぞれに得意分野を持っていることが多く、各分野で蓄積された情報やノウハウを強みに、解決策を提示します。
【対象とする領域別コンサルタント】
コンサルタントは対象とする領域によって、以下のように分類することができます。
1.戦略系コンサルタント
基本的に経営層を対象として、事業やマーケティング戦略などの立案支援を行います。全社・グループ経営戦略、ビジョン策定、成長戦略、M&A(合併と買収)、アライアンス、R&D(研究・開発)といった全社的なテーマを扱います。外資系企業が強い分野となっています。
主な企業には、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー、 A.T. カーニー 、Strategy&、ローランド・ベルガー等があります
2.業務系コンサルタント
企業の業務に関する仕組みつくり、問題解決などを支援します。企業によって得意分野が異なります。
■会計分野
監査や税など、法的分野への対応、企業の会計面を支援します。連結会計や管理関係の仕組みつくりを行うこともあります。欧米系コンサルタント企業が強い分野です。
■財務分野
M&Aでの企業価値評価やスキームに関連する支援、財務リストラの支援などを行います。IR関係のアドバイスを行うこともあります。
■業務分野
世界中の日本と関わる企業の間で認知度が高まっている「カイゼン」、内部統制、環境との取り組み、衛生や安全、顧客関係の管理…といった、業務と関わる様々な分野で改善を行う仕組み造りなどを行います。日本らしい経営の典型とされている部分でもあり、日本の企業が強い分野です。
3.人事系コンサルタント
人事制度、研修、教育に関するシステムつくりなどを支援します。人事評価制度の導入や見直し、年金制度の導入や再構築、社内のコミュニケーション・風土改革、組織再編成、人材育成といった内容を戦略視点から再構築するといったアドバイスも行います。
4.IT系コンサルティング
情報システム構築に関連するサポートを行います。CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー:情報担当役員)アドバイザー業務、大規模システム導入マネジメント、ITインフラ構築支援、IT投資の分析・調査、セキュリティのサポートなどを行います。大手のシステムインテグレーターや商社の情報系子会社などを出自とするコンサルタント企業が強い分野です。
【対象とする企業による分類】
クライアント企業のタイプによってコンサルタント企業を分類してみました。
1.総合研究所
上記の分野のすべて、もしくはいくつかを行っているコンサルタントです。戦略からITまで幅広いサービスを提供しています。財閥系など、母体となるグループ企業があり、安定した事業基盤を持っているのが特徴です。主な企業は、野村総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、NTTデータ経営研究所、三菱総合研究所、富士通総研などです。
2.中小企業向けの総合コンサルタント
50~500人クラスの小企業・中堅企業を主な対象とし、経営者のニーズにあわせて、会計から人事、マーケティング、組織改革まで幅の広いコンサルティングを行います。船井総合研究所、タナベ経営、ジェムコ日本経営、日本能率協会コンサルティングといった企業があります。
3.特化型コンサルタント
医療やバイオ、消費財など、特定の業界に特化したり、会計やベンチャー支援といった得意分野を持つ、コンサルタントです。したい仕事がはっきりしている場合には、おすすめの企業です。主な企業には、ドリームインキュベータ、スカイライトコンサルティング、シンプレクス、エル・ティー・エス、EYアドバイザリー、アイエイエフコンサルティング、アットストリーム、クロスフィールドなどがあります。
コンサルタント業界は各社それぞれに特色があります。志望動機を書く際には、志望先の企業の特徴をおさえて書くようにしましょう。業界研究をする際には、業界誌を確認したり、会社案内の際に確認できるような質問をしておくと良いかもしれません。
志望動機の例文を上げてみます。参考にしてみてください。
【戦略系ファーム】
私は将来的に、企業の経営に携わり、ビジネスという面から社会に貢献したいと考えています。多くの人に利益をもたらすという目的を達成するために、企業での活動や経営を統括するのが最も効率的だと思います。先見性をもって課題を見つけ出し、高い分析力と構想力で戦略を策定し解決へと導く一連の流れを統括できるようになりたいと考えます。御社であれば、様々なクライアントの多様なニーズに応えるべく複雑な情報を取り入れ、適切に解釈し、最良の解決策を提供するという日々の業務を通して、目指す力を得ることができると考えております。そのために、御社で、常に先を見据えながら、挑戦していきたいと思います。
【総合研究所】
私は政府・官公庁の政策の立案・実行に携わりたいと考えています。特に、地域創生や社会インフラ、環境や防災、福祉など、人々の生活を底支えするプロジェクトへの参画を通し、持続可能かつより豊かな社会の実現に貢献したいと思っています。国家公務員ではなく、なぜ御社かというと、まずは、シンクタンクという立場からしかできない政策への関わり方が存在するためです。年功序列が強い官公庁では、政策の根幹の決定に携われる機会が少ないのに対し、御社ではキャリアの長さに関係なくプロジェクト単位で政策立案に携わることができます。また、自分で調査から立案まで手掛けられる点も魅力的です。分野横断的な課題に対して、縦割り組織の枠組みに捉われないで済むため、柔軟な政策を生み出すことができると考え、志望いたしました。