「カップヌードル」や「どん兵衛」で有名な日清食品グループ。安定的な美味しさ、オリジナリティあふれるCMやプロモーションで話題性がある企業の一つです。日清食品グループはグローバル化を掲げ、その動向ひとつひとつは常に注目を集めています。今回は、日清食品グループの概要や経営スタイル、人材などをまとめてお伝えします。
日清食品グループは持株会社制であり、即席めんを主とするインスタント食品の製造・販売を核に、その他食品事業で展開を図っています。海外においても、現地子会社及び関連会社による即席めん等の製造・販売やこれら現地法人に対する技術援助などにより業域を拡大しています。(カッコ内の人数は2016年3月31日時点)
●日清食品ホールディングス株式会社(持株会社)(従業員数 12,102名/2017年3月時点)
L 日清食品…即席めんの製造・販売
L 明星食品…即席めんの製造・販売
L 低温事業(従業員数550名)
L日清食品チルド…チルド食品の製造・販売
L日清食品冷凍
L米州地域…ニッシンフーズ(U.S.A)Co.Incなど
L中国地域…日清食品有限公司など
Lアジア地域…インドニッシンフーズ PRIVATE.LTD.など
L欧州地域 …ニッシンフーズKftなど
Lその他
L日清シスコ…菓子などの製造
L日清ヨーク…乳製品の製造・販売 など
◎概要
設立年月 1948年9月4日
資本金 251億2200万円
代表者 代表取締役社長・CEO 安藤 宏基
代表取締役副社長・COO 安藤 徳隆
従業員数 11,200名 (連結)
決算期 3月
売上高 5104億円 (連結・2018年3月期通期)
◎創業者(安藤百福)精神
・食足世平・・・食が足りて初めて、世の中が平和になる
・食創為世・・・食を創り、世の為につくす
・美健賢食・・・美しく健康な体は賢い食生活から
・食為聖職・・・食の仕事は聖職
▼詳細はこちら
https://www.nissin.com/jp/about/style/
◎歴史
・1948年 9月 魚介類の加工および販売、紡績その他繊維工業、洋品雑貨の販売、図書の出版および販売を目的として、株式会社中交総社 (資本金500万円) を設立、本店を泉大津市汐見町に置く
・1958年 8月 〈瞬間油熱乾燥法〉の即席袋麺「チキンラーメン」を開発
・1958年12月 本店を大阪市中央区に移転、日清食品株式会社に商号変更
・1971年 9月カップ麺「カップヌードル」を発売開始
・1990年 7月株式会社ヨーク本社 (現・日清ヨーク株式会社) に資本参加
・1991年1月 ピギー食品株式会社 (現・日清冷凍食品株式会社) に資本参加
・1991年2月 シスコ株式会社 (現・日清シスコ株式会社) に資本参加
・2006年 12月 明星食品株式会社に資本参加
・2008年10月 持株会社へ移行
・2011年7月 カップヌードルミュージアム オープン
・2016年 全世界でカップヌードル400億食を達成
◎日清が手がける主な商品ブランド
・即席めん…カップヌードル、日清焼そばU.F.O、日清のどん兵衛、チキンラーメンなど
・チルド(冷蔵)…日清のラーメン屋さん、行列のできる店のラーメンなど
・冷凍…冷凍 日清のラーメン屋さんなど
・シリアル・お菓子…ごろっとグラノーラ、ココナッツサブレ、チョコフレークなど
・発酵乳・乳酸菌飲料・清涼飲料水…ピルクル、十勝のむヨーグルトなど
日清食品は「ブランドマネージャー制度」を先立って取り入れた企業として有名です。
ブランドマネージャーとは「ブランドの世界観を築きあげ、消費者の支持を得るためにマーケティング、プロモーションを一貫して行う組織形態」のことです。
多くの企業は「営業」「プロモーション」といった縦割りな組織であることが多く、あるサービスがつくられるとプロモーションやマーケティング部署が専門部署として役割を担い「必要なとき」に限定的に取り組みを行うニュアンスが強いのですが、ブランドマネージャー制では少人数でつくられたチームが常に特定のブランドに意識を持ち、ブランドが長く愛されるように取り組みを行うことに力を入れています。企業全体から利益を考えるというよりは、個々のブランドが強くなれば、企業全体の利益がうまれるという考え方になります。
ホームページによると日清ではブランドマネージャーを「マーケティングスタッフを5名1組でブランドごとにグループ化し、ブランドマネージャーが開発・生産・販売などのあらゆるプロセスに責任を持つという仕組みです。社内に競争原理を取り入れ、活性化を図っています。また、「ブランドファイトシステム」により、他グループが持つブランドを使用した新商品の開発もOKです。「他社に出し抜かれるくらいなら、自社内で競合した方が良い」「社内の競争に勝てない商品が、他社の商品に勝てるわけがない」そんな厳しい社内競争のもとで生まれた商品だけをお客さまにお届けしたいと考えています。」と説明しています。
日清では「打倒!カップヌードル」をモットーに、どん兵衛やチキンラーメンがそれぞれ同社の強大なブランドであるカップヌードルを超えようとブランド戦略などを練り、カップヌードルは他のブランドの仕掛けに対してブランドを維持、発展させようと日々取り組んでいます。「社内競争」を活発化させ、最大のライバルは他社ではなくまずは自社内にあれ、という考え方が根底にあります。このブランドマネージャー制度は資生堂などでも取り入れられています。
2016年度から5か年を対象とする「中期経営計画2020」から、日清食品グループの展望を把握することができます。グループ理念は「EARTH FOOD CREATOR」であることからもわかるように、日清食品グループは日本の大手企業から、世界を代表する食企業に成長しようとしています。
ここで掲げられている戦略は5つ。
(1)グローバルブランディングの促進・・・カップヌードルを世界ブランドへ
(2)海外重点地域への集中・・・BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)を重点地域に選定。
(3)国内収益の盤石化・・・若年層・女性・アクティブシニアへの取り組み
(4)第2の収益の柱の構築・・・グラノーラ、チルド食品などの強化
(5)グローバル経営人材の育成・強化
IR情報からみなさんも詳細を確認することができますが、「ブランド力の向上」、「海外への積極的な取り組み」を意識するとわかりやすいでしょう。
▼詳細はこちら
https://www.nissin.com/jp/ir/management/business_plan/
求める人材像は採用ホームページに既に記載されているように「パッションと技術力で世界の強豪と戦っていく、勝つための努力を惜しまず、またプレゼンテーション能力、異文化理解力、発言力などグローバルな舞台で通用するコミュニケーション能力を持ち、論理的思考、創造力、リーダーシップ力を兼ね備えた、異文化の環境でチームをリードしていく人物」を求めています。また、語学・財務会計・PCスキルも身に付けてほしい基本的なスキルとして挙げられています。つまり、国内でも海外でも臆することなくチャレンジすることができる学生を採用したいと考えているため、「全国転勤は嫌だな」「安定している企業に働きたい」と思う学生とは相性はあまり良くないでしょう。
またOBOG訪問や説明会などを活用して、社風が自分とあうのか、世界に挑戦していきたいと思うのか、などを見極める機会にしていきましょう。