面接で少しでも良い結果が出るようにと就活生は一生懸命に準備をしていますね。企業研究をしたり、自己分析のセミナーを受けたり、慣れないスーツの着方の研究をしたり、女子学生の方はメイク講座を受講するケースもあると聞いています。
同じような内容で準備を進めているのですが、どうしても面接で比較的受かりやすいタイプと受かりにくいタイプに結果が分かれてしまいます。受かった人と受からなかった人で比べても、人間的にも能力的にも大きな差がない場合も多いと思います。しかし軽視できないのはその「ちょっとした差」であり、面接官からすると想像以上に大きな差であるため、就活生の予想を超えて結果に反映してしまうようです。今回はその軽視しがちな「ちょっとした差」について私の経験をもとにお伝えします。
「面接の開始1分で合否を決める」という面接官に出会ったことがあります。人事としてスタートしたばかりの頃だった私は「そんな極端な方法で良いのかな?」と半信半疑でした。1分間でわかる事といえば、表情、立ち方、歩く様子、座り方、目の表情、スーツの着方など、目で見ただけで判断できる事や、挨拶の時の声のハリや明るさ、声の大きさなど、耳で聴こえてくる情報のみです。どんなにかき集めてもこの程度が精一杯で、就活生の皆さんが必死に準備してきた自己分析や企業研究など全く活かす事さえできない短い時間で合否が決まるというのです。
つまり実際に私が面接官としての経験を重ねていくうちにわかってきたことは、第一印象の良し悪しが相手に与える非常にインパクトはものすごく大きい! ということです。
面接官のお仕事はたった30分〜60分という限られた時間内に合格か不合格かという大きな決断を仮説を立てながら判断をしていかなければなりません。1分という短い時間でも面接官たちは敏感に情報収集しているということを意識しておく必要があります。
先ほど、開始1分で大まかな評価をされてしまうと申しました。「では残りの時間は意味があるの?」を思う方も多いと思いますが、残り時間はそれら一瞬で判断した評価が果たして本当かな? という「確認作業」をしています。
元気がない第一印象だけど、もしかしたら普段の生活は活動的かもしれない。軽い印象だけど、意外と地道な努力をするタイプかもしれない。など、「かもしれない」という視点でわざと確認作業をしているのです。
このコラムのタイトル通り、「面接で落ちるタイプ」を簡単にまとめると、まず会ってすぐの第一印象で普通以下の印象を面接官に与えてしまい、なおかつそのあとの「確認作業」の時間でも、普通以下の内容でしか伝えることが出来ないまま面接の終了時間を迎えている人たちであると言えます。
・表情が暗い
仮に緊張していても「明るく努めている」と相手に感じて貰う事が大事です。表情が暗い人とまた会いたいと思う人はいません。面接官にも感情があるので、良い印象を持ってもらうという事は大事です。
・見た目が悪い
ここで伝えたいのは「清潔感」の事です。具体的には身だしなみの事です。スーツを丁寧に着ているか? 髪型に清潔感があるか? ヨレヨレの靴やカバンではないか? ヒゲや眉毛を整えているか? 口臭や体臭などに気を使っているか? などの事です。見た目の清潔感は普段の生活感が現れるので注意しましょう。
・声が小さい
企業は若手に対して「(単純に)元気かどうか?」を求めます。ですから元気を表現する上で声の大きさは大事な要素です。緊張していても声が小さければ弱々しい印象になります。仮に緊張しても声だけは絶対に大きく話すようにしましょう。
・自信たっぷりに話せばよいと思っている
自信たっぷりに話すだけで評価が上がると思うタイプも要注意です。自信のある態度で話す事は信頼にもつながりますが、あくまで話す中身が伴ってこそ! 表面的な内容はすぐに面接官は見抜いてしまいます。
・長所しか話そうとしない(短所を隠そうとする人)
誰しも長所と短所はあるので、長所はもとより短所もバランスよく把握しているのかどうか=客観的に認識できているかはとても大事なポイントです。また短所を認識していない人(隠そうとする人)は、これ以上成長をしない人であると評価される可能性があります。
・自社に対する質問を用意してきていない
質問があるかないか? は企業側からすると、自社への志望度が高いか低いかの判断材料になります。志望度が高いと必ず事前に企業研究をしっかりと行うはずだからです。
・話が長い、結論を最後に話す
質問のあとの回答はできるだけ結論から話すようにしましょう。面接官が話を聞いていて「退屈だな」と感じたらその時点でアウトです。背景やきっかけや言い訳などからを先に話す事は止めましょう。
・質問したい事ではない答えが返ってくる
面接を暗記に頼っている方に多いケースです。面接官からすると、質問の意図通りに答えが聞けない場合、コミュニケーション力がないと見なされてしまいます。
・過去の栄光を中心に話を組み立ててくる
面接官が知りたい事は「今のあなた」です。去年までの話や、高校時代の話は参考程度です。過去の実績に加えて、現在はどうしているのか? が面接官は最も気になります。
・趣味や遊びを熱心に取り組んだ話をアピールする
趣味や遊びは自分の好きな事なので頑張れて当然ではないか? と面接官は考えます。サークルで旅行の企画をして成功させたとか、友人の誕生日パーティを企画してみんなが感動した話など、素晴らしいですが、それだけでなく「好きではない事でいかに頑張れたか?」を面接官は聞きたがっています。
・長く続けているだけでアピールになると思っている
幼稚園から現在までピアノを習い続けている。小学校時代がら現在までずっとサッカーをやっている。とても素晴らしい事ですが、長く続けているだけではアピールとして弱いです。たとえ短くても、どんな努力をしているか? どんな事を意識して取り組んでいるかのほうが大事なポイントです。
・当たり前の事なのにアピールしてくる
例えば、部活の練習を1日も休まずに励んだ話。苦手な科目の成績を上げるために必死で勉強した話。など、面接官からすると「それって良く考えると当たり前の事ではないかな?」を気づかれてしまいます。異常な努力であったり、普通以上な成果を出したかどうかを面接官は知りたがっています。そうではない場合は逆効果になる可能性があるので気をつけてください。
・家族の話ばかり
最近特に多いなと思う話題が、家族の方が頻繁に出てくるパターンです。
「目標にする人物は父です。仕事を一生懸命にやっていて……」とか、「○○な部分がすごいねと母から褒められます」などなど、身内の話題が多いと面接官はシラけます。なぜなら家族以外の人との交流が少ないため、視野が狭い人であると思われてしまうからです。
・自己評価で話をする
「私は○○が得意だと思います」「私は○○についてかなり努力したと思っています」など自己評価での判断が多いと思われてしまうケースも危険です。できるだけ客観的な評価や対外的な比較を絡めて話すように心がけましょう。
上記の記した事例を意識するだけで通過率がぐっと上昇すると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
佐藤 大(さとう だい)
神奈川県出身。採用コンサルタント。就活アドバイザー。神奈川県の自動車販売ディーラーにて人事、採用に関する業務に約8年携わり、累計で延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じる。「人」の持つ可能性や組織に与える影響のの大きさを数多く目の当たりにしてくる中で、さらに追求すべく2015年より独立。高校生、大学生に向けての就職指導、企業の採用支援、採用担当者育成などにに携わり現在に至る。