約半世紀前にリース産業は始まりました。日本最初のリース会社「日本リースインターナショナル」は1963年、現オリックスの前身「オリエント・リース」は1964年に設立されました。時は、東京オリンピックを迎えた高度成長期でした。日本の工場の設備の近代化を助け、高度成長を支えつつ、業界としても飛躍的に発展したのが、リース業界です。そんなリース業界、現在の状況はどうでしょうか? 志望動機を書く際にどういったことに気を付けたらよいでしょうか、考えてみましょう。
(※こちらの記事は、2016年7月5日に公開したものを更新しています。)
リースとは、「リース会社が、企業が選定した設備機器を比較的長期間にわたって賃貸する取引」です。大型の工作機械などの場合には、メーカーと工作機械メーカーとともに、リース料だけでなく機械の仕様などにも関わる営業を行うことになります。リース期間終了後にも、購入や再リース、転売といった活動を行う必要があります。
リース業界は、金融業の一形態ですから、リース業も与信判断などのファイナンスの知識や判断力が必要になります。一方で、ものを貸す形をとっているために、会計処理や税金の知識も必要となります。また、リース顧客の発掘やリース案件情報を獲得するためには、発展業界に関する知識も必要となってきます。リース業界は、オフィス用品から航空機まで幅広いものを運用します。レンタカーは個人客を対象にすることもありますが、通常リース業界は対企業で営業を行います。リース業界の仕事内容の特色を押さえておくことは、志望動機を書く際に役立ちます。リースには、ファイナンスリース(設備機器の導入を目的に資金調達する手段の一つ)と、オペレーティング・リース(リース業界が所有する形の設備を運用する方法)があります。志望動機を書く際には、リース業界は法人向けであること、相手に合わせて長期的かつ大きな仕事ができること、一方で顧客に合わせてきめ細やかな対応が求められること、といったリース業界の特色を考慮に入れましょう。金融業界の中で、なぜリース業界なのかという質問は、就職活動中によく尋ねられる質問です。業界研究をする過程で、自分なりの理由を明確にしておきましょう。
リース業界は、様々な業界に資金ではなく設備をリースすることで成り立っている業界です。そのため、リーマン・ショックなどの世界経済の波を直接受けやすい業界です。同時に、景気回復の波にもいち早く影響される業界でもあります。多くの業界で、業界再編の名のもとに、企業の大型化、寡占化が進んでいますが、リース業界にも同様の傾向が見受けられます。
リース業界の市場規模は、約6兆円、総資産額が30兆円越えと優良業界です。そのため、メガバンク系、大手商社系の企業も参入し、大型再編が進んでいます。三井住友リースと住商リースが合併して三井住友ファイナンス&リースが、UFJセントラルリースとダイヤモンドリースが合併して三菱UFJリースが、東京リースとセンチュリー・リーシング・システムが合併して東京センチュリーリースが生まれています。最近の成長業界は、環境・エネルギー、医療など、大型設備投資が必要な業界も多く、企業も大型化して対応する傾向にあると言えます。産業界のニーズにこたえるために不可欠な動きなのでしょうか。
グローバル化の動きも強まっています。日本国内市場の低成長が予想される中、海外に企業進出することは不可避となっています。海外で生産しないまでも、海外に自社製品の販路を広げていくことは今や多くの企業が行っていることです。リース業界は、そういった産業界の動きにこたえていく必要があります。業界最大手のオリックスは、2013年に欧州の大手資産運用会社ロべコ、2014年にはハートフォード生命保険を買収し、海外市場での存在感を高めています。
リース業界にはどういった企業があるでしょうか。主な企業は以下のような企業です。売り上げ額の順になっています。
1. オリックス:2兆8,627億円(2018年3月期営業収益額)
シェアトップの総合リース企業です。法人サービス、生命保険サービス、メンテナンスリースサービス、不動産関連等多方面に展開しています。船舶や航空機関連をメインに海外事業部門も伸び率の良い部門となっています。
2. 三井住友ファイナンス&リース:1兆4,204億円(2017年3月期売上高)
業界2位の大手総合リース会社、三井住友フィナンシャルグループの子会社であり、かつ、住友商事の持分法適用関連会社。銀行系、総合商社系という強みを活かした営業活動を行っています。
3. 東京センチュリーリース:1兆122億円(2018年3月期売上高)
伊藤忠商事傘下にある、総合リース企業です。三菱UFJリースが誕生してから業界4位でしたが、2016年度に売上高で業界3位になった成長率の高い企業です。国内リース事業、レンタカー事業が安定している一方で、東アジア・アセアン諸国を中心とした国際事業分野の進捗が著しいこと、太陽光発電や航空機分野といったスペシャルティ事業分野でも、大きく伸びています。
4. 三菱UFJリース:8,699億4,800万円(2018年3月期売上高)
三菱グループと三和グループの中核リース会社で業界3位の大手総合リース会社。三菱グループの企業を主要顧客とし、国内外で営業活動を行っています。
5. 芙蓉総合リース:5,902億100万円(2018年3月期売上高)
みずほフィナンシャルグループ系の大手総合リース会社です。コーポレートスローガンは、「前例のない場所へ」。
リース業界は金融業界の一翼を担っています。他の金融業界ではなく、なぜリース業界なのかという点は、志望動機で明確にできるようにしておきましょう。そのためには、リース業界の業界研究をきちんとしてください。企業研究も、志望企業の特色、扱っている商材等に関しても押さえておくようにしましょう。
リース業界で内定をもらった先輩たちの志望動機を挙げておきます。参考にしてみてください。
「私は、お客様と寄り添って喜びを分かち合うことができる営業を志望しています。お客様の喜びや満足に繋がる結果を出していきたいと考えています。私は、2歳から水泳を習っていて現在も続けています。大学一年生でリレーに出場して決勝で活躍して、チームが25年ぶりに5位になり、先輩方が泣いて喜んでいる姿を見て、私自身も大変嬉しく、自分の行動が人を喜ばせることができると実感しました。現在は主将としてチーム作りや運営に携わっています。チームが一つにまとまらず、部員の意識のズレがあると強いチームは作れません。この問題を解決するために、主将としてチーム全体や各学年間での話し合いを何度も行ってきました。こういった経験から、私の強みは、問題を見つけ、それの解決をすることができることだと思います。御社でお客様とともにそういった活動をしていければと思い志望いたしました。」
「リース業界は、モノを介することで様々な事業スキームを提案でき、リース会社にしか出来ないことがあると思い魅力を感じました。中小企業の社長や財務部長など、会社の経営陣に対して提案することで自己成長するチャンスがあると思います。若いうちから責任を持った仕事を任せてもらえるとうかがい、早いうちから活躍するチャンスがあり、自分一人にかかる責任の重さに魅力を感じました。」