日本には、一般的にあまり知られていない優良な中小企業がたくさんあるのをご存じですか? 就活をはじめたばかりの頃は、ついCMなどで社名に馴染みのある大企業ばかりに目がいってしまいがちですが、それでは視野を狭めてしまい、かなりもったいないことです。なぜなら、大企業というのは日本全体の企業数で見るとたった約0.3%(*1)しかなく、日本における企業による経済活動は、ほとんど中小企業で成り立っているからです。
以前、『知らないなんてもったいない!! 攻めのIT経営中小企業100選 優良企業を見つけるポイントとは?』という記事でもご説明したことがありますが、中小企業にも目を向けてよく調べてみると、専門的な機関の有識者たちから評価され賞が与えられるなど、客観的に裏付けされた優良な企業が、実は数多く存在します。そうした情報を参考にしてみるのも、就活を上手に進めるために必要なことではないでしょうか。
そこで今回は、それらの賞の概要と受賞企業をまとめてご紹介します。ぜひこの記事を参考に、業界・企業研究に役立ててくださいね。
『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞は、「正しいことを、正しく行っている企業」を表彰しており、日本経済や働くすべての人の活力を生み出すために設立されました。厚生労働省や経済産業省が後援していることからも、信頼度の高い賞だと言えます。
主催しているのは『人を大切にする経営学会』。多くの経営学会が国内に存在する中、この会ならではの特徴は、「人を大切にしている企業こそが、好不況にぶれず好業績」という先行研究の深化・体系化と、「人を幸せにする経営」の普及を目的としているところです。
代表をつとめる法政大学大学院政策創造研究科教授の坂本光司氏の著書『日本でいちばん大切にした会社』は、累計65万部を突破するほど注目度が高く、現在までに4巻まで出版されています。村上龍氏など著名人からも絶賛されている有名な本なので、本屋などで見かけたことのある人もいるのではないでしょうか。
この『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞の応募資格は以下の5つとのこと。
■応募資格
過去5年以上にわたって、以下の5つの条件に全て該当していること
【1】人員整理を目的とした解雇や退職勧奨をしていないこと(東日本大震災等の自然災害の場合を除く)
【2】外注企業・協力企業等、仕入先企業へのコストダウンを強制していないこと
【3】 障がい者雇用率は法定雇用率以上であること(常勤雇用50人以下の企業で障がい者を雇用していない場合は、障がい者就労施設等からの物品やサービス購入等、雇用に準ずる取り組みがあること)
【4】黒字経営(経常利益)であること(一過性の赤字を除く)
【5】重大な労働災害がないこと(東日本大震災等の自然災害の場合を除く)
出典:『日本でいちばん大切にしたい会社』
これまで不景気が長く続いたからこそ、「人を大切にする」という意義や、全てクリアする難しさがより一層深く感じられるかと思います。気になる方は、ぜひ本も読んでみてください。きっと様々なストーリーに胸が熱くなるはずです。
▼受賞企業やコメントは、下記からご覧ください。
『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞 第六回受賞企業
▼オススメの本
『日本でいちばん大切にしたい会社』坂本光司著
『東京カイシャハッケン伝!』は、東京都産業労働局主催で、「中小企業しごと魅力発信プロジェクト」の一環として、東京都内の「すぐれた技術」「すぐれた事業」「すぐれた雇用環境」などを紹介しているWebサイト。東京のさまざまな中小企業で積み重ねられたストーリー(物語)が掲載されており、企業・社長・製品開発・技術・キャリアなど、本当に多種多様な魅力が発見できます。
サイトはワクワクするような見やすいデザインで、貸し切りバスの企業見学ツアーの開催など、就活生の役に立ちそうな情報が盛りだくさんです。希望勤務地が東京という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
▼紹介企業はこちらから検索できます。
『カイシャを探す』
『がんばる中小企業・小規模事業者300社』は、革新的な製品の開発、創造的なサービスの提供など、国内でがんばっている中小企業・小規模事業者の取組事例を、中小企業庁が選定しているもの。
事例の収集にあたっては、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業基盤整備機構、日本貿易振興機構、国際協力機構、在外大使館・領事館及び各経済産業局などが関わり、それぞれから推薦されているのだそうです。
これらの企業を一つひとつ見ていると、日本には本当に様々な仕事があり、自分の仕事に誇りを持っている方々が大勢いらっしゃるのだなと気づかされます。中には、社長がみなさんの歳に近いような若い企業もあり、社員たちがやりがいを持って働いていることが伝わってきます。ぜひ希望勤務地にどのような企業があるか見てみてくださいね。
▼選定された企業はこちらから検索できます。
『中小企業ビジネス支援サイト』
『勇気ある経営大賞』とは、東京商工会議所が主催し、厳しい経営環境の中で勇気ある挑戦をしている中小企業またはグループに与えられる賞です。
この「勇気」に関して、サイトでは以下のように説明しています。
本賞では、過去に拘泥することなく大きく経営の舵をきる決断を下し、 実際に以下の行動をとったかについて評価します。
・大きなリスクに挑戦したか
・高い障壁に挑んだか
・常識の打破に挑戦したか
・高い理想の追求を行ったか
(想定される授賞企業の事例)※一部抜粋
・常識にとらわれない独自の製品・サービスを開発する企業
・核となる技術・サービスの深化や、最先端技術を追求する企業
・時代の潮流を先読みした業態転換・事業革新を行う企業
・独自のマーケティングを編み出し追求する企業
・大胆な人材登用や工夫を重ねた技能伝承・人材育成を行う企業
出典:『勇気ある経営大賞』
受賞企業を選定するにあたって、売上高や財務内容などの数値は選考に含まれていないとのこと。あくまで企業の姿勢のみ重視した賞のようです。
特にチャレンジ精神旺盛な方は、経営理念や社風に共感できるなど、自分に合う企業が見つかるかもしれません。
▼受賞企業はこちらからご覧いただけます。
『勇気ある経営大賞 受賞企業紹介』
いかがでしたか? 少し視野を広げるだけで、これだけたくさんの企業があるということが伝わったでしょうか。
今回ご紹介した企業の中には、新卒募集を行っていないところもありますが、ぜひこの記事を参考に、どんどんチャンスを見つけていってくださいね。JOBRASS編集部一同、あなたの就活を応援しています!
【参考先リンク】
*1 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数等(2014年7月時点)の集計結果」