ニュースや情報番組で、社会の出来事に対して独自の視点でとらえ、視聴者に届けるコメンテーター。ジャーナリストや評論家、タレントやお笑い芸人など様々な人が登場し、ネットニュースなどでも度々取り上げられていますよね。時には彼らの発言が、世論に影響を与えることも……。
コメンテーターの仕事が特徴的なのは、議論の一部始終を多くの視聴者から見られているということ。これは就活におけるグループディスカッションで、採用担当者からチェックされているのと似ているのではないかと思います。
では、一流のコメンテーターから就活生が学べるのはどういったところでしょうか。今回は、有名ジャーナリストや芸能人など、各コメンテーターの特徴に注目しながら、グループディスカッションで使えるコツについて考えてみました。
グループディスカッションで評価されるポイントはいくつかありますが、今回まず挙げたいのが「オリジナリティ」。
コメンテーターの人たちの様子を見ていると、熱くインパクトの強い発言をする人もいれば、冷静に論理的な意見を述べる人、笑いをとりながら場を和ませるような人など、様々なタイプがいますよね。時には自分の感想だけにとどまらず、視聴者の気持ちを代弁したり、専門性を活かして理解を深める手助けをしたりすることもあるかと思います。
このように、一つの番組に異なる個性が集まり、全員がその人ならではのコメントをするからこそ、観ている私たちも惹きつけられるのではないでしょうか。
とはいえ、一つのテーマについて、他の人とはかぶらない意見を出すというのは、難しいことですよね。オリジナリティを追求するあまり、突拍子のない意見ばかり言って番組の趣旨から外れてしまうようではダメですし、かといって無難な意見ばかりでは、議論にメリハリがなくなってつまらないものとなってしまいます。
就活におけるグループディスカッションも、似たようなことが起こりがち。そうしたことを回避するために、ここでもう一つ重要なポイントとして挙げておきたいのが、周りと協調できる「コミュニケーション力」です。
コメンテーターの方たちを見ていると、互いにコミュニケーションをとりながら、全員で番組を盛り上げていますよね。みなさんも、彼らのように他の就活生の意見をよく聞きながら、積極的にコミュニケーションをとって議論を深めていきましょう。
その上で、他の人とは違う意見を言うことができれば、自分の「オリジナリティ」が引き立ちます。企業側も、周りと協調しあいながら個性を出せるあなたを見て、入社後の活躍がイメージしやすくなります。
それでは次に、有名なコメンテーターの池上彰さん、松本人志さん、竹田圭吾さん、古市憲寿さんを例に挙げ、一人ひとりの特徴を考えながら、グループディスカッションの参考になりそうなポイントを探してみましょう。
■池上彰さん(ジャーナリスト、元・NHKアナウンサー)
丁寧な説明と穏やかな口調が親しみやすく、「好きなコメンテーター」「解説や意見を聞きたいコメンテーター」などのランキングでは1位を獲得するほど、圧倒的な支持を得ている池上さん。
冠番組の司会者としてテレビ出演することが多く、ニュース解説では他の出演者に対し「いい質問ですね!」と言いながら答える様子を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
池上さんのコメンテーターとしての特徴は、どんな相手でもタブーを恐れず、核心をついた質問をするところ。また一方で、NHK記者時代に叩き込まれた“公正・公平”な立場を貫き「自分の意見を言わない」をモットーにしているところです。そしてなにより、『週刊こどもニュース』などで身に付けた「わかりやすさ」は、他の誰にも真似できない大きな魅力ですよね。
就活など真面目な場面では、ついつい難しい言葉で自分を大きく見せたくなりがちですが、池上さんのように「わかりやすさ」と心がけることは、コミュニケーションを円滑にする上でとても大切なことなのではないでしょうか。
■松本人志さん(お笑い芸人・司会者・映画監督)
最近は毎週のように『ワイドナショー』での発言がネットニュースに取り上げられ、コメンテーターとしても注目が集まっている松本さん。
普段は取材される側の立場から、等身大の素直な気持ちを表現することで、視聴者にも新たな視点を与えてくれています。
各ニュースでそれぞれが意見を出し合う中、程よいタイミングでツッコミやボケを入れ、他の出演者の面白さを引き出しつつ独自の色を出せるのは、さすが一流のお笑い芸人にしかできない技ですよね。
就活でも、もっともらしい意見を言うことも時には必要ですが、その前に「等身大の感覚」を忘れずにいることも大切です。あなたの経験や性格ならではの素直な感性を言葉にすることで、他の人にはない「オリジナリティ」が出てくることでしょう。
■竹田圭吾さん(ジャーナリスト)
2001年から2010年まで『ニューズウィーク日本版』の編集長を務め、『とくダネ!』や『Mr.サンデー』などの情報番組に出演。今年1月に惜しくも亡くなった竹田さん。
『ニューズウィーク日本版』の経験から、アメリカと日本といった複数の視点から世界を見る「複眼思考」を身に付け、常に他の出演者が何を話すのか、自分には何が期待されているのかを考えながらコメントしていました。時には状況を見て、瞬時に準備していたものをやめて、別の話をすることも多かったそうです。
就活におけるグループディスカッションでは、それぞれが意見を出し合う中で、最終的に自分の意図しない結論に至ることもあるかもしれません。そんなときでも柔軟に頭を働かせ、様々な側面を考慮した発言ができるよう、日頃から「複眼思考」を意識しておきましょう。
★おすすめの本……『コメントする力』竹田圭吾 著
■古市憲寿さん(作家・評論家・社会学者)
『新世代が解く!ニッポンのジレンマ』の司会や、『ワイドナショー』でのゲストコメンテーターなどを務め、時に正直すぎるコメントが物議を醸しだすこともある古市さん。
代表作『絶望の国の幸福な若者たち』ではリアルな若者論で反響を呼び、NHKでは1975年以降生まれの出演者に限定された番組で司会をしていることなどからも、若手ならではの視点が期待されていることが伺われます。
古市さんの言動は、素朴な感想や疑問からの「問題提起」が非常に多く、時には司会者を飛び越えて他のコメンテーターに質問を投げかけることも。結果、番組が盛り上がることにより、視聴者にとっても気になる話題となるのではないでしょうか。
就活のグループディスカッションでも、既存の常識に捉われず、あえて素朴な疑問を投げかけてみるのも一つの手かもしれません。そこから新たな気づきが生まれ、議論がおもしろい方向に展開していくきっかけが作れたらいいですね。
いかがでしたか。
多くの著名人の中から選ばれ、テレビなどで発言の場が与えられる一流コメンテーターたちに改めて注目してみると、その人ならではの特徴がいくつも浮かび上がってきますよね。一見、思いつきで話しているようであっても、自分が与えられた役目・仕事に対するこだわりなど、様々なことを考えて番組に臨んでいることがわかります。
ぜひ今回紹介したコメンテーター以外にも気になる人がいたら、どんな点が良いのか考えてみてください。そして、その上でもう一度自分の個性を振り返り、参考にできるところはどんどん取り入れながら、他の人にはない「オリジナリティ」を出せるように意識してみましょう。
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